「ドル高」の死角 ー 「国」から「個人」の時代へ
日本の財政も大概だがアメリカも凄い事になっている。米政府の年間利払い額が▼1兆ドルを突破し1分間に換算すると約▼2百万ドル≓▼3.1億円
これは「ディスインフレ」時代に低金利で財政のたがが外れた事に起因するが、「ゼロ金利」から一気に@5%台に「利上げ」した事によって問題が噴出している。単純に言えばこれが 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) であり、一般庶民がこの "コスト" を強烈な「インフレ税」として払わされている。だから米国民の大半は生活苦で一概に「米国経済は強い」というのも違和感がある
もっとも年間売上(=GDP)28兆ドルの「アメリカコーポレーション」と4兆ドルの「日本株式会社」↓ を単純に比べる訳にはいかないが、相当な大盤振る舞いなのは間違いない。これにグローバル投資家が群がる
筆者の金利トレーダーとしてのキャリアは「スタグフレーション」真っ只中の「高金利」アメリカで始まった。「ドル安・株安・債券安(金利上昇)」の「トリプル安」を知る身としては、未だに「ドル」を信用できない
今の「ドル高」に死角はないのか?
かつて「プラザ合意」(1985)で1ドル=@360円で固定されていた相場を「ドル安(円高)」に誘導。以降「主要通貨ドル」を基軸とした「ドル安」がアメリカの覇権戦略の基本だったはず。それが現在「ドル高」に移行している。一体何があったのか
1つは自動車、半導体など「ドル安」でメリットを得られるアメリカ国内の製造業の衰退。日本でも工場の海外移転が大分進んだが、その点アメリカは ”大先輩” 。 "成熟国" として同じ様な軌道を描いている
それに取って代わったのが「GAFA」であり「マグニフィセント7」。こちらはアプリやクラウド使用料を「ドル」で徴収するので「ドル高」の方が都合が良い。一方でヨーロッパ、日本を始めアメリカ以外の各国は「デジタル赤字」を抱える事になり「デジタル税」徴収の動きも出てきた
裏返せば「ドル高」でないと国がやっていけなくなっているとも言える
そうしないと1分間で▼3億円なんて利息は到底払えない。かつての「アメリカ一強」状態ならここまでの「ドル高」は必要なかったが、今やそんな余裕はない。一般庶民は「借金」をチャラにするために高額な「インフレ税」を払わされ、NYやハワイでさえ路上生活者が増えている
結局「高い利息」は米国債に投資する余力のある「お金持ち」に流れ、 "財" は益々偏る。「戦争」なんかすれば「借金」は更に増え、武器産業を通じて「貧富の差」拡大を助長
これで「ドル安」に転じればまさに「スタグフレーション」だが、その圧力を今一番浴びているのは「円安」日本だろう
こちらも「ゼロ金利」から+2~3%に向かえばアメリカ程ではないにしろ「利払い」は増える。*ではその「お金」を誰が払うのか?
「お金持ち」は「インフレ」を最大の脅威と捉えている。 「ユニクロ柳井氏、京大・本庶氏、山中氏の医療研究に100億円寄付を即決」に思うこと。|損切丸 (note.com) (2020.6)に「スタグフレーション」を ”預言” していたが、「大富豪」の本音。 ー イーロン・マスク氏のツイートから。|損切丸 (note.com) (2021.2)もそう。見えている "風景" が違うので、結果「インフレ」を切り抜けるのは圧倒的に「お金持ち」になる
そう考えてくると「ドル」はそれほど魅力的に見えない。カジノではないが、「煽るだけ煽って喰いついてきたらズドン!」が常套手段。|損切丸 (note.com) **今の「ドル高」に本当についていっていいのか?
筆者は個人的に本土を初めて攻撃された「9・11」(2001)でアメリカの覇権は終わりを迎えたと判断している。だから現在の「ドル高」戦略は国力の衰えを補うための "窮余の策" にしか映らない。「世界の警察」を止めたために世界各地で「戦争」「紛争」が絶えないのはその証左だろう
インターネットやAIが発達した今、「国境」は意味を成さなくなり「個人」の時代に突入している。ここからの ”生き残り” は各々の実力次第。日本語の歌を大声で歌う海外のファンの様子を見ていると、もう "言葉の壁" も無いに等しい。そう言う意味では世界中誰にでもチャンスはある
MMT盲信もいいが「円安」「インフレ」に危機意識があるなら転職でも海外移住でも「投資」でもいい。あとは「決断力」「実行力」だけである
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