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E118: ご隠居風味

今日は33日目、折り返し地点です

僕はこれまでの人生の中で、
「ご隠居」と呼ばれたり
表現されることが何回かあった。


ただし、
僕は「はい、おじいちゃん!」みたいなイジリは大嫌いなので、そういう、高齢者を馬鹿にしたようなニュアンスさえなければ「ご隠居」と呼ばれること自体は、悪くないと思っている。

先日も、スタエフで「ご隠居!」という声が飛んだので、それとなく別の呼び名を提案したが、あえなく却下された。

ご隠居、と表現されるのは、覚えている限りにおいて、16年ぶり4回目のことである。
甲子園の話ではない。ご隠居の話である。


4度の歴史の中で
印象的な1つがある。 



2回目、20歳の時である。
(20歳にして2回目ってどういうことよ?)

この時は、実際にそう呼ばれたわけではない。
呼ばれたわけではないが、会話の中でそんな話が出てきた。

当時のバイト先によく買い物に来ていた、ガソリンスタンドのお兄さんに言われたのだ。

「源太くんなあ、もっと遠慮しないで20歳の若者らしく振る舞ったほうがええよ」

「20歳らしく?振る舞う?」

「そう、もうちょっと弾けて遊んでもいいんやない?」

「弾ける?……あ、こんな感じですか?」
(あくまで冗談のつもりで)両手を上げて、腰を振ってみたのだが、

【あ、そういうのとちゃうから】と真顔で制止され、
ただスベって恥ずかしい思いをしただけだった。

「源太くんって、遠慮がちで慎ましやかやから、なんか20歳にして、縁側でお茶飲んでるのが似合うんよねー。ご隠居みたいな感じやな。もっと若者らしさを前面に押し出して楽しんでいいと思うで」

このお兄さんは、とても優しくて、僕によくしてくれた人なので、全く悪気は無い。嫌な思いもしなかった。

ただ、僕はその時どう思っていたかと言うと、

(いや、縁側に座って日本庭園を眺めながら、渋いお茶を飲んでいる20歳がいたら、むしろカッコ良くないか?)

こんなことを考えている20歳だから、
ちょっと変わっていると思われるのかな…



そして今、50代。

ご隠居って、呼ばれること自体悪くはないけど
僕の中にあるご隠居のイメージは
何かすごいことをちゃんと成し遂げた人にだけ与えられる称号のような気がしていて、自分はまだそれに値しないと思っている。
ご隠居と呼ばれて……本当にいいのか?

呼んでくれるのは一向に構わないけど
実際のところ…まだ僕は何も始まっちゃいない。

隠居なんてしている場合ではないのである。
【66日ライラン 33日目】

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