当記事は、以下の傍聴記事の続きの傍聴記となりますので、内容のご理解のためにまずお読みいただけると幸いです。長いので、予習や復習だけでお腹いっぱいにならないでくださいね。
ちなみに、これまでの記事で微妙にタイトルを変えていることにお気付きでしょうか?
1回目は「エラい目にあった話」。これは特に本文では言及しませんでしたが、気付いたら長文を書くことになったことが、エラい目と捉えてもらえたら。
2回目は「毅然としたくなった話」。これはピーチの統括本部長のお言葉に裁判の内容云々でなく、一社会人として共感したことからつけました。
そして、今回が「頭を悩ませた話」です。
どんな裁判でも頭は悩ませるんですけどね、今回は特に悩みました。まぁ、バカみたいにひたすら傍聴メモを取って、ただ書き写している訳じゃないですよってことを思えてもらえたら、それで満足です。
そんな訳で、今回もお手数ですが以下の点をご確認の上、何卒よろしくお願いいたします。
お読みいただくにあたって
第8回公判概要
被告人の入廷時の話。
印象として前回はお疲れの様子で、入廷時にすごくけだるそうに見えたのですが、今回はやや血色が戻った印象。入廷時に一礼、裁判官に向けて一礼して自分の席に座りました。
あと前回からの変更点として、今回は自分の席にパソコンが用意されていないご様子。なんか毎回USBがどーのこーの言ってたから、あまり電子機器には詳しくないのかなと思ってたのですが、どうなのでしょう。
さて、今回の公判は弁護側が請求した証人2名の尋問から始まったのですが、記事では順番を入れ替えまして、その後に行われました被告人質問から先に書きます。理由は後で書きます。
という訳で、いきなりクライマックス感がありますが、くどいようですが注意です。
これからの証言は被告人視点での証言です
過去の証人の証言と食い違う箇所もあると思いますが、逆に言えば過去の証人もその人ら視点のものです。
あまり一喜一憂せず、それぞれの主張として見ていただけると。
被告人質問(弁護人より 1/4)-ヨーロッパ政治と楽しそうな北海道旅行-
被告人が証言台の前に行くように指示をされます。すると、自席より被告人が発言をします。
本来、法廷内は飲食厳禁です。しかし裁判長は、それによって質問に差支えが出ては本末転倒なのと、弁護人に区切りのいいところで休憩を挟むこと、そして被告人にはあくまで不可であるがと前置きしつつ必要な場合に飲用を許可しました。
双方とも普通に穏やかな口調だったので良かったねという感じですが、こういうのって弁護人が事前に許可取っておくものなのでは?と思ったり。
勘弁してくれ~。カタカナの人名、地名が覚えられないという理由で世界史と世界地理は諦めた身として、非常に不安になるスタート。
ひとまずこのヨーロッパ政治の話はここで終わるので一安心なのですが、単に人となりを説明するアイスブレイクだけでなく、今回の話にもリンクしそうなところが面白くもあり、なんとも厄介に感じるところ。
この辺りは、事件によって勤務日数が減ったことによる社会的制裁を受けているという主張でしょうか。事件が9月だったので、そこから後期の日程が減ったと言えるのかは微妙な気がしますが。
丁寧な口調で答え続ける被告人。やはり根本としては頭がいいのだろうというのが伺えます。そして、いい意味でも悪い意味でも、大学の先生っぽいなという感じです。そのまんまの意味です。いい意味でも、悪い意味でもです。
いいなぁ、楽しそう。
弁護人としては、旅の最中マスク未着用でトラブルはあったかと聞きたいのは読めまくりですが、旅好きとして単純に北海道に長期間いるのが羨ましい。
位置関係わかんない方に説明するとこんな感じね。で、でも、ぼぼぼ僕は最北端の稚内や、最東端の根室まで行ったことあるもんねぇと謎のマウント取ってみたり。
ほぼ同じ縮尺で関東などで表現するとこんな感じ。当然、裁判には全く関係ないので秒で忘れてもらって結構です。
2020年9月って自分は何をしていたかなぁ、そのときノーマスクの人と会ったらどう思ったかを考えてみる。
少なくとも自分の周囲は知人、その他目に入る人、誰もノーマスクの人は見なかったのと、健康上つけられない人がいるっていう頭がないから、やっぱ戸惑っちゃうかもなぁ。健康上つけられませんって言われたら、自分の場合は着用を強制するとは思わないけど、それだったら旅行も控えたら?とか言っちゃいそう。
それは差別じゃないかと言われたらそうかもしれないけど。
被告人質問(弁護人より 2/4)-ピーチ事件、 21Aとトラブル-
さぁいよいよ機内です。前回も書きましたが、こう色んな人の視点から語られる物事って、見え方変わって興味深いでしょ。
どちらの情報を先に聞いたかで印象が異なるなどもありそうですが、裁判においては基本的にあらゆる程度の証拠が揃ってから、それらを踏まえ被告人にどう思うかを含め聞いていくのが流れなのです。
この流れが事実だとすると、皆さんの頭の中に一つ疑問が浮かびませんでしょうか。
「自身の体質、病気のことを言ったらいいんじゃないの?」と。でも、これについてはちゃんと問答がありますので、そのツッコミは心に留めておいてください。
仕草で表現する被告人。あっち行けしっしっだと、手首だけ使ってぶらんぶらんさせるイメージがありますが、肩くらいの高さで真横に向けて肘を伸縮するポーズをしています。押し出すような感じですね。
メモ取るときは必死なんで、ずっと下を向いていたんですが、もしかしてずっとプレゼンで培ったオーバーリアクション気味な行動をしてくれていたのだとしたら、すまぬ見てなかった。
これ以降、Bさんが出てくるということでいったん休憩。
今回もメモが多いなぁと、いったん法廷の外で、ぐーっと伸びていたら、初めて来たと思われる人が、「なんか思ってた感じの人と違くね?」みたいな話をしていました。
目の前の証言に一喜一憂と心が揺り動かされるのはよくわかります。やっぱ被告人は話がお上手だなぁと感じますし。
ただ、こういう主張をしてるんだぁくらいに留めておかないと、自分の心が行ったり来たりで、今後の公判の進行に心が持たなくなるぞと心の中でアドバイス。
では、後半戦行ってみましょう。
被告人質問(弁護人より 3/4)-Bとの座席と後方ギャレーでのやり取り-
先ほど言った通り、後ほどどうして「自分は身体に不安があるので」と言わなかったという理由はわかるのですが、それでもここでは何かで表現した方がよかったのでは?と、被告人の言う流れが本当だとするならば。
Wikipediaの記事参照で申し訳ないですが、この記事の「モンゴメリー・バス・ボイコット」のことですね。
ここの爆笑の部分はPさんと同じ描写ですね。実際の言い方やその場の雰囲気であったり、主義主張の違いなどはあると思いますが、このときの被告人の不快さは想像できるところです。
このアームレスト問題だけは、いまだによく趣旨がわからないんだよなぁ。ただ単に証言の信用性を争うものにしては、その結果が何なの?というのがまだ見えてこない。
個人的な意見を言わせてもらうなら、30cmも前の座席との間隔がない場所で、アームレストが上がってない状態でも出来る足の動かし方しかせんと、立ってやればと思うけど。もちろん義務なんてないんだけど、それはただの意固地と言うのでは。不快な感情はわかるけどさぁ。
問答を端折ってないと前置きをした上で突っ込みます。
その状態で、落ち着くか~!
こほん、冷静さを失っていました。失礼しました。
それにしても、さすが海外で学んだプレゼン技術よろしく、ちょいちょい抑揚をつけるように大声でその場を再現する被告人。今後、自身の証言についても抑揚をつけていただきたかったのですが、それはこれ以降も叶わずでした、残念。
ここで被告人の発言が本当とした場合に気になるのは、
CA陣は21Aに何を注意してくれと言われたのかわからなかったのではないでしょうか。いろいろありすぎですからね。「あんま他のお客様を刺激するようなことはお止めくださいね」でも注意は注意ですけど、それじゃ被告人は納得しないでしょうし。
この点については、被告人の言いたいことに対して、「あーはいはい」的な流した気持ちがあったのかもと想像できなくもないです。あくまで想像ですが。
一方で、被告人側に気になることも。
冷静な口調で喋ってるのは自身の主張の場なので構わないのですが、自分は冷静を装っているのに、このやり取りで相手の情報を聞こうとするのは、ちょっと執着し過ぎなエピソードの気がする。
被告人質問(弁護人より 4/4)-前方ギャレーのやり取りと警告書、命令書の発行-
ようやく前方ギャレーの話になります。
皆さんも、もう全体の流れをだいぶ把握してきたのではないでしょうか。そろそろこのピーチ事件も終盤に入ってきたということです。
ここで出ました、なぜ健康のことを言わなかったのか。まぁ確かにプライバシーの観点から、特にこの好奇の目に晒されていた状態で言いたくないというのはわかります。
でも、それならばこの被告人質問の冒頭の水の飲用云々についても、やっぱ弁護人に公判前にこっそり聞いてもらっておけばよかったんじゃないのと思ってしまいます。
冒頭でも言った通り、それぞれが自身の主張について基づいているので、ガッツリ食い違っていますが、「嘘ばっか言って!」みたいな反応はやめてくださいね。ここでは、どちらの証言に関しても証明する手立てがありませんので。
ここで弁護人がそのときの命令書の写しを被告人に共有しようと。
しかし検察官から、これは当時のでなく、普通にサンプルなのでは的な異議が。自分の席で資料をひっくり返して探す弁護人。そして被告人も思わず立ち上がって、自身の鞄をあさり、弁護人が探しているものを出してあげようとゴソゴソ。まぁ気持ちはわかるけど、いいから座ってなって。
これで、この日の公判は終了。
次回も弁護人からの質問が続いて、検察官、裁判官と続くのかと思います。今回の弁護人とのやり取りは2時間くらいの話でした。次週はどれくらいかかるのでしょうか。今から震えています。
今回、被告人の話を聞いて、いろいろと思うところがある人がいるかもしれません。ただ、こういった意見の汲みかわしの妙が裁判の醍醐味と感じてもらえたら嬉しいです。
ここから私見が入ります。
恐らくですが、弁護人としては、
マスク着用について被告人は理解がないわけではないのに(自身の思考やジェットスターでの対応など)、今回問題になったのはピーチ側の対応が問題だったからだ。
CAと被告人の意見には食い違ってる点が多く、その中でも冷静に対応してきた被告人の証言の方が信用性が高いはずだ。
万が一妨害と思われるとしても、長い時間拘束していたようなものではない。
周囲も囃し立てるなど、コロナ禍においてピーチ側が冷静な対応を欠いていたし、ピーチのCAが2人来たけど、被告人に悪い感情を持っていたから事前に辻褄を合わせていたに違いないみたいな主張になるんですかね。
これは僕の勝手な妄想です。
CAさんを疑っているわけではないですが、現場を見ていない第三者の意見としてその二人が結託して何かストーリーを作った…という可能性は100%ないとは残念ながら言えないところ。
でも、そうするとクリアしないといけない問題が出るんですよね。前回、証人として出廷したオペレーション運行管理者と機長のやり取りがあるんで、CA二人だけの話じゃないんですよね。緊急着陸の判断等は機長がするって言ってるし。
まぁとにかく、次回で被告人質問も完結するので、それまで待つとしましょう。
さて冒頭で、この公判では被告人質問の前に証人尋問があったと言いましたが、これからその場面を紹介していきます。
「えっ!これから?」とお思いかもしれませんが、まだ15,000字弱ですよ、とバグったなだめ方をしています。
そして、大変申し訳ないのですが、
この証人尋問については「有料記事」対応とさせてください。この対応が、今回のタイトルである「頭を悩ませる」という部分なのです。
理由としましては、やはりこの事件、非常に多くの関心を集めております。
そしてTwitterなどで、激しい意見のぶつかり合いがなされているのを私も確認しています。被告人を擁護する人、逆の立場の人それぞれ拝見しています。
これから証人が2名出てきますが、この件で多くの憂い目にあっていると証言しています。
被告人については公判の場で、自身の主張をすることができますが、
証人がこの件で好奇の目に晒されるのは僕は正しくないと考えます。(もちろん被告人ならいいと言ってるわけじゃないですよ。)とても無料で無制限での閲覧は難しいと考えました。
偉そうにと思うかもしれませんが、
これが私自身が今まで裁判というものに向き合ってきた姿勢ということでご容赦いただければ幸いです。