「交際していると思ってた」風俗店女性に騙される悲しき男の性　傍聴小景 #107（詐欺）

僕だってバカじゃないんで（裁判バカは除く）、こういう分野の記事を書いていると色々と気を付けることがあるんです。

その中の一つに「模倣犯を作らせない」というのがあります。
可能であれば、僕の記事を読んでいただけたら「こんな事件があるんだ、気をつけよう」、「他人事だと思っていたけど、そうじゃないんだ」的な感想を持ってもらえたら嬉しいと思っています。

でも、「ふーん、これなら俺でも出来るかも」と思われて実行されたら目も当てられません。なので、ちょっと知識やテクニックがいるものは、多少ぼかしたりというのもあるのですが、それでも限界はありますよね。

はじめに　～クラスに一人はいそうな女性だけど～

罪名　：詐欺
被告人：20代の女性
傍聴席：平均11人（全2回）

決めつけは良くないですが、やはり被告人の外見と罪名で想像するところはあります。
見るからにお金困っている人、社会人として真っ当にやっていそうな人、普段から周りに怒り散らかしていそうな人…etc

それでいうと、今回の被告人さんは、大人しめな雰囲気だけど可愛らしい雰囲気を持っている。少しだけふくよか。失礼ですがクラスに一人はいそうな感じ。
詐欺という罪名とどう絡むのか気になるところです。

事件の概要（起訴状の要約）

被告人は、入院費や施術費を騙す目的で、
LINEで男性に対して「脳動脈瘤の手術、跡が残らない方法がいいな」「細い糸使うと30万円くらいするらしい」など、自身がする予定もない手術があるように装い、男性から30万円を受け取った疑い。

非常に犯罪の幅が広い「詐欺」という罪名。いろいろと練った上での犯行もありますが、こういうストロングスタイル（僕命名）な、単に嘘ついてドーンな犯行も定期的に見ます。

しかし気になるのが、どうしてこの犯行を思いついたのか、そして30万円騙し取った被害者は何者なのかというもの。

そして、ここでは明かせないどうでもいい情報として、読み上げられた被害者さんの名字が独特過ぎて漢字が全く思い浮かばなかったのが軽く気になっていました。
裁判中、何度も「〇〇さんには大変申し訳ないことをしたと思っています（涙」と名前が読み上げられたのですが「だから、お前その名前なんなんだよwww」とちょっと集中しきれなかったり。

採用された証拠類　～テレビで見てそのままやった～

検察官証拠
被告人は大学卒業後、職を転々として、事件当時は風俗店従業員だった。家は交際相手と同居していた。
被害者は風俗店の客であり、店外でも会う仲だった。

被害者の供述：
「手術代30万くらい払える？」とLINEや通話で言われた。支援してあげたいと思って、手渡した。風俗店で知り合って以降、交際している。それまでも10回会って30万円くらい渡している。

被告人の供述：
店の外で3時間3万円で会うことにしていた。もっとお金を取れるかもと考えた。嘘の文言はテレビでやってるのをそのまま使った。何でも良かった。

恐らく見てたテレビの情報ってのは、詐欺の話ではなく普通に手術の話だとは思いますが、それで詐欺に結び付けてしまうのだから、人間の創造力というのは恐いものですね。

それにしても、なんとなく合点の行く思いでした。
被害者にも被告人にも大変失礼な物言いですが、なんというか男性のやさしさというか、そういうのを上手く引き出せるタイプのビジュアルなんですよね。
そのぉ、ほらっ、みんななんとなく察してよ。言いたいことわかるでしょ？これは僕が文章力ないからじゃなくて、わざと濁して言ってんの！

色んな意味で「ちょうどいい」って言ったら、棘があるでしょうに。
あっ、言っちゃった…。やっぱ「愛嬌がある」としておきましょうか。う～ん、でも「ちょうどいい」がしっくりくるんだよ。まぁ当人も自覚しているからそういうことしている、ってことにしておきましょう。

被害者は交際していると言っており、事件以外にも現金を渡している。被告人は別に交際相手と同居している。よくあることなんでしょうけど、やっぱ切ない思いになります。

証人尋問　～溺愛する娘との距離感～