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龍太の夢(古事記)

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桃太郎参上

桃太郎参上

第2夜

夜も深くなり、換気扇の音しか聞こえないほど静かな部屋で、龍太は1人寝付けずにいた。

すると、部屋の扉が開いて、明かりが差し込んだ。眠い目を擦りながら正体を探ろうと、階段を降りると、そこは食べ物がたくさん並んだビュッフェのようだ。

辺りを見ると、何人かいて、皆美味しそうに寿司やステーキを食べているではないか。龍太も彼らに倣い、それらを食べようとするも、何か独特な、鼻を通り過ぎて脳のリミ

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むかしむかし日が向かうところに...

むかしむかし日が向かうところに...

第1夜

ある晴れた日の夜、龍太はいつもより早くベッドに入った。夢の中では、龍太がただ一人、永遠に白い場所に立っていた。

天地が最初にできたとき、人間は龍太しか存在していなかった。しばらくして、一面白色の世界に色がついて、葦の芽が伸び、地面ができて、雲ができた。そして、土ができ、植物ができて土が固まり、初めて龍太以外の人間が1人現れた。その人は女性で、まるで龍太が見えていないかのように本を読みふ

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