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未知との遭遇


 GWが始まりますが、我が家は去年とさほど変わらず特に遠出の予定もなく近場でのんびり過ごせたらいいかなという感じです。おかゆ嬢もまだ心配ですしね。どうぞ皆様良いGWをお過ごしくださいませ。

 さて、先日行ったコリン・カリン・グループによる「ライヒ《18人の音楽家のための音楽》」のことなどメモしておきます。オペラシティのギャラリーは何度も行っていますが、コンサートホールは初。立派なパイプオルガンに久しぶりの生音ということで否応なしに期待が高まります。
 ミニマルミュージック好きな夫に対して私はあまり馴染みがなく松屋の券売機なみに難解だったらどうしようと思っていましたが、《18人の音楽家のための音楽》は60分があっという間に感じるくらいの没入感。同じ旋律の繰り返しかと思いきや、強弱があり次第にグルーヴ感が生まれ、突如入ってくるマラカスや最後の静寂まで本当に素晴らしかったです。さっきまで声楽を担当していた人がピアノを弾き出しだり、役割が入れ替わるのがクラシックのコンサートとはまた違って演劇のような面白さがありました。
 私くらいの年代になると好きなものが偏りがちになるので、たまには未知のものに触れてみることも必要ですね。

オペラシティといえばアントニー・ゴームリーの銅像。

 次は映画の感想。ショーン・ベイカー監督「レッド・ロケット」です。予告編の段階では落ちぶれたポルノ俳優のマイキーが、17歳の少女ストロベリーに手を出した上にその子をスターにしようと夢見るなんていかがなものかと思っていました。でもそこは「フロリダ・プロジェクト」の監督。マイキーのどうしようもない幼稚さやダメさ加減をユーモアを交えながらしっかり描きつつ、現実の厳しさも忘れない匙加減はさすが。
 マイキーだけでなく、妻やその母親、隣人、大麻の売人ファミリーなど皆ロクでもないけれど、地元テキサスを出られず彼らなりに必死に生きている姿はどこか滑稽で哀しくもあり。普段スポットライトを浴びることのない人々をパステルカラーで優しく包み込み、明るい場所へと導くショーン・ベイカーマジックともいえる映像も相変わらず良かったです。(ストロベリーの働いているドーナツ屋や彼女の家の可愛さは必見。)多分ストロベリーは、自力であの街を出られる賢い子なのでは?
 タイトルのレッド・ロケットって何?と調べたら調べなきゃ良かった!と思ったので、皆さんはやらなくていいです。一人で観たのでパネルに顔がはめられなくて残念でした。