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続・もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安・株安・債券安」の最悪の展開も

 もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安」を止める "鍵" |損切丸 (note.com) の続編

 どうもマーケットの流れが変わってきた

 せっかくFRBの「利下げ」期待再燃で155円台前半まで戻したドル円も、東京時間に 思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」 |損切丸 (note.com) 気が付けばもう@156円寸前湧き出てくる「円売り」はまるで "モンスター" 

 ここで異変が起きる

 米国市場の流れを引き継ぎ前場で@38,600円台まで上げていた日経平均が「円安」と共に@38,200円台まで急落。最近も傾向は出ていたが、ここまではっきり動きが出るのは初めて。大袈裟に言えば「日本売り」

 これまでヘッジファンド(HF)を中心に はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 注目すべきは「FX」フロー|損切丸 (note.com) で「ドル円買い+日経平均買い」が基本戦略だったが、これが方向転換している

 こうなると*何が何でも「円安」を止めるしかない

 未だ「昭和」が抜けないのだろうが、ある経済団体の会長が「為替操作は正々堂々やればいい」なんて "暴言" 作為的な「為替操作」は国際ルール違反経済界がすべきはそうやって政治を牛耳るのではなく、国内産業を立て直して「円買い」を増やす事こういう態度が「円安」を助長する

 このモンスター級の「円売り」を見ていると、1兆ドル程度の外貨準備による「介入」で防ぎ切れるとは到底思えない。それは財務省・日銀も判っている。こうなると残るは「金融政策」。それも市場が織り込んでいるレベルの対応ではマーケットに見切られてしまう

 事態はかなり深刻。市場を制御するにはもう "ショック療法" しかない

 例えば:

 ①6月に+0.5%「利上げ」、その後2会合連続で+0.5%
 ②「国債買取」を取り止め、e.g., 年間▼70兆円の国債償還

 これでもドル円は@130円まで戻るかどうか。ただこんな事をすれば財務省が一番怖れている「JGB暴落」は避けられない。場合によっては10年JGBの@3%越えまであるが、②「国債買取」を取り止めても「バズーカ」前の状態まで「正常化」するのに5年かかる

 こうなると アルゼンチンが示唆する「日本の未来」|損切丸 (note.com) も単なる絵空事とは言えなくなる。展開が速くなっている現代においては大袈裟でなく一歩手前。これ以上の「円安」を止めないと「円安・株安・債券安」の最悪の展開まである

 だから 先に手を出せ! ー 最後は「科学」と「合理性」|損切丸 (note.com) 以前にも増して "Forward Looking" (先見的)な政策展開が必要になる。今の まだまだもの凄い「金融緩和」-まるで昭和の ”牛歩戦術” 的「利上げ」|損切丸 (note.com) では間に合わない

 歴史を紐解けば、**1970年代の「英国病」1980年代にかけての米国の「スタグフレーション」で両国共随分酷い目にあってきた。その時取られたのが「高金利政策」「通貨安」であり、その ”苦痛” があって今がある

 **違いがあるとすれば前者は「ゆりかごから墓場まで」≓「国民皆保険」を諦めて財政を建直し、後者は逆に財政出動してもの凄いインフレを起こし「借金」を帳消しにした。もっともそれは「主要通貨ドル」あってこその政策であり、イギリスや日本には実行不可能

 ”金利を上げると住宅ローンや中小企業が大変になる”

 未だにこう言う声が大きいが、厳しい事を言えばこれこそ日本人の「危機感」欠如の証拠。ここまで事態が悪化すればもう「犠牲」は避けられない。既に「国民皆保険」は実質破綻しているし、変動低金利の「借金」「住宅ローン」はそれこそ自己リスク国全体を「犠牲」にすべき対価ではない

 「欧州通貨危機」≓「ポンド危機」(1992)や「リーマンショック」(2008)を現場で潜ってきた「損切丸」としては、現状の「円安」には同じ臭いがする。残念なのは打つ手が判っていたのにズルズルと先延ばしにして「危機」がどんどん膨らんできたこと。まあこれも ”我慢強い日本人” 故でもあるが「バブル」崩壊後の対応同様、いたずらにコストが膨らんでいる

 それでも財務省の「省益」を優先して@180円とか@200円の「円安」を甘受する選択肢はある。ただその時はビッグマック@2,000円とか「値上げ」に文句を言ってはいけない。いわば「アルゼンチン・トルコ」コース「イギリス・アメリカ」コースを行きたければ「利上げ」は避けられない "痛み" 。(前述の経済団体の長のように)「金利は低いままで、だけどこれ以上の円安は嫌」は虫が良すぎる

 おそらくJGBを中心に低金利慣れした日本人には見たこともない "ショック" が訪れる蓋然性が高い。米英の「高金利時代」のように2桁金利までは想定しないが@3~4%は十分現実的。いみじくも「インフレは一時的」で+0.75% × 3回なんて「世紀の利上げ」に追い込まれたパウエルFRB議長が体現した。世界的「インフレ」時代の中、日本だけ例外はあり得ない。残念ながらここまで対応が遅れれば「覚悟」しておくしかない


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