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まるで ”蜜に群がる蟻” ー AIは「円安」パターンを学習してしまった(?)

 前稿.遂に「ドル売り」転換? ー 怖いのは日銀の "心変わり" (再び)|損切丸 (note.com) を書いてドル円の動きを注視していたが、いやもう「円売り」が湧いてくるわ湧いてくるわ。 またもや 思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」 |損切丸 (note.com) を思い知らされた

 これは最近の相場全般に言える事だが、特に「HFT」(高頻度取引)が席巻する株式市場とFXには「人」の臭いがしない。今日の「ドル円」も東京時間に@153円台後半まで無慈悲に「損切り」が出たかと思ったら、欧州時間にはスルスルと@155円台半ばまで上昇。これは「人」の成せる技ではない

 そして*より重要なのは「AI」に「学習効果」が積み重なっている事「ドル円」は昨年末「チャレンジング」発言をきっかけに@140円台まで急落したが、その後@160円まで "復活"このパターンをしっかり「学習」してしまったため動きに "迷い" が無くなっている「HFT」は「1」の実需を「100」にも「1,000」にも増幅するためこういう動きになりがち。しかも回を追う毎に群がるピッチが速くなっている

 最近の「ハンセン買い+日経売り」「ドル円売り+ビットコイン買い」「学習効果」ではないか。「AI」はプログラム通りに取引を執行するだけ。現在マーケットで最も儲かるのが「ドル円」の「キャリートレード」だから自ずと マーケットは「円」を中心に回っている?|損切丸 (note.com) になる。そう考えると腑に落ちる動きが多々ある

 この「AI学習効果」、金融当局にとっては厄介極まりない。相手が "マシーン" なのだからしっかり「負け」を学習させる必要があるが、様々な事情を抱える「人」には難題国際協調が必要な「為替介入」が典型だが "マシーン" にはスピードで追いつけない

 「成功体験」が積み重なっていないユーロやポンドはほとんど動いておらず「円売り」一辺倒。気が付けば ”円独歩安” 。やはり "蜜" =「金利差によるキャリー益」を取り除かないと "蟻" =「AI」は群がってくる

 「蜜」を減らすには日銀の「利上げ」しかない。モタモタしていると前回の@160円到達時のようにまた「蟻」が群がってくる。何しろ粛々と「プログラム」を実行するだけの「AI」には躊躇いが無い。サッカーの「VAR」システムのように、金融・財政政策にも「AI」を取り入れないと現在の ”スピード競争” にとても打ち勝てない。” Foward Looking" (先見的)な政策運用は益々難しくなるだろう

 こうなると "クラッシュ""暴落" も過去のパターンとは違ってくる。「1」が「100」にも「1,000」にも増幅する ”超高速相場” では相場の持続性もタイムスパンも違う。今の「AI・ドル円」の動きを見ていると還暦の筆者も暗澹とした気持ちになるが、正直70代の総裁には荷が重過ぎる。だがマーケットはこの繰り返し過去の経験は捨てて「変化」へ順応することが「生き残り」の鍵でもある

 ただ「人」がやっても「AI」が手掛けても天井のない相場などない。テクニカルチャートで言えば「買って売り、買って売り」の回転が効く「買い相場」から「売って買い、売って買い」の「売り相場」への転換はどこかでやってくる。それがマーケットの「需給」。ただ違いは「スピード感」と「スケール感」であり、トレーダーは対応の修正を迫られている

 バフェット氏:「核兵器を開発したとき、我々は精霊を瓶から出してしまった。AIも似たようなものだ。瓶から飛び出しつつある」

  ”投資の巨人” バフェット氏がこんな事を言っていた。「核兵器」との共通項は ”人がコントロール出来ない事” 。  "フェアバリュー" (適正価格)から外れた株を拾うスタイルで財を成した氏にとって「AI」がもたらす害は大きい。金利系は特に "フェアバリュー" が大事なので筆者にも痛いほど判る

 まあ放置しても落ちる時は落ちるだろうが、問題は「AI」「HFT」に強い「買いバイアス」がかかっていること「買い相場」には「学習効果」が働くがおそらく「売り相場」には働かない実需の注文が細る下落相場では売り注文の先回りがしにくいからだ。一旦@153円台まで落ちたドル円がそうだったが、まるで "壊れたナビ" のように「AI」はダンマリを決め込む

 @4万ドルを突破してお祭りムードのNYダウだが「円安」では日本人の悲鳴も上がる。そういう感情や雰囲気は一切無視の「AI」だが "壊れたナビ" には注意も必要。見たことも無いような ”フリーフォール” の危険性も増す。スケールが大きくなればなるほど犠牲者は増える

 そういう "脅威" はパウエル議長も植田総裁も神田財務官も感じているはずプログラムは「円安→日経平均買い」から「円安→日経平均売り」に書き換わったようだから日銀の「利上げ」は早い方がいい「選挙」など様々な事情があるのは承知しているが「学習効果」による相場展開はかつてなく速い今日「国債買取」減額を見送ったようだがこれでは「AI」市場を制御できない。のんびり構えている時間は無い。少なくとも市場に向けて「実行」を伴うメッセージぐらいは発信しておくべきだろう


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