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不確定日記(春のやつ)

 トーストに乗せるために切ったアボカドはちょうど熟れていた。

 クロッキー会の前に公園のあたりを歩いたら、桜はほどほどに咲いて、遊具では子供達がいつものように遊び、見守る保護者たちがちらほらシートを敷いて座っていた。花見場所を探しに来たらしい男性が「あー、こういう感じーー?」と言いながら見回していた。ベンチがあるのは桜の植っていないエリアなので、座っている人たちはスマートフォンを見ている。
 クロッキーの会場に使っている公共施設には大きなホールや会議室もあるので、入社式の予定ががいくつか入っているらしく、スーツ姿の団体がエレベーターに並んでいて、そういえば年度初めなのだと気づく。エイプリルフールに嘘をついたことはない。誰かを騙して得意になるより、気まずくなる可能性を思ってしまうほうだ。
 クロッキー会は、いつもはモデルさんを頼むが、今日参加者が少なかったので、参加者が順番にモデル役もやる方式にした。描く人は描きたいポーズがあるので、描かれる時にも絶妙な仕草をしてくれる。
 終わったら夕立で、濡れないうちにカフェに入り、ビールを飲んだ。だいぶ長く話し、外に出ると夕立とビールが相まってだいぶ冷えた。春に冷えると「期待持たせやがって…」という落胆に苛まれがちだが、勝手に期待したのは私だ。温まりたくてシーフードヌードルを買って帰って食べたが、明らかに胃の容量を超えていた。満足した。

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