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医学的介入の研究デザインと統計のまとめ

本について

夏休みの間に本を読みました。自由研究として、軽くまとめてみました。
▼医学的介入の研究デザインと統計

著者

Mitchell H. Katz
臨床研究のための統計に関する本を書かれています。
また、米国最大の公共医療システムであるNYC Health + HospitalsのCEOでもあるそうです。▼
https://www.nychealthandhospitals.org/services/home-health-care/

医学的介入とは

臨床研究に関する倫理指針には、介入について以下のように書かれています。

研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検索などを含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。

介入の実例として、以下の話が書かれていました。

ニューオリンズの貧困地区において、子供の運動量を増やすために、放課後の校庭を安全監視者付きで子供達に開放するという介入を行いました。
校庭開放は好評を博し、12ヶ月間で、少なくとも1回校庭で遊んだことのある子供は710人に上り、そのうち66%の子供は活発に遊んでいたことが確認されました。
この介入を評価するために、介入地域の子供と非介入地域の子供をを比較したところ、運動をよくする子供の割合は、校庭開放前は介入地域の方が低かったのが、介入後は逆転したそうです。

介入が有効であったかの評価

介入が有効であったかどうかの評価は、結局は次の3つのクエスチョンのうち少なくとも1つに答えるという形になるそうです。

1. 介入の前後で、有意な違いが見られたか?
2. 介入群における介入前後のアウトカムの変化は、コントロール群における介入前後のアウトカムの変化よりも有意に大きいか?
3. 介入後のアウトカムに、介入群とコントロール群の間で有意な違いがあるか?

介入が有効であったかを直観的に判断する最も単純な方法は、介入の前後で測定を行い、比較することだそう。このデザインを「1群介入前後比較デザイン」と言うそうです。また、同じ集団を追跡して、繰り返し測定を行うデザインを「縦断研究(コホート研究)」、測定のたびに毎回対象者を新たにサンプリングする場合を「連続横断研究」と言う、と書かれていました。
コホート研究であれ連続横断研究であれ、検定されるのは「介入前後の測定値に違い(差)はない」という差なし仮説だそうです。

1群介入前後比較デザインの結論の妥当性を高める1つの方法は、測定ポイントを増やすことだそう。他にも、コントロール群を設けることによって、介入の効果評価の妥当性を大きく高めることができるそうです。

本には、測定値の分析についても詳しく書かれています。
私の業務に役立ちそうな知識はここまで。まとめも以上にします。

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