オカヤイヅミ

漫画家・イラストレーターです。「雨がしないこと」「ものするひと」「いのまま」「おあとが…

オカヤイヅミ

漫画家・イラストレーターです。「雨がしないこと」「ものするひと」「いのまま」「おあとがよろしいようで」など。趣味は自炊です。

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最近の記事

 未確認歩行体

 文学フリマ東京38で販売する小説集に収録する、「未確認歩行体」を期間限定で公開します。  小説集『可能性の熊』はこんなかんじのものが15編入った冊子です。 文学フリマにご参加の方は是非お寄りください。 他に、日記をまとめた『不確定日記』も販売します。 また、同じブースで小説と漫画のリトルプレス『ランバーロール』も販売予定です。 詳細はこちらをご確認ください。 https://c.bunfree.net/c/tokyo38/h1/E/26  金井は色が白いので制服のブレ

    • 不確定日記のお知らせ

      ここで書いている「不確定日記」をまとめた本を作って5/19に開催される文学フリマ東京38で販売します。 5/19(日) 12:00〜17:00開催 東京流通センター 第一展示場・第二展示場 イベント詳細→bunfree.net/event/tokyo38/ ブースはhasumukaiという名前で、第一展示場のE-26です。 日記本の他に、今まで書き溜めた掌編小説+書き下ろしあわせて15篇入りの小説集も製作中です。 過去に作った同人誌その他の在庫もたぶんあれば持っていきま

      • 不確定日記(せいぜいたんぱく質を摂る)

         仕事もしたし洗濯も炊事もしたが、一日中ずっと、頭の半分で髪型のことを考えていた。自画像のわたしはパーマボブなのだ(わからなくてもそうなのだ)が、実際は襟足の長いウルフショートで、切り揃えてボブにしたいので伸ばしている最中で、とにかく鬱陶しい。  髪型をよく変えるほうだし、毛量が多いので、伸ばそうとした時点で途中の野放図な状態を覚悟はしていたが、それでもやっぱり我慢し難い。しかし、美容師さんと「どっちかが途中で根負けしない限り伸ばしましょう」と約束してしまった。わたしから切

        • 不確定日記(回りたくない)

           以前ひどいめまいが起きたとき、部屋が数分間ぐるぐる回っているように感じて、起き上がることができず、たいそう気分が悪かったが感動した。それまでは、大袈裟な例え話だと思っていた。世界の一面がめくれて知らなかったものが見えた。  三半規管が弱いので、回る乗り物は苦手だ(あと、胃のX線検査も)以前、某テーマパークにある某魔法使いのアトラクションに乗って、わたしは箒に乗って空を飛ぶのが好きではないと知った。3Dにも酔うので、ゲームも途中で諦めがちだ。まず、馬に酔うからミッションがこ

         未確認歩行体

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        • 不確定日記
          117本
        • お焚き上げ
          7本
        • 不確定旅日記(台湾)
          3本

        記事

          不確定日記(晴れた熱海)

           友人たちと熱海に一泊して帰ってきた。海にはり出した、一度潰れて再開されたホテルは巨大で、ほどほどに古臭く、煌びやかで軽薄で、衝動的な一泊旅行に何もかも最適だった。  海しか見えない風呂に入り、畳に敷かれた花柄の布団でゴロゴロし、赤絨毯敷きの広大なホールでビュッフェに迷った。ロングドレスを着たピアニストの演奏する「異邦人」に影はなく、私たちも陽気に歌って拍手した。白いカイザー髭の老人が嬉しそうにナポリタンを食べていた。高さ10メートルはありそうなガラス窓の外は巨大な岩肌と海

          不確定日記(晴れた熱海)

          不確定日記(眠った場合より悪夢)

           うっかりまた、つまらないパズルゲームをダウンロードして3時間ほど眠るのが遅くなった。外国製のゲームには一応ストーリーがあり、主人公たるわたしはパズルを解くことによって兄を探しつつポップなダイナーなど建物の内外装を設計修理しているらしいのだが、セリフの和訳がめちゃくちゃなせいで、たくさんパズルを解いても自分の状況がわからない。やたらと語尾についている「交差点」という単語が不安感を煽ってくる。どこに向かえというのだ。午前4時ごろようやく我にかえりアプリを削除したが、しばらく変に

          不確定日記(眠った場合より悪夢)

          不確定日記(嗅ぎたくてやってる)

           マーマレードを煮た。気の長い料理は合間に他のこと、もしくは休憩ができるので気が楽だ。  甘夏と八朔を2つずつ、皮を剥いて、果肉(今調べたら粒の部分を「砂瓤」と言うのらしい。難しい。)を房から外す。八朔は粒がしっかりしているのでぱかっと外れて気持ちいい。甘夏はみずみずしいので、またあたりが水浸しになるが、よいにおい。  皮、果汁と果肉、それぞれ重さを計り、合計から砂糖の量を計算する。皮は刻んで何度か茹でこぼして苦味を取り、あわせて、あとは煮るだけだ。あたりの酸っぱくてさっぱり

          不確定日記(嗅ぎたくてやってる)

          不確定日記(押し流す)

           いつもは飲み忘れるほうだが、二日酔いだったので、ひたすら水を飲んでいた。毒素を押し出すために飲む水がうまくて不思議だ。ワインはやっぱり残りやすい。顔を洗って寝たつもりが、唇の溝に赤ワインの色素が入り込んでおり、横になったまま爪でこそげとる。なかなか頭痛が引かず、仕事を少ししては横になって水を飲んで、を繰り返した。  頼んであった有機野菜の詰め合わせ便が届いて、冷蔵庫が混雑している。このために今週は野菜を買い控えようと思っていたのに、スーパーに行くと買ってしまうのだ。来週は

          不確定日記(押し流す)

          不確定日記(ほんとうに不確定な日記)

           日記を書かなかった日のことは何も覚えていない。本当に何もしていなかった可能性もある。書けば嘘でもその記憶が残るかもしれない。実際、夢日記を細かくつけていたらどの景色が本当の記憶かわからなくなり、夢で見たエスカレーターが本当にあるような気がして駅の中で迷ったことがある。  夜21時時点で覚えている今日したことは、ヨーグルトレーズンを食べすぎたことくらいだ。いくらなんでも食物繊維の摂りすぎだと思う。あとは低気圧の具合でフラフラしていた。  春は行事が多いので明確な古い記憶が

          不確定日記(ほんとうに不確定な日記)

          不確定日記(怖くない花見)

           夕方から近所でちょっと飲みませんか、と誘われ、行く方向に銭湯があるので風呂に入ってから行くことにする。外はだいぶ暖かく、薄いコートもなんなら要らなかったかもしれない。なるべく身軽にしたかったのでパンツと洗面道具だけ持って行ったが、混んでいる日の混んでいる時間なので、タオルがもう借りられず、いつも持っている手ぬぐいでどうにかする決意をして入る。思ったより時間がなく、しかも、ジェットバスの吹き出し口の前に立った途端入りたそうな老婦人がすぐそばで待っていたので、最低限の温まりかた

          不確定日記(怖くない花見)

          不確定日記(破れ餃子スープ)

           相変わらず甘味を欲していないので朝食はグラノーラではなく、焼いた野菜とハムエッグ、干しアミエビとチーズをのせて焼いたトーストにした。春キャベツの芯はちょっと焦げるまで焼くとおいしい。  ストーブを消すと熱が逃げゆくのが寂しいので消してはつける。ポッドキャストを聴いていたら面白そうな本が出てきたので仕事が終わったら買いに行こう、と思う。  コーヒーは淹れ、仕事をし、宅配便を受け取ったがパジャマのままでいたので、結局どこへも行かなかった。明日は雨なのに、洗濯もしなかった。炒

          不確定日記(破れ餃子スープ)

          不確定日記(塩豚パクチー餃子の理由)

           ベランダのパクチーは立派に茂り、冬の間と違ってちょっと水をやり忘れると、朝にはあからさまにへたり込むが、水を雑にどぶどぶかけると数十分もすればすっくと立っている。上の方は普段食べる部分とは違う細かい葉が生え、花芽も見える。このまま種子が取れそうだが、半年前に蒔いたのがまだたくさん余っているので迷うところだ。次は実のなる植物を植えたい気持ちもある。  ひとまず茂りすぎた葉をいくらか摘んで水に漬ける。昨日からグルテンのムチムチしたものが食べたかったので、水餃子を作ることにした

          不確定日記(塩豚パクチー餃子の理由)

          不確定日記(ココナッツミルクを余すところなく)

           朝、風呂に入り、コーヒーを淹れてさあ仕事をしようという時に、なんだかグラノーラを作り始めてしまった。ココナッツミルクを入れるレシピを見つけ、400ml入りの缶を開けたが使うのはほんの少しだったので、夕食は自動的にグリーンカレーに決定した。ココナッツとメープルシロップとナッツの焼ける匂いの中で仕事をするのは割とよかった。グラノーラにはドライパイナップルとココナッツシュレッドも入れ、トロピカルな風味になった。  昼過ぎに、鶏肉と茄子を買いに出かけたら、ついでに「あんマーガリン巻

          不確定日記(ココナッツミルクを余すところなく)

          不確定日記(春のやつ)

           トーストに乗せるために切ったアボカドはちょうど熟れていた。  クロッキー会の前に公園のあたりを歩いたら、桜はほどほどに咲いて、遊具では子供達がいつものように遊び、見守る保護者たちがちらほらシートを敷いて座っていた。花見場所を探しに来たらしい男性が「あー、こういう感じーー?」と言いながら見回していた。ベンチがあるのは桜の植っていないエリアなので、座っている人たちはスマートフォンを見ている。  クロッキーの会場に使っている公共施設には大きなホールや会議室もあるので、入社式の予

          不確定日記(春のやつ)

          不確定日記(一駅じゃ足りなかった)

           すっかり暖かいが、ホルモンのバランスが崩れた時特有の眠気と頭痛がある。春は黄色い花粉のイメージと共に、生命力、というかまあ性的なざわめきを感じて気圧される。生き物だから仕方がない。  歩くと何かしら達成した気持ちになるので、何もしなかった日の翌日は歩きがちだ。ちょうど一駅先に用事があったので、歩いてゆく。長袖Tシャツに薄いコートでも暑かった。先日の雨で溶けたダンボールが自動車に引き摺られた跡が地面に残っている。知り合いの展示を見にゆくので、まず手土産を買う店を地図アプリの

          不確定日記(一駅じゃ足りなかった)

          不確定日記(断片的な散歩)

           朝には豪雨だったので傘を持って出たが、外はもう風だけになっていた。歩くのに苦労するほどの強風で、それなら髪の毛のセットなどするのじゃなかったと思う。風に向かって歩くので精一杯なので、今何か飛んできても避けられない、と思ったが、いつ何か飛んできても避けられはしない。マンションのゴミ置き場に出しっぱなしになっている段ボールの束がドロっと溶けていた。  友人たちと待ち合わせて、カレーを食べる。「中1.3階」くらいの位置にある窓に向かったカウンター席は通りを遠慮なく見ることができ

          不確定日記(断片的な散歩)