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歳時記を旅する30〔鉦叩〕後*打つごとに闇の澄みゆく鉦叩

磯村 光生
(平成五年作、『花扇』)
戦後の昭和二十七年に刊行された、三好達治の第十九詩集『駱駝の瘤にまたがって』に、「鉦たたき」という詩がある。
「すずしき鉦をとをばかり/たたきてやみぬ鉦たたき/よべの嘆きをまたせよと/あとはこゑなき夜のくたち」
とカネタタキの声を嘆きの声と聞いた。
カネタタキで鳴くのは雄だけである。
打てども打てども返されるものはない。鳴き止んだ後に残るのは、句のとおり、澄みわたる夜の静けさばかり。
(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和四年九月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

〔鉦叩〕前 編で もりのまち◆みずのうた さんのカネタタキのお写真をご紹介したところ、続編を投稿してくださいました。
カネタタキの幼虫やクサヒバリ、黄色いキリギリスなど貴重な画像ばかりです。ありがとうございました。
  


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