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横浜FC観戦記2023

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2023年J1第34節鹿島アントラーズ-横浜FC「終わらない歌」

2023年J1第34節鹿島アントラーズ-横浜FC「終わらない歌」

時を超えた青いリボン

時は鹿島戦の前に遡る。第33節湘南戦でクラブが試合会場で配布していたフラッグにプリントされていた、横浜のエンブレムの中央上部にある青いリボンがゴッソリ抜け落ちていたことが話題となった。原因究明や再発防止策の議論はさておき、ここで初めてその青いリボンの意味を知る事になったサポーターも多かったようだ。あれは横浜フリューゲルス存続活動いわゆる青い翼運動にて、参加者が揃って身につけ

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2023年J1第33節横浜FC-湘南ベルマーレ「アンデッド ~まだ死んでいない~」

2023年J1第33節横浜FC-湘南ベルマーレ「アンデッド ~まだ死んでいない~」

試合後のセレモニーで社長や四方田監督が挨拶をするがどうも歯切れが悪い。勝っていたら最終節自力残留がつかめるので意気軒昂にコメントすることもできたし、降格がこの節で決まっていたらそれはそれで「降格させて申し訳ない」と紋切り型のコメントを聞くことをできただろう。湘南との直接対決に敗れ、残留の可能性は限りなく小さくなった後のコメントはまるで頭に響いてこない。心と体がまるで分離してしまっているようだ。降格

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2023年J1第30節横浜FC-FC東京「衝動が僕らを突き動かす」

2023年J1第30節横浜FC-FC東京「衝動が僕らを突き動かす」

浦和戦から約3週間のインターバルがあってJリーグが再開された。その間、私事ではあるが、ラグビーワールドカップとユーロの予選の観戦にフランス、ベルギー、フィンランドに渡航していた。ユーロの予選はこの週が通称Aマッチデーで概ね12日から18日まで試合が組まれていた。日程と予選の緊迫度を考えてベルギー-スウェーデン、フィンランド-カザフスタンを見ていた。サッカーを見たいという衝動が自分を動かしていた。

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2023年J1第29節浦和レッズ-横浜FC「もう1点取れるやつはモテる男」

2023年J1第29節浦和レッズ-横浜FC「もう1点取れるやつはモテる男」

「もう1点」それはハーフタイムになって、知り合いのサポーターと顔を見合わせてお互いの口から出た言葉だった。何かを示し合わすこともなく。後半浦和がきっと怒涛の攻撃に出てくることは間違いなく、その状況をどう乗り越えるか考えた時に、1点では逃げ切れるか心許ない。もう1点決めて、勝負を決めたい。そんな思いがあった。

モテる男

前半は完全に横浜の流れだった。俊足山下の不在でどうなることかと心配されたが、

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2023年J1第27節横浜FC-柏レイソル「アレアレアレ」

2023年J1第27節横浜FC-柏レイソル「アレアレアレ」

ある人は言った。「前半のサッカーもアレだったら」と。それが出来たら誰も苦労しない。後半横浜の流れになったのは、前半柏が飛ばしていたからこその反動に過ぎない。
前半柏は高い位置から横浜を追い込んだ。前節の名古屋戦を見返すように。柏の前線からのプレスがどこまで持つのか、体力がどこまで持つのかその間に柏が点を奪えるのか横浜が凌ぐかが焦点だった。前線からのプレスでゴールを奪えないと後半スタミナが厳しくなる

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2023年J1第25節横浜FC-横浜F・マリノス「It's a Show time」

2023年J1第25節横浜FC-横浜F・マリノス「It's a Show time」

さて、横浜ダービーである。4月のダービーではアウェイとして乗り込んだ横浜はアウェイエリアも閑散とし迫力を欠き選手の後押しが出来ず、昨年J1王者のマリノスに5-0と返り討ちにあった。チームとして一番調子が悪い中で、ダービーをきっかけにチームの状態を上向きにすることも出来なかった。
それでも横浜ダービーはやってくる。2連敗中でも下を向いている暇も余裕もない。ただ純粋に、ホーム三ッ沢で私たちは何者なのか

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2023年J1第22節横浜FC-ヴィッセル神戸「永い間」

2023年J1第22節横浜FC-ヴィッセル神戸「永い間」

後半アディショナルタイム5分、近藤がクリアしたボールが大きな弧を描いてる最中に試合終了の笛が鳴った。90分フル出場でボールを追い続けた伊藤翔のガッツポーズには、長いこと待ちわびた勝利への思いが込められていた。5月にはリーグ戦3勝と調子を取り戻したかに見えたが、6月から7月かけてリーグ戦は7試合勝利なし。天皇杯ではJFLの高知に敗戦。前節はGKブローダーセンがボールを放した隙にボールを奪われて失点し

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2023年J1第20節川崎フロンターレ-横浜FC「マッチ」

2023年J1第20節川崎フロンターレ-横浜FC「マッチ」

死生マッチ

このゲームは川崎市制記念マッチだったようだ。だから近藤真彦(マッチ)が来場していたのだろうか。チケットが完売に近い等々力でスーパーフォーミュラのプロモーションも兼ねて。マッチしている。

横浜にとっては、「来週は富士スピードウェイだね!」の前に、この試合は死生マッチ、つまり生きるか死ぬかの試合だった。5試合勝ちなしで、浦和やガンバと善戦どまりで勝ち点3を奪えなかった。小川航基の期限付

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2023年J1第19節横浜FC-ガンバ大阪「こうきに」

2023年J1第19節横浜FC-ガンバ大阪「こうきに」

ガンバ大阪GK・東口はリズムを変えようと様々な手を使っていた。ゴールキックのボールがすでにフィールドにあるにも関わらず水を飲みながら味方選手と話したり、FKなのに悠然とゴールキックを蹴ろうとしたりと、間合いをとったり息をいれさせていた。日本代表経験のある彼がなぜそこまでしないといけなかったのかといえば、横浜が後半押し込んでいる時間が長かったからだ。後半だけで何度もシュートがポストを叩き、東口でなか

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2023年J1第18節京都サンガ-横浜FC「あのぅ」

2023年J1第18節京都サンガ-横浜FC「あのぅ」

久しぶりの亀岡である。前回亀岡に来訪した時は、笑路城(わろうじじょう)に向った時だった。阪急池田からバスに乗り牧バス停で降り、徒歩で府境を越えて京都に入り、神地バス停からバスに乗るという中々なルート。そして到着する頃には土砂降りの雨が降り出して標高414メートルにある山城攻略を諦め撤収した記憶がある。明智光秀も手を焼いた丹波攻めの如く、中々面倒な記憶としてこの亀岡は記憶に残っている。

さて、亀岡

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2023年ルヴァンカップグループステージ第6節ヴィッセル神戸-横浜FC「目論見」

2023年ルヴァンカップグループステージ第6節ヴィッセル神戸-横浜FC「目論見」

試合開始からたった3分で神戸・尾崎が退場になったのは、両チームにとって想定外だったに違いない。神戸の吉田監督は「ゲームプランが変わってしまいました」と嘆いたように、Jリーグで優勝争いをしているチームとしたら11対11の試合で出場機会の少ない選手を試したい思いがあったに違いない。

一方で、横浜はその前週のJリーグ浦和戦からGKブローダーセンとカプリーニを変えたに過ぎなかった。この意味は、スタメン組

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2023年J1第16節横浜FC-サガン鳥栖「間が悪い」

2023年J1第16節横浜FC-サガン鳥栖「間が悪い」

もう金曜日である。試合のあった週末どころか、世の中は天皇杯も過ぎ高知やヴェルスパの躍進で沸いた木曜日も過ぎている。もっと言えば日曜日はリーグ戦である。それなのにこれから前節の観戦記を書こうという愚かな人間がここいる。まったく間が悪い。

守備の間

この試合、GKブローダーセンが戻ってきたボールを左足で蹴るシーンが多かった。敢えて左足で蹴るというよりも、鳥栖のプレスが早いのでバックパスなどで戻って

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2023年J1第15節セレッソ大阪-横浜FC「繰り返す」

2023年J1第15節セレッソ大阪-横浜FC「繰り返す」

試合の途中ではあるが、頭の中をとある曲が流れ始める。この中毒性の高い曲が頭を駆け巡る時は、概ね試合の展開が芳しくない時だ。
後半セレッソが落ち着きを見せてから横浜の攻撃の回数は増えていったのだが、ゴール前で決定的なシーンを作るまでには至らない。自分たちのボールにはなるが、切り替えが遅くミスをしてはボールを奪われ、セレッソの攻撃を自陣深くまで受け、後手を踏みながらも必死に対応して取り返すか、シュート

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2023年ルヴァンカップグループステージ第5節横浜FC-サンフレッチェ広島「突き上げ感」

2023年ルヴァンカップグループステージ第5節横浜FC-サンフレッチェ広島「突き上げ感」

サッカー経験者あるあるかもしれない。スパイクを履いた時の独特の突き上げ感は慣れないものがある。ポイントの上に板を置いてそれを踏んでるあの感じは苦手だった。
ただ、何度も履いて脚に馴染んでくるといくらか低減していく。馴染みすぎるとグリップ感は悪くなるし、突き上げ感が強いと脚を痛めてしまう。適度な突き上げ感は必要なのかもしれない。

ギラギラしている

スタメンが発表になり、どんなシステムで臨むかと思

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