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歳時記を旅する46〔左義長〕中*左義長の炎の追ひ縋る注連の幣

 佐野  聰
(平成七年作、『春日』)
 左義長とは、三本の杖、竹、丸太などを三角形に組み立てた神の依代という説がある。
 一月十四日の早朝に作られるさいとの内側には、正月の松飾り、注連縄、古雛、古い神棚などが持ち込まれ、その周囲に藁縄を巻いて、円錐状にして、頂点に若松の枝、幣束などが立てられる。これが神の依代である。塔の近くには道祖神の石像が部落から運ばれて安置されている。
 さいとが燃え上がって倒れそうになると、頂上から四方に張られた縄を、その年の恵方に引っ張って倒す。
 句の炎は生き物のよう。道祖神が疫病や災難の一切を引き受けてくださっているのである。
(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和六年一月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

☆大磯の左義長は、別の名で「セエトバレエ」とも呼ばれている。
「セエト(さいと)」の炎の写真をまとめた記事を 大川直也 さんが寄せられています。

写真/岡田耕


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