「再犯の可能性は全くありません」猶予判決から同年の犯行に、弁護人はどう立ち向かったのか? 傍聴小景 #119(売春防止法違反)
裁判の中で、たまに出るフレーズであまり好きでない言葉がありまして。
弁護人による「再犯の可能性はありません」というもの。
そりゃあ僕も、裁判時の被告人の思いが嘘だとは思いませんが、可能性がないと言い切るのって、逆に勘繰りたくなっちゃうんですよね。
さて、今回の裁判では、弁護人が「被告人の再犯の可能性は全くない」と言い切ったのですが、読者の皆様は果たしてどう思うでしょうか?というのが気になる話。
ちなみに逆に、検察官が「再犯は必至です」みたいな場合はどうかというと、確かに「必至」は言い過ぎじゃね?って思うことはありますが、明らかに裁判の中で改善策を見いだせていなかったり、反省する姿勢が見られないということもあるので、弁護人のそれに比べると、やや納得するというのが正直なところです。
はじめに ~「売春」に釣られる傍聴人?~
3回ともやたら傍聴席は人が多かったです。
「売春」って言葉に、みんなただならぬものを感じたんでしょうかね?確かに珍しい罪名ではあるのですが。
被告人は若い兄ちゃん。チャラいとか、悪そうって感じじゃないですが、なぜか反抗期感があり、大人しいというのとは違う方。
傍聴席にはしっかりとした雰囲気を漂わすご家族もいらっしゃり、失礼ながら少し被告人と雰囲気のギャップを感じました。
事件の概要(起訴状の要約)
僕はこの罪名の裁判を傍聴するまで知らなかったのですが、こういった売春や交渉事で間に入って立って物事を進めることを「周旋(しゅうせん)」というようです。
知らなくても問題ないかと思っていたのですが、国際法においては紛争する当事国の中に入って、第三国として援助することなども差すようで、売春専用用語ではないようです。
言っちゃいけませんが、一人の男性と引き合わせて、裁判ってのもなぁ…と思ったのですが、証拠調べで諸々の事情がわかってきます。
採用された証拠類 ~まさかの無罪主張?~
どうやら、数人を斡旋していたTの逮捕に伴って、今回の被告人も逮捕されたようです。そしてその被告人は、異種とはいえ執行猶予中とのこと。
執行猶予中の犯行は、実刑となって、前の刑の執行猶予も取り消されるというのがほとんどでありますが、考慮すべき事情がある場合、再度の執行猶予判決となることがまれにあります。
特に今回の場合、罪状が比較的軽微ということもあり、弁護人としては再度の執行猶予を求めるのではと予想されます。
また、主犯格が、前科関係の事情が違うとは言え執行猶予判決なので、特にその思いが強いでしょう。
そして、それどころか無罪主張の可能性すらあります。
性交させることを禁止しているようで、類似行為では売春にあたらないそうなのです。そうでないと、わざわざ買春客の供述なんてここに書きはしません。
さて、ここからどうなるのでしょうか。
弁護人が呼んだ証人は2名でした。ここからどう展開するのでしょうか。
証人尋問 ~自慢の弟と言えるよう頑張って欲しい~
まず出廷したのは、被告人の父。お仕事は大手会社の部長さんだそうです。
親子仲は問題なく、兄弟仲も良好。被告人は高校生までサッカーをしていて、証人もコーチとしてずっと関わってきたとのこと。
このエピソード自体は大変結構なことだと思うんですが、今回の被告人は実家にいながらして、前回の違法薬物での猶予判決と今回の事件を起こしているんですよね。
密接感をアピールされつつ、再犯をしてしまったことにどういう話になるのか、気になってしまいます。
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