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4630万円事件に魅せられて山口まで行ってきちゃった話(電子計算機使用詐欺) 傍聴小景 #53-①

裁判の傍聴って、いろんな面でハードルに感じると思うんです。法律だったり、法廷でのルールだったり。
でも、意外とやってみるとなんとかなるものです。私も法学部でもないのに、大学生のときにいきなり飛び込みましたが、何回か傍聴したらなんとなくは掴めて、今はご存じの通りそこから知識は何も成長していないのに、皆さんに偉そうに事案の紹介などしています。

でも、そんな僕でも敬遠する罪状があります。それは、「銀行が絡むお金の話」や、「税金や国の制度に関するもの」。元々の僕の素養の問題もあるでしょうが、とにかくこの辺は裁判に慣れてきてもわからないのです。

なので、ご安心ください!
ニュースで話題だから、これから紹介する裁判の傍聴に初めて行ってみたけど、よくわかんなかったという人。
僕でも全然、わかんなかったんで!

というわけで、裁判に対するハードルどころか、この記事に対する皆さんの期待度すらも、ぐーっと下げたところで有名裁判の話行ってみましょう。

お読みいただくにあたって

・【ここ非常に大事】
この記事は、あくまで裁判をもとにしたものです。ニュースではこう言ってたとかでなく、裁判傍聴によって感じたものを中心に記載するので、その点ご容赦を。
・某有名事件を取り扱いますが、今までを踏襲し名前は出さず「被告人」と表現します
・不必要に用語を使わないようにはしますが、専門用語やその解釈に誤りがあるかもしれません。その際は優しく訂正してください。また、そのくらいの再現度なので、この記事だけをもとに、何かを真実だと断定することも避けて欲しいです。


山口地方裁判所へ向かう

今年を代表する事件の一つと言ってもいいでしょう。
山口県で発生しました、給付金の詐欺被疑事件の裁判について触れていきます。

今年は山口県が話題になることが多かったですね。山口に縁のある安倍晋三元首相の銃撃、高校野球では山口県代表の下関国際高校が優勝候補を次々倒して準優勝、M-1では山口県出身の方がいる「ダイヤモンド」が最下位になるなどなど。

そんな山口の話題が多い中でも、この事件のインパクトは大きかったですね。
まず、事件が山口県の北部に位置する阿武町で起きたので、「どこ?」というところから始まりました。管轄としては同じく北部にある山口地裁 萩支部で行うものかと思い、私もわざわざ裁判所の下見に萩まで行くという奇行に走ったのですが、事件の規模から勘案してか、本庁である山口市にある山口地裁で実施されました。

山口市といえば、山口県の県庁所在地なのですが、人口でいうと山口市の約19万人に対し、下関市が約24万人なので、県内2位。この2位というのも実は平成の大合併後の話で、それまでは下関市、周南市、宇部市に次いでの4位だったらしいです。
また山口地裁はアクセスも悪くて…。新山口駅は新幹線も停まる駅で、JR山陽本線とJR山口線の乗り換え駅ではあるのですが、裁判所や市役所、県庁がある山口駅というのはその新山口駅で乗り換えて20分以上かかり、他線との乗り換えもありません。

実際行ってみれば分かります。大層のどかです。
こんな山口駅から徒歩2分という、車社会なのに駅からのアクセスは抜群という、どこでバランス取ってんねんという場所に山口地方裁判所はあります。

10月5日の初公判、開廷時間は15時からでしたが、その注目度から傍聴券の配布が発表されていました。
傍聴券とは、普通、裁判は誰もが入れるものですが、立ち見ができないため、注目度が高いと思われるものに対して配布する席を確保する予約券みたいなもの。その券の取得に向け、座席数より多くの人が集まる場合は抽選を行うことになります。その抽選券は13時15分~13時45分に配布とのこと。

このためだけに大阪を出た僕は、12時38分に山口駅に到着しました。先ほど書いた通り駅から2分なので相当早いです。もちろん、傍聴したい強い気持ちがあったというのは間違いないですが、新幹線の乗り換えである新山口駅には停まる本数も少ないので万が一に備えて早めに到着しました。
まぁ付近をブラブラしていればいいかと思いましたが、

地裁の前には相当数の報道の方々が陣取っていました。僕が言うのもですが、開廷は15時からですよ…。
裁判所の職員さんたちも、傍聴券の抽選のための導線作りにロープを張ったりと、所全体で動いているご様子。ちょっとやそっとの芸能人の裁判でも、ここまではならないのではないでしょうか。


「誰も死ななくてよかった」と語る女性

抽選はパソコンでランダムで行うので、1番早い方が有利とかはないのですが、そういった熱に押されて、早々に抽選券の配布の列に並ぶことにしました。30分も前だし、誰もいないかと思ったのですが先客がいました。60代の女性でした。
話しかけてみると、なんと事件のあった阿武町から本日お越しになったとのこと。元々、町役場で働いていたこともあるそうで、現副町長さんとは今でも親交があるとのこと。
事件が報道されてからは、静かな町に連日多くのカメラがいて騒がしく、そして見知った役場の方々が疲弊していくのを見て本当に心配をしていたと言います。

「この件で誰も死ななくてよかった」とはその女性の言葉。財産事件なので命に直結するものではないですが、現場の方々の様子を見てそのような心配をしたくなるほどだったのでしょう。確かにそういう観点もあるよなと、気付きがある印象的な一言でした。
今回は、裁判でどのような話がなされるのか、町民として見届けたいということでお一人でお越しになられたようです。やはり、裁判というのは、傍聴席にもいろんなドラマが隠されているんですね。

37枚の傍聴券のために、最終的に200名強が並びました。倍率にして約7倍。これなら2人とも当たらないかもねぇなんて話していたのですが、僕が当たり、彼女が外れてしまいました。…いやぁ、気まずかったですねぇ。
僕は傍聴券に当たったから、この後裁判を傍聴するしかないのに、彼女は僕に山口県の観光地図などを渡して去っていきました。裁判を傍聴後、そのまま大阪に帰ることになったので、その観光地図は今も使われず家のどこかにあります。

という訳で、お待たせしましたようやく裁判の話です。

第1回公判概要

日 程:10月5日 15:00~17:20
罪 名:電子計算機使用詐欺
被告人:20代男性
傍聴席:56人(裁判官入廷時)

傍聴券は37枚と言いましたが、上の概要では傍聴席に56人と書いているのは何故か。
こういう事件には、傍聴券で争う席とは別に、裁判所が確保している報道関係者用の席があるのです。60席弱の傍聴席の20枚近くが報道関係者で占められてましたけど、そんないるんですかね。あのおばちゃんに1枚分けてあげて欲しかった。

15時からの裁判に向け、14時20分から法廷が開きました。そんな早く開かれてもやることないんですけどね。
そして55分から報道用の撮影が行われました。裁判長とかが微動だにせず、ただ撮影されるだけのやつですね。あれは決まりなのかわかりませんが、私は2分間という撮影時間しか経験したことがありません。

そして、58分ごろに被告人が入廷しました。被告人は釈放時の乱雑な長髪でなく、両脇を刈り上げ、後ろで束ねていました。黒いスーツに白いYシャツ、黒のネクタイを締めています。緊張しているのか、やや強張った表情のように思えました。
犯行の内容からも、ウェイウェイ系の方かと思ったんですけど、少なくとも見た目や、公判通じての態度ではそうは感じませんでした。「演じてるんだよ」という人もいますけど、演じてるつもりでも本心が滲み出ちゃう人とかが大半なのを見続けている僕からは、少なくとも安易に取り繕うとしているという印象は持たなかったです。

事件の内容と認否 ~罪の成立は争う~

検察官が読み上げた起訴状を簡単にまとめると、

被告人は、三菱UFJ銀行の自己の口座に誤って振り込まれた4,630万円に対し、それを「銀行に告知することなく」、「正当な権限がない」のに、「オンラインカジノで費消する目的」で、インターネットバンキングを通じて、「虚偽の情報を入力」し決済代行サービスなどに振り込みなどを行い、不実の電磁的記録を作った。

なんとなくニュースで聞いていた内容を、かなり難しく、かつ詳細に話してくれました。
この起訴内容で重要なのが「」で囲いました、

・銀行に告知することなく
・正当な権限がない
・オンラインカジノで費消する目的
・虚偽の情報を入力

この4点でした。あまりこの点に触れる報道はなかったですよね。事件の審理でちょいちょい触れていくので、この4点覚えておいてください。

この起訴状について被告人と弁護人に意見陳述の機会が与えられます。

裁「今、読み上げられた起訴状に何か誤りなどはありますか」

被「振込操作は私が行ったことであり間違いないです。大変申し訳ないことをしたと思っております。法の部分については、弁護士にお願いします。」

弁「事実関係に争いはありません。ただ、虚偽の入力を行ったという点など、法的評価、罪の成立について争います

つまり、起きた事象自体は間違いないですが、その犯罪の成立については争うと言っています。
というのも、起訴されている電子計算機使用詐欺罪というのは、

人の事務処理に使用する電子計算機(コンピュータのこと)に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者

刑法246条の2

とある通り、コンピュータに虚偽の情報や不正な指令を与えることで財産上利益を得ることを示す罪状です。
今回、誤入金され、勝手に使ってしまいましたが、それは入ったお金をそのまま移動させただけで、虚偽の情報を与えて不法の利益を得たものじゃないという主張です。
ちなみに、道徳上、誤った行動であることは弁護人も被告人も認めているので、この罪の成立を争うことで、全然反省してないじゃないかと読み解くのは止めてください。

さて、このやり取りを見て、どうでしょう?
今の情報だけでは、確かに弁護側の言ってることもわかるけど、罪の成立条件って判例からいろんな解釈があるのかもしれないしと思ったり、なかなか争いが激化しそうな予感がしてワクワクします。

しかし、意外にもバチバチした争いは初日において起きませんでした


検察官が提出した証拠から見る事件の流れ

これほど大きなニュースだと、経緯を示す証拠などに弁護人が異議を申し立て、検察官が追加の立証をするというので裁判が長期化しますが、起きた事象自体は争いがないので、ほぼ検察官の証拠自体には弁護人も同意していました。
少し長くなりますが、ざっと背景や事件の流れなどをご覧ください。

被告人の身上経歴
高校を卒業したのち、令和2年より阿武町にて単身で居住。自治体による空き家バンクによって転居した模様。しかし、仕事が長続きせず、借金を重ねるなどの生活をしていた。なお、この借金は債務整理を行うなどしている。

事件の流れ
阿武町による、新型コロナの対策としての1世帯につき10万円の特別給付金制度に、被告人は申し込んだ。後日、申請が通り10万円が入金されたが、それとは別に4,630万円が誤って入金されてしまった。

振込を行った銀行が振込当日の午前に気付き、指示をした町などに確認し、町も把握。
被告人の携帯電話に電話したが繋がらなかった。出納補佐係が町づくりバンクの担当者ということで携帯を知っていた。
副町長から公用車で直接行って謝罪するようにと指示。訪問したところ、被告人は家にいて謝罪をしたところ、「あんたがしたんですか」と笑っていた。

誤った振込がなされたことが判明した場合、「組戻し」という誤った取引を止める手続きを本人同席で行う必要がある。その説明をして、支払先であるUFJ銀行に一緒に行くことを相談して、被告人は了承した。途中、100円ショップで、被告人の名字の印鑑を職員が購入などして銀行へ。
しかし、銀行に着いた途端、被告人は

「急にそんな大金の話をして詐欺ではないか。何をどうして欲しいか書面にして欲しい。弁護士に相談する。ついでに、ニトリまで送って欲しい。」

などと言って、その日の組戻しは拒否した。ついでに、本当にニトリまで送らせた。
その後、自身の携帯電話のインターネットバンキングで入金を確認した被告人は、34回に分けオンラインカジノに使用する目的で決済代行サービスに入金したり、デビットカードの利用上限金額を50万円から200万円まで引き上げるなどした。
その後も町の説得、母の説得があったが、「もう流してて、返せない」と言うなど、返金に応じなかった。

被告人には、健康保険の未納があり、国税徴収法に基づき、町と弁護士が動きを始めた。

振り込まれた銀行員への電話聞き取り調査
組戻しには受取人(今回は被告人)から承諾書を得る必要がある。被告人が払い戻しを求めてきたら、まずは承諾書を書いてもらう必要がある。また、調査を行うなど、すぐには方針は決められないとのこと。
今回は山口銀行から連絡を受けた、UFJ銀行は2:30~3:00に来店するという連絡を信じ待っていたが、来ることはなかった。

誤振込の可能性は高い話と思ったが、その時点で判断することはできなかった。誤振込の依頼が来たら聞き取りや話し合い、場合によっては仮の差押えや警察への相談というのもありえた。

なお、この聞き取り調査についての証拠について、弁護側は一銀行員に対する電話聞き取りである程度であることを留意した上での同意で、証明力に疑問ありと裁判長に進言した。

うん、ムズイ。
ちなみに、読者の方の中には、「で、結局誰がどういうミスで誤振込したの?」ということが気になっている方もいるかもですが、少なくとも傍聴席にもわかる形では開示はされませんでした。事件の原因ではありますけど、それによって被告人の罪がどうこうなる訳ではないですからね。

とはいえ、それがなければ今回のことが起きなかったのも間違いないことであり、それ自体は被告人に対し同情というか、「大変だったね」くらいの感情は抱きます。
仮に自分が同じ状況になったらどうしてるか想像してみます。組戻しに応じるかじゃなくて、どう対応するかという話ね。
まだ入金の事実を知らずに、いきなり家に市の職員と名乗る人間が来る。名刺とか出してきたけど、本当にそうかなんて確証は得れない(被告人は空き家バンクの件で顔馴染みではあったようですが)。それでいきなり車に乗せられ、4,630万円が振り込まれたから、どーのこーのって言われても、「はい、そうですか」と即答はできないかもなぁ。その後の被告人の行動は愚かとしか言いようがないですが…。

警察や検察での取調べでの被告人の供述
ギャンブルが大好きで給料のほとんどを費消していた。負けており、サラ金から借金するなどして債務整理の手続きを行った。
お金を管理できず、あるだけ使ってしまうので、祖母が割り振って、整理されたものを除いて生活していた。

オンラインカジノは20歳のときに始めた。きっかけはわからない。
ブラックジャックやルーレットが好きで、お金をかけないのも行うが、お金をかけるのはハラハラが好きで真剣に取り組んでいた。

阿武町職員から説明を受けた日、1人になってから残高を見て確認した。町の対応に不満があり怒りの感情を持っていた。
人と関わるのが嫌で移り住んだのに、職場にも来ていろいろ聞いたり、仕事の休みなのに対応させられた。母と職員が一緒に職場へ来たとき、「どうして母が知っているのかと驚いた」

そういったストレスを発散させるために楽しいことをしたいと思った。ブラックジャックは頭を使うので、この件についての対応を考えなくていいと思った。3つのオンラインカジノを使ったのは気分転換のため。

行為にいたる経緯は軽薄と言う他ないです。それがまさか、法の解釈を争う、大きな事案に発展するとは思ってなかったでしょうね。

それにしても、被告人は元々どうするつもりだったんでしょうかね。逃げ切れると思ったのか、時間が解決してくれると思ったのか、どうせ捕まるなら少しくらいいい思いしちゃえと思ったのか。
僕も一人でいるのが好きですけど、やっぱ一人でいるには一人で全部やらないといけない責任を伴いますからね。人付き合いが苦手なのはひとそれぞれとしても、やはり誤ったときや不安なときに正してくれる人は必要です。
そう考えると、裁判で一般的に更生の証明として組織体である「会社で働く」というのが多いのは納得できるところです。

以上で、検察側の立証は終了。
被告人が何をしたかというのは、充分にわかりはしたのですが、弁護側が主張しているような、電子計算機使用詐欺の構成要件にどう該当するかという点は、ほぼなされていなかったと思います。
これは傍聴席にも分かるように明かされなかったという意味でなく、出される証拠は要旨として全て伝えられるので、それらすべてを聞いても含まれていなかったという意味です。
そしてこの点は、あとでちょっとした争いになったりもします。

弁護側の立証 ~振込で行う虚偽の情報って何?~

弁護士さんは40歳くらいの元気いっぱい感の伝わる男性。
町が4,630万円を回収するために動いていた弁護士さんとは別の方です。

弁護の軸とする点は大きく分けて3つ

①電子計算機使用詐欺の構成要件を満たしているのか
②町と和解が成立していること
③被告人の反省や、現在の就労の様子、関係者の監督の環境について

一つ一つ見ていきます。

①電子計算機使用詐欺の構成要件を満たしているのか
これが一番の肝だと思うのですが、一番難しい話。間違っている点のご指摘は甘んじて受け入れますし、補足できる人がいたらお願い(;´・ω・)

まず起訴状にあるように、「虚偽の情報を与えて」という点を争う。
実際に利用したとされているオンラインカジノの入金のページなどを用いて、入力項目などを検証。このお金の使用の際に、入力した情報というのは、オンラインカジノへの入金の際に、自身のカード番号や各種情報など、オンラインカジノ上で完結するもの(ワンタイムパスワード除く)ばかりで、銀行のインターネットバンキングに虚偽の情報を与えてお金を動かしたという事実はない。

そして、ここが一番難しい話なのですが、「正当な権限がないのに」というのはどういうことを示すのかを争うという話。
これは、

誤入金があったのに、金融機関に告知せずにそれを使用しようとしたこと
オンラインカジノで使用するという公序良俗に反する使途を秘していた

この2点が争点の様子。
これは、平成8年、平成15年に誤振込に関する最高裁判決がなされており、それらを基にした意見が述べられていました。以下の資料の15ページ以降が論文(?)となっています。

「振込と組戻しの民法理論」

クリックで論文にリンク

そもそも誤振込であっても、振込人と受取人の間で普通預金契約自体は成立している。そこからは関係者間での協議、回復などを行うという前提。

平成15年の判例をもとにすれば、自己の口座に誤った入金がなされているのであれば、組戻しのために該当銀行に告知すべきという信義則上の原則があるものと解される。ただ、今回はすでに銀行としては被告人以外から告知されており、組戻しの手続き準備がなされていたのであるから、それを告知せずにということが正当な権限もなくに当てはまるのかということ。

また、用途が公序良俗に反する目的でそれを秘していたという点。
これは、本来「振り込め詐欺」など不法行為のことを示すものだから、これには当たらないという主張。

難しいんだけど、面白い~。今回の事件って、法律のプロの解説ってあんま見ない気がするんですが、なんかいい発信ってあります?

個人的に弁護人の言い分に一定の納得感を覚えながらも、
平成15年の判決文には「誤った振込金額相当分を最終的に自己のものとすべき実質的な権利はない」ともある。でも、コンピュータを騙したとする、罪名に認定することはできるのか?と僕の頭の中は行ったり来たり。

今回の事例って、当事者の再発防止はもちろんだけど、法曹関係者にとってもいい勉強材料になるんじゃないのと勝手に思ってしまいます。自分で勉強したいというより、パネルディスカッションとかで、頭いい人たちが、あーでもないこーでもない、ってやり合う姿を見たいなぁ。
でも、よく考えたら、それを面白く分かりやすくやっていたのが、NHK「生活笑百科」ってことだったのか。全部の回振り返り放送とかやってくれないかな。クリスマスの2日間とかにやってくれたら、フルタイムでずっと見続けられるのに(´;ω;`)

話がそれました。弁護人が言う、犯罪の構成要件としての主張は上記の通りで、次は
②町と和解が成立していること

他の無罪主張の事件と違って、行動自体は認めているので、被害者にこういう回復活動ができるというのは、仮に有罪認定されたとしても有意義ですよね。どこかのノーマスクも見習って欲しいものです。

すでに町と被告人の間では和解が成立しています。回収されたお金とは別に、解決金として347万円を支払うという書面が作られており、すでにその解決金は支払われております
そして、「当件の紛争は解決金の支払いによってすべて解決したと確認する」という原告(町)側の文面も証拠提出がなされています。
借金生活だったのに、その347万円はどこから出とんねーん、という疑問は被告人質問で明らかになるので、少々お待ちを。

そしてここから、
③被告人の反省や、現在の就労の様子、関係者の監督の環境について
の話に移っていくのですが、まだまだ長くなっていくので続きは次回にします。
年明け一発目の記事をお楽しみにしてください。

次回は、被告人の母と、勤め先の社長の証人尋問で現在の就労状況や今後の監督にについてと、被告人質問で事件全体的な話の紹介。
そして12月27日の第二回公判での検察官の論告求刑、弁護側の最終弁論の紹介をしたいと思います。

判決は2023年2月28日に行われます。
これに関する記事や、被告人のtwitterなどを見ていると、いまだにその事件の影響は続いているようです。もちろん、そもそものミスであったり、被告人自身の意思決定についての非難は免れないものと思いますが、その判断は司法の場に移っているわけで、どうか裁判を見守る形で、明日へ進んでいる当事者らのことは見守ってもらえないかなと思います。

自分もこういう発信をすることで、騒動の一端を担っているとも捉えられる部分はあります。でも個人的な思いとしては、情報をある程度整理してお出しするので、関心の目は当人らでなく司法へと向いて欲しいと思うのです。そういう司法への関心という点で、年明けの記事にも関心を持っていただけたら幸いです。

年末年始、いろんな人と会って話をすることでしょう。もし金融関係の方などいたら、この話になるかもしれないですね。
でも、あまり深入りし過ぎると、この記事のボロが出るかもしれないので、ほどほどでお願いします | ω・)

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