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【都市伝説】スマホはいかに我々の頭を悪くしているか

ーーースマホテロ。

そう言いたくもなります。

地球人の頭脳を劣化させるために
宇宙人が仕掛けた大規模テロ。

スティーブ・ジョブズは
宇宙からの刺客だったのかもしれません。



急になにを言い出すんだ、
頭がトチ狂ってる。

そう思われることでしょう。


テロや宇宙人はさておき、

なぜ「スマホが我々の頭を悪くしている」
と思うのかについて



プロデューサー、評論家、文筆家、実業家、企画者、講演者という肩書きを持つ岡田斗司夫さん(肩書きが多すぎる…)の解説をもとに
ムーンショット計画と絡めた妄想の世界を記します。



2094年10月3日

最近、物忘れが激しい。
もうすぐ高校受験だというのに、受験勉強はおろか学校の文化祭の日程すら忘れてしまう。
イベントとはいえ、実際に学校へ行くわけではない。
「学校」そのものの存在はあるが、物質的な建物はない。
すべてはVR空間で行われ、劇の台本や作曲などのほとんどをAIが担当してくれる。
うちの中学は生徒数が多い。
全学年で50人もいるので楽しみ。

忘れっぽいのは私だけだろうか、と不安だったが
相談した友人も昨日食べたご飯すら覚えていないらしい。
レンジに食材を入れ、番号を指定するだけで簡単に料理ができあがるため
何を食べたかすぐに忘れてしまうそうだ。

メタバースでの会話。
実際に会ったのはもう何年前だろう。
5年?10年?
授業が完全にリモート化してからは家族以外会っていない。


ノルウェーで
「同じ短編小説を紙に刷ったプリントで読ませるのとタブレットで読ませる対照実験」を小学生に行った。
⇒紙で読んだ子供の方がよく覚えて理解した




2095年2月10日

今日は全国一斉に高校受験が行われた。
国立も公立も私立も。
昔は学校によってバラバラだったらしいが、
現在は一斉に知能指数を測り、その数値によって学校を振り分けられる。

一瞬で受験が終わったので、
ゴーグルをつけ、テレビを観る。
40年前までは「芸能事務所」というものがあり
生身の人間が働いていたらしい。

もっと前までは「テレビは家族で観るもの」だったようだ。
みんなでリビングに集まり、テレビを囲んで笑い合う。

「テレビを囲む?」
どうやってやるんだろう?
考えることに疲れたのでもうやめる。


ニュージーランドの大学教授(ジェームズ・フリン)によるフリン効果で見ると
⇒IQテストを各年代ごとにやると、20世紀に入ってから人類の知能指数は上がっている。
⇒しかし1980年代以降の調査では1990年代で頭打ちになっている。これは丁度「ビデオ時代」から。
⇒2010年あたりからIQの下降が始まる
⇒この原因はスマホの普及による「マルチタスク」




2096年12月20日

今日は車で散歩した。
中学校入学祝いに買ってもらった車なので、
4年ぐらい使っている。

1人乗りの車は全自動運転なので、物さえあれば何歳からでも乗れる。
令和時代まで自転車というものがあったらしいが、脚を使って人力で漕ぐなんて
江戸時代か!と突っ込みたくなる。

インドネシアが世界のトップ3に入ったのは
全自動運転の車が普及を始めた頃からのようだ。

そんなことを考えながら、ふと外の景色を見る。
「ここはどこだろう」
ふだん車に乗っているときはスマホを触っているせいなのか
近所でさえも道が分からない。


スタンフォード大学の研究で
自分でマルチタスクができると思っている(スマホを触りながら何か別のことをやっても大して変化がない、音楽を聴きながら仕事した方が調子良いなど)人たちを対象に調査した結果
⇒実は集中力が低いことが分かった
⇒脳には切替え時間が必要(注意残余)
(たとえば映画を観ている最中に何秒かメールを見ると、元の集中力に戻るには数分間かかる。)
⇒なぜ人間がそれに気付かないかというと「脳がマルチタスクをしている間にドーパミンを出す」から
⇒自分の作業が「より進んでいるという錯覚」を得る




2097年7月5日

ご飯を食べながらVRでテレビを観ているといつも同じ広告が入ってくる。
広告だけは昔から変わらずあるんだなあ、と思いつつ。

「家を売るなら」
「食材を短期間で全て使い切る方法」
「業界最高値で買取!装飾品をメタコインに替えよう」

ああ、あれか。
この前メタバースで高校の友達と喋ってたとき
「お前んちいつ行く?」
って言われたな。

でも単純に
「まだ、こわい」の感情はあるけど
なにがこわいのかって聞かれても
なにも答えられない。

いつからこんなに
「考える」ことが苦になったのか。


実は人類というのは、集中力があるように見えて「物事に集中させないように」脳が作られている。
⇒何かに夢中になっているような人間の祖先は肉食動物に襲われていなくなってしまっている。
(周りをよく見ている人間が生き残った)
⇒周りを見渡し小さな変化に気付くと脳に「快楽物質」と「不安をかき消す物質」が出る。よって、その成果を過大評価してしまう。




2098年8月1日

1年に1回しか日記をつけていないことに気付いた。
始めたときは
「毎日記録するぞ!」と意気込んでいたのに。

日が経つのは早い。

過ぎた日に見合った収穫はあったのだろうか。

いつの間にか、年を越して
新しい年度を迎え
数字だけ増えていく。

色々やった。
要領はいい方なので、
興味を持ったもの全てに取り組んだ。
周りよりだいぶ知見も深めたはず。

…はずだけど、
何をやったのか覚えていない。

なにも説明ができない。


マルチタスクをやっている人たちは「自分の作業効率が上がっている」と感じているが、冷静に実験して確かめてみるとあきらかにシングルタスクの方が効率はいい。
しかし、人類の脳はシングルタスクに集中させないように進化しているので、ついついマルチタスクをしてしまう。




2099年1月31日

研究者の両親と電脳世界へ行くことになった。

それはすごく有意義なことで、
まず、食欲もわかないので食費がかからない。
死ぬことがないので、大好きな家族とずっと一緒にいられる。
老けることもない。
だけど、なんだかなあ。

とっくの昔に、
友人も旅行に行った。

友人は、SNSで有名な存在だったが
知らない人から誹謗中傷を浴びることもなかった。
世の中の「誰かを攻撃したい感情」は全てAIが吸収してくれたから。

でも、友人は早々にあっちへ行った。
なんでかな。

こっちの世界で、先住民の感想を聞くことはできないが
いずれは通信もできるようになるだろう。

長年住んだこの家。
形はそのまま再現できるらしいが、
においまではまだ。

卒園式以来の感情。

先生、友達、
リアルな人間の表情と動き。
体温。

これを両親に話すと
複雑な表情をしていた。


大学生500人を対象に行ったスマホの実験で
①電源を切ってポケットに入れる
②電源を切って教室の外に置いておく
この2つのグループで試験を受けさせた
⇒教室の外にスマホを置いてきたグループの方が点数があきらかに高い
⇒ポケットの中にあるだけでスマホを意識してしまうことが原因
⇒注意力が分散し、無意識に数分に1回スマホを気にすることによって「見ちゃダメなんだ」と気持ちを押し殺す。
⇒この「スマホを無視する」というコマンドに対する脳の処理容量が、脳全体の処理の10%近くを奪っている。




2100年1月1日

明日はいよいよリアルな世界とお別れの日。

内閣府のムーンショット計画について
何度も読んでみたが、
結局なにも理解できなかった。

このブログが誰かの役に立てばいい。

誰の、なんのために。
それはわからない。

記録に残しておかなければ、という
それだけの潜在意識。

そもそも我々はなぜ
ここにいられないんだろう。

でもたしかに、

なにも覚えられず、
集中もできず、
体を動かすこともほとんどなく、
ただ、食べて寝る。

そんなことでいいのかと悩んでいたから
あっちへ行くのも悪くないかもしれない。


スマホには新しい情報や注目すべきことが流れているので常に気になってしまう。
リンク付きのテキストを読ませるだけで、リンクなしの情報より理解量が下がる。
それは「リンクをクリックするか迷う」ことで脳の容量の何パーセントかが使われてしまうから。




5729301020年

「地球に人っていたんだね」
「最後の方は簡単だったよ」
「ジョブズもいいことしたね」
「彼は本当に優秀だった」
「まさか人間の脳の仕組みを利用するとは」
「おかげで優秀な生物のみ生きれる世界になったよ」
「コスパいいね」
「ジョブズのギャランティは高いけどね」


スマホは人間の能力を下げると分かっていても、脳のプログラムでは「常にマルチタスクであれ」という命令を守ろうとする。
スマホに注意を払うたびに、脳の処理力を使うと同時に「報酬系のドーパミン」が少しずつ出ている。それによって人間は少しでも時間があればスマホを見てしまう。
①スマホを見たいと思った瞬間
②実際にスマホを見た瞬間
③自分にとって役立つ情報を手に入れた瞬間
この3段階でドーパミンが出ることにより「やっぱりスマホを見て良かった」となる。


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