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https://www.youtube.com/watch?v=2eSm8pv4xK0

ファインディング・ドリーをみた。たぶん三回目。
「わたしドリー。なんでもすぐに忘れちゃうの」
忘れんぼうのドリー。子どもだったドリーは家族とはぐれ、何を忘れたかも忘れ、成長し、ファインディング・ニモでのあれそれがあってマーリン・ニモと暮らしている。ひょんなことがきっかけで家族のことを思い出し、再びカクレクマノミとナンヨウハギの冒険がはじまる。

ギャグキャラを主人公にすえ、解像度をあげた結果、ストレートな障害の話になる。「忘れんぼう」は原語では「短期記憶障害」。配置されるキャラも、七本足のタコ、視力の弱いジンベエザメ、エコーロケーションできないシロイルカ、話が通じてるのかよくわからない鳥、仲間から排除されるアシカ……ニモだってひれが小さいおさかなだ。
ドリー視点にフォーカスしているので、興味があちこちに揺らいでいまのことを忘れるドリーの思考が追体験できる。パニックになるところもあるし、わりと終始つらい。
こどもが見たらどういう感想になるんだろう。。。

今回の視聴であらためて思ったのは捜査プロットと演出のよさ。

ドリーは思い出の場所に近づくと、幼少の頃のキーワードやロケーションを思い出す。これが連鎖していき、最終目的地である家へと至る設計になっている。このとき親がドリーをどう見ていたかという過去エピソード描写されるので、断章エピソードと次の目的地設定を同時にやっていて飽きさせない。現在の、どうやって家へ帰るのかという謎と、過去に何が起こったかという謎を都度増やしている。思い出すときのはっ!シュバッ!という演出もいい。
魚なので、どう地上を移動するのかというHOWの側面も強く、体験としてはゴーストトリックを思い出す。中盤、視点が分断されたあと、ニモマーリンがギフトショップの水槽からどうおさかな水槽に戻るのかという移動のアイデアが秀逸だ。誰しもが目にしたことのあるアレが、そこにあることに違和感がなく、問題解決の納得感が高い。

クライマックスは何度見ても涙が止まらない……。
でも何回見ても「また見つける」までの一連の流れがよすぎて滂沱の涙をちょちょぎらせてしまうので、そのあと十分くらいの記憶が飛ぶ。
それに最後も問題だと思う……Cパートのジェラルドはああいうのを不快に思わせることも大切だからいいとしても、人間側の被害がでかくてダイナミックな映像に興奮するよりも、う、運転手(人間のほうの)……みたいな気持ちになる。
そのあとの海のみんながハッピーすぎるからいいんだけど。

マーリンやタコみたいなやさしいやつが、ふいにドリーとのやりとりで言いすぎてしまうところや、ドリーのことを保護が必要だと思っているところなど、REALだ……。その是非の判断を保留して、「やったな」で〆るのはいい塩梅なんじゃないかと思う。

最終的にドリーがひとりでひとつのことを成し遂げたみたいな雰囲気になっているが、実態は他者のサポートを受けていないタイミングはない。まあこれは誰でも同じだし、そんなもんだと思う。みんな、誰かのサポートをたくさん受けながら、迷惑をかけながらひとりでいろんなことを成したり成さなかったりしていくんだろう。
映画ではなんやかんやうまくいきすぎてるふしもあるので、逆に現実ではこんなにうまくいかないよなあみたいなことにも思考がいく。まあ、それは……。なんやかんやで、みんな元気に暮らせるといいよね……。

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