実家のお片付け

いよいよ三月いっぱいで実家とお別れ

20年以上、住宅街にひっそりとたたずむそれは

父の遺してくれた大切な大切なお家。思い返せば若くして二度も家を建てた父は格好良かったな。ただ数年しか、その家に帰ってくることが叶わなかったのね。なんだか色々と忙しなかったよね

もう3年になるのかな…

私自身もその家で、建物なんだけれど守りたくて

いつかまた三年前のような暮らしが当たり前に戻ってくると信じていた。

けどもうお別れ

一軒家の管理は本当に大変。庭の草刈りをさぼるとすぐにボーボーになっちゃう。

ご近所さんに申し訳なくて、けれど距離感が掴めなくて退院してから三か月ほど自由に帰っていいはずなのに帰ることが怖かった。

ほったらかしてごめんね。あの時空気の入れ替えくらいすべきだったなぁ。

それからは我が物顔で居座って、まるで帰ってこない家族を待つように…

けど自分の家と行ったり来たりわがままに振り回した。建物なんだけどw

それから三年たった今、やっとこさ本格的にお別れの準備

今日はレシピ本や、子どもの時に自作したレシピ集

パソコンとプリンターを駆使して沢山印刷して雑にまとめた水色のファイル

レシピたちにはたくさんの日焼け跡や油染み、時々ページや紙が破れてたり

満身創痍。でもね、それぞれが読めるしちゃんと機能しててね

また焼いて!作ってって賑やかだった

大丈夫!ちゃんといまの狭いアパートへ連れていくよ

その前に、広くて日の当たる大好きな実家のキッチンでおいしく焼いてあげるね。

自分で好みのレシピを探し集めた水色ファイル。子どもの時から変わらない味。たたずまい

その環境を与えてくれた家族やレシピブログの管理人さんや、作ったお菓子を食べてくれた友人や兄弟。材料費のおこずかいをくれたおばあちゃん

母がバイトで買い譲り受けた古くからのケーキ型やレシピ本たち

正直心の整理が追い付かない。実物を目にしたら途端にお別れが現実味を帯びて迫ってくる

三年前、急にひとりになってしまった私を受け入れてくれてありがとう

広い日の当たる暖かなキッチンが大好きだった。とっても広いお風呂も。

学校へ行かず、漫画や小説をもってお風呂へ籠城して祖母を心配させた思い出も

私の部屋も、広いクローゼットも大きい本棚も

ときどき、大切に出来なくてごめんね。

ハリーポッターに出てくるお料理を再現していたブログにあった

糖蜜パイのレシピを見つけたの!ずーっと探してたけれどちゃんとあったね。

昔のようにはちみつで代用して今度焼こう!モラセスという響きが懐かしい

祖母と一緒に行った、小学生のときから御用達の変わらない富澤商店

東急デパート

正しいさよならの仕方を・・・学ぼう

実家がなくなっても、今の私の住まいはここ。このお家もだいぶ馴染んできた。

比べるものじゃない。だって実家は特別だから

沢山写真を撮ろう。胸にしまいたい思い出を噛みしめて反芻して味わおう

きっと次に大切にしてくれる家主さんが見つかるから!

最近、モノを持つことへまた抵抗感。身軽じゃないのは性分に合わない

いつだって子供の時の私は、うるさくて眩しくて語り掛けてくる

分かったよ!もう大人になったけど実験の毎日だったお料理を心ゆくまでしようね

インスタントコーヒーからチョコレートができると信じて疑わず

何度も牛乳やら生クリーム、お砂糖を混ぜ火にかけ錬成していた夜

スパイスからカレーを作ったけれど父に不評だったインド風カレー

お米をミキサーで砕いて作ったザラッとした舌触りのお団子

それを食べてくれた父の古くからのバイク仲間



寄り添うから。もう大丈夫。

ありがとう、実家という建物だけど心のよりどころだった居場所

ひとりでいるにはとても管理しきれなくってごめんね。

外飼いのわんこと遊んだお庭。兄弟が世話したバラ達

季節ごとに花を咲かせ実を付ける果樹たち。玄関扉から入る日の出の光

うん、もう大丈夫!

面白いから断捨離ノートでもつけようかしら

一生に一度の大切なお別れ



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