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ヨルシカ Live「前世」2023

2023/1/24.25
ヨルシカLive「前世」2023大阪公演

ヨルシカのライブに行ったのは今回が初めて。
現在の自分に1番影響を与えたアーティストは間違いなくヨルシカだといえる。こんなに他人の言葉がすんなりと心に入ってきたのは初めてだった。
ヨルシカを知ったのはヨルシカが1stフルアルバムである「だから僕は音楽をやめた」をリリースした2019年4月より少し前だろうか、たまたまInstagramのストーリーで見かけたのがきっかけだった。「負け犬にアンコールはいらない」だったように思う。
それ以降、ヨルシカの持つ世界観、作り込まれたコンセプト、n-bunaさんの言葉選び、suisさんの歌唱力など全てに圧倒され魅了されてきた。
ヨルシカの魅力とは、曲1つ1つの完成度はもちろんのこと、それがアルバムとなりコンセプトに当てはめられた時に全く別の表情を見せるところにあると思う。コンセプトにおいてこそがその曲の完成形であり究極の姿なのである。ヨルシカLive「月光」「月光再演」などがその最たる例であろう。現地にはいけなかったが、「月光」のLive Blu-rayを観た時は一体何を観ているのか理解ができなかった。それほどまでに、ライブすらもコンセプトの中に溶け込んでおり1つの作品を作り上げているのである。

さて、話を「前世」2023大阪公演に戻そう。
「前世」というライブは今まで発表した曲を自由に演奏するというコンセプトのライブにしたいといった内容のtweetを以前にn-bunaさんがしていたことを記憶している。ヨルシカの楽曲はコンセプトを得て完成すると考え、「前世」2021を観ていなかった自分は、「前世」というライブが全くイメージできなかった。
いざ開演するとどうだろう。前回の「前世」2021がどうだったかはわからないが、「前世」2023はライブにて新たな物語、コンセプトが「前世」というキーワードのもと作られており、これまでに発表さ!た楽曲たちが次々と披露されていくではないか。ここで驚くべきは、新たに別の物語、コンセプトの中にて演奏されている楽曲たちがそれぞれのアルバムのコンセプトにおける役割を壊すことなく表現されていることである。すなわちそれぞれのコンセプトを含んだ1つの作品となっているのだ。
楽曲だけではない。物語が進んでいく上で必要不可欠なn-bunaさんのナレーションである。始めは不自然なほどに呼吸が伝わり、それが起点となりn-bunaさんのナレーションに引き込まれていく。物語のスピードが上がると呼吸が浅くなりナレーションのテンポも上がる。展開が変わるときは一呼吸置くなど、呼吸でさえも表現の1つにしてしまう。
そのほかにも、サポートメンバーやsuisさんの身振り、ライトアップなど全ての歯車が噛み合いライブという作品を作り上げている。
「前世」2023はいわゆるイメージするような音楽ライブではなく、視覚と聴覚の芸術作品だった。

ライブ終演後のことを思い出してみる。人間は素晴らしいものを見ると言葉を失うんだなと思った。以前より冗談として「n-buna様は神様」と言っていた。無信仰であり神など信じていないが、神は存在することを実感した。

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