当記事は、以下の傍聴記事の次回公判の傍聴記となりますので、内容のご理解のためにまずお読みいただけると幸いです。長ぇけど。
まずは、この度は上記にもご紹介している記事につきまして、
多くの方にご覧いただきまして大変嬉しく思っております。本当にありがとうございました。
このような評価もいただき嬉しいのと、やはり社会的な関心が高い事案なのだなと気が引き締まった思いとなりました。正直いただいた多くの意見の中に、耳が痛くなるようなものもありました。しかし、根底、根本から否定なさるような方はいらっしゃっらなかったので、やはり色んな立場や見方があれど、そのご自身の意見に必死の思いがあるというのがよくわかりました。
そんな訳で、今回もお手数ですが以下の点をご確認の上、何卒よろしくお願いいたします。
お読みいただくにあたって
第7回 公判概要
前回からこの事件の傍聴を始めて、人の少なさにもどかしさを感じていましたが、この日はさらに減りました。スタート時は前回同様でしたが、裁判の途中で徐々に減っていかれました。裁判というのは途中出入り自由なのです。自由といっても、そんな頻繁にするものではありませんが。
そんなこの日の法廷ですが、午前中に限り少し変わった措置が取られていました。
ざっくりとですが、この法廷の傍聴席は1人掛けが5つ並んで後ろに続く島が、左、真ん中、右と3つあります。その中で、真ん中の島の傍聴席側から見て一番左から4番目まで着席不可の張り紙が。事件関係者用の席であったり、記者用席が設けられるため一般着席が不可なことはありますが、それにしても今回は多い。
これは午前中に出廷した証人が、秘匿の対象とされていたため、証言台付近に傍聴席や被告人席から見えないよう大きな遮蔽がされていたためなのです。
こんな感じ。
でも、これだけでは「✕」の席がある理由にはなりません。だって、どの席からだって証人のことは見えないよう隠れているのですから。
これは推測なのですが、この遮蔽は結構高いので、裁判官から「✕」の座席に座ってる人はわからなくなります。裁判長はこの公判の長として、傍聴席が見えないということがあったら困るのです、多分。
たまに性的犯罪の被害者が出廷するときなども同様の措置がとられていますね。
まぁ、じゃあなんで一番右だけは空いているんだよというのまではよく分からないのですが、今回の話で後に出てくる座席の見え方の角度という問題の布石になっていたり、なってなかったり。
被告人が法廷に入ってきました。前回は裁判官に一礼する姿も見受けられましたが、今回は一瞥したのみ。なんというか、疲れているように見える。今回、被告人がなにか不規則な発言をしたりとか、特に表情を見てどうこうというのはないので、本編に全力を注がせていただきますね。
今回も前回同様、検察として犯罪事実を立証するのに必要と思われる証人の尋問を行います。
公判中いろいろあった呼び名の統一
検察側申請 証人尋問・搭乗していたCA(検察官より 1/2)-異議ありで波乱なスタート-
まず一人目は、事件の飛行機に搭乗していた前回とは違うCAさん。
アイスブレイクのような質問兼、前回、証言したBさんの証言と同一性があるかの確認のような質問が始まりました。もしよろしければ、前回の記事をご覧になった方は、そういった観点からもお読みいただけますと。
前回の裁判が、先週にあったばかりですから、記憶が補完されていくようでなかなか興味深い体験でした。少しずつニュースでしか知らなかった世界観が頭の中で色付けされていきます。
冒頭にお伝えした遮蔽措置の関係で、証人の姿は傍聴席からは全く見えませんが、かなりはっきりお話しをされる印象。細かい言葉遣いはこの文章上、簡略化していますが、言葉の使い分けなど聞いても、やはりCAさんってかなり訓練されているんだなと感じます。
と話を始めたところです。
弁護士が「あー、すみません」と言い、立ち上がりました。
裁判の作品ではよくお目にするでしょう「異議あり!」の場面です。
実際、裁判でものすごく多く見かける場面とは言いませんが、じゃあ全然見ないかというと、そうでもありません。
言い方は人それぞれ。「異議あり!」とは私は聞いたことはありませんが、「異議がございます」というのは結構多い気がします。とにかく質問を中断して裁判官に意義を申し立てればいいのです。
ここで、3人の裁判官が相談をしあいます。真ん中に座る裁判長が左の裁判官と話し、そして右の裁判官と話し、というので判断を決めます。
同じ訴えを何度もしてきて、さっきと同じだなという場合は裁判官が即座に判断することもありますが、基本的には異議に対して相手の趣旨や意見を確認します。法律に違反していないか、むしろ法律に沿っているかなど。
こういうのを見ると、法律を学んで自分なりの意見を持ちたいなと考えてしまいます。
あと意外と思ったかはわかりませんが、弁護人の「当初の予定に含まれていない質問」という言葉。私も詳しい手続きはわかりませんが、長期に渡ることが予想される裁判においては、事前に情報の整理などをしっかりするようです。
見えないところでも、裁判関係者は動きまくっているのです。
この言葉によって、検察官は質問を再開します。
前回の公判では一度も異議の申し立てがなかったので、少しざわつき気味の序盤となりました。やはり出てきた2人の証言が合致するとなると、証言には信用性が認められやすいので、どちらも必死です。
ここで、皆さんの熱を冷ましたい訳でも、CAさんを悪く言うつもりもないのですが、やはり同じ会社の方ですし、意見を合わせやすくはあるというのは頭の片隅に置いておかなければなりません。もちろん出来事がショッキング過ぎて頭から離れないということもあるでしょうが。
だからこそ、反対尋問(今回は弁護人)では切り崩すために細かいところに穴がないかを探すために、意地が悪いと思われるような質問などをするわけです。大変ですよね。今回の件で、弁護士という仕事に悪いイメージ持たないでくださいね。
21Eこの黄色い人ですね。前回、どうしてこの人に飛び火したのか疑問だったのですが、こういった経緯があったのですね。
これについては被告人に同情できる点もありますね。本人としては、言い方はあるとは思いますが、強制でない権利を主張していただけで周りから煽られストレスも溜まっていたことでしょう。
恐らく、冒頭に挙げた濃霧で搭乗が遅れたみたいな話もあって、機内全体的に苛立ちみたいなのがあったのではないでしょうか。これは私の完全な推測です。
ようやく離陸です。
今の「ようやく」はCAさんでなく、記事を書いている僕の気持ちです。
前回Bの証言があった上での補完的な質問なので、質問に無駄がなく、ここまでノートの記載内容がほぼ記事に反映されている状態です。
被告人は21Eに怒っていたのですね。「ボケ」の有無については、記憶の誤差の範囲なので、わざわざツッコミませんが、
後日の被告人質問で、この謝らせると言ったかみたいな話は、被告人として主張するのもかもしれませんね。
言ってないのか、誰かが言ったのをひた隠しにしているのか、あまり連続してまくし立てるので「あー、はいはい」的なニュアンスで流そうとした反応を了承と受け取ってしまったのか、いろいろな可能性はありそうです。
もう、早く被告人の言い分を聞きたい!
証人の気持ちはもうわかります。CAとして、やっと元の業務に戻れると、ほっと一息ついたところでしょう。そこで、ギャレーを出たら、さっきと全く同じ行動。「も~、なんなの( ;∀;)」ってところでしょう。
検察側申請 証人尋問・搭乗していたCA(検察官より 2/2)-警告書、命令書発令の流れ-
まだおったんか、そこに。
本人の目の前で、警告を通知する書面を作成する絵面って相当緊急性が高い事態と捉えていたというのが伝わります。
一応ここで補足していますと、具体的にどの行動がとはこの命令書の読み上げでは触れていないようです。前回、弁護人もやたら気にしていた部分ですし。
もう一つ言うと、前回の公判でBは命令書は読まなかったと証言したように思えますが、今回の証人は読んだと言っていました。その後の弁護人側の質問でも突っ込んではいなかったので、その効力については争うポイントではないのかもしれません。
こんな位置関係でしょうか。細かくはともかくポケットに入れる手は見えなくて掴まれた手首より肘近くが見えるというのはこういうことなのかなと。
すると、ここで本日2回目です。弁護人が立ち上がって
今回も棄却です。もちろん異議が採用されることもありますが、誘導か否かというのは、ちょっと僕には判断基準がわかりません。
「アームレ・・・?」とか聞いたらダメなのは僕でもわかりますが。
皆さんも大まかな流れのイメージがついてきたのではないでしょうか。でも、傍聴人としては次に弁護人が質問をするので、どういったことを言ってたかそれなりに覚えておいたり、これ突っ込まれるんじゃね?とヒヤヒヤするものなのです。
とりあえず、もう少しだけ検察官のターンが続きます。
急に言葉に詰まる証人。そして急に、声が震え出す証人。
怒り、恐怖の感情で証言してきたものの、ふと終わりが見えたところで、どうして自分がこんな目に?という思いになったのかもしれません。
ここでようやく、検察官からの尋問が終了。
このまま弁護人からの尋問を予定していましたが、最後に声を震わせてしまったこともあり、裁判長が休憩を挟むかを確認。しかし、問題ないとのことでそのまま続行。
検察側申請 証人尋問・搭乗していたCA(弁護人より 1/2)-被告人の気持ちが知りたくなる現地の状況-
という感じで、前回同様進みました。全部で8枚だか、10枚だか、欄外に書かれた注釈だ、付箋だの確認もします。二回連続で聞くということは、何か狙っているのがあるのかもしれません。
とりあえずは、4枚目(欄外の注釈は違う)~8枚目(8枚目の付箋は何人か)が証人の筆跡とのこと。
いわゆる反対尋問というのは、どういう手でひっくり返そうと考えているのか気にするので、注意力がこちらも過敏になります。
例えば最後の質問の「今回マスク着用についてが問題だとは思うのですが」という導入部分はいらないと思うのですが、ここを無視してサクサク答えてしまうと、「では、あなたがマスク着用が問題と思っていたと?」と揚げ足を取られるかもしれません。
裁判傍聴はハマればハマるほど、こういった点で疑心暗鬼になったりもするのです。
ここは証人、「承諾」に即座にはいと言わなかったのは頑張りました。
というのも、21Aが移動時にBはアームレストを上げています。声をかけてないことはないと思いますが、今までのやり取りを鑑み、承諾を得れたとは思えません。なので承諾を得ないと上げないという質問に即座に乗らなかったのは味方を守ったのでは。
というか、こっちの方が誘導尋問なのでは?と思わなくもない。
被告人の細かい心情は、被告人質問で聞かないとわかりませんが、当然いい気分ではないでしょうね。その怒りが21Eなのか、収拾できなかったとしてCAに向いたのかはわかりませんが。
いいですよね、この結論だけ引き出せればいい感じ。味方だと頼もしく見えるし、敵対してたら嫌らしく見えますし。
皆さんも、なんとなく弁護人が何を言いたいかわかってきたのではないですか。
さて、ここから少し、法廷内の証拠の読み上げなどが続くので少し不明瞭になります。
前回、Bが知らないといったガイドラインについての質問のようです。
実は前回の記事のあと、とある専門の方から、あそこでのガイドラインってなんのことですか?と質問を受けました。そのときはわからなかったので、今回こそはと思ったのですが、今回もガイドラインとしか聞き取れませんでした、ごめんなさい(ToT)
前回も書いたけど、警告書、命令書についてもう少し詳しく知りたいと思うよなぁ。優劣であったり、強制力や効力の違いとかも。そうでないと、弁護人の指摘がまともなのか、どうかがわからないのです。
特に空での一歩間違えたら命に係わる話なので、実際の文例は知りませんが例外的な対処についても言及がないとも思えないというのが正直なところ。
検察側申請 証人尋問・搭乗していたCA(弁護人より 2/2)-警告書、命令書発令の流れ-
最初は、マスク着用のお願いでストレスをため、それを周りに煽られ、そして「自身の解釈では」職権乱用で降機までさせられそうになっていた。これらは不備ではないのかと主張軸になってくるのかな。
不備があるから情状を酌量して欲しいというのか、だから航空法や威力業務妨害にはあたらず無罪というのか、どっちの主張なのか気になります。普通の心情として、途中までは理解もできるけど、航空法という中でどう判断されるのかは、一般的な視点とは違うと思いますし。
受け取りについては認識に不備がないか揺さぶってますが、命令書の空欄についてはそんな揺さぶってないので、これはこれで問題ないってことなのかな。まぁ仮に自分が受け取る立場になったら、なにか命令されるのに、空欄箇所があったら、「ここ書いてないやないか!」..と思わなくもないかも。
ここで、新たに「払いのけた」という言葉が出てきました。
当然のことながら、私に質問権限がないので、この「払いのけた」というのが、腕を掴む行為にプラスして行われた行為なのか、腕を掴む行為は無くて払いのけたということなのか、後の答弁を聞いてもわからないのです。
少なくとも「実際、掴んではいないのではないですか?」という質問にはいたっていないので、この場で言ったか言ってないかだけの話だとは思うのですが。ここは私の理解不足です。
ちょっとややこしくなってきた気はしますが、この文字起こしについても、降機直後でパニック状態でいろんな言葉が飛び交う中なので、叩いたか掴んだかでなく、暴力行為の有無の判断くらいにしか使えないのかなと思います。
個人的な思いでは、確かに不完全な部分はあるのかなとは認めるけど、それを拡大解釈するのにも限界があるかなと。人の記憶なんてそんなものですし。
最後に、検察官と弁護人がまた少しずつ質問をします。
これにて、ようやく午前の部が終了。
えー!やっと午前かよと読者の方も思ったかと思いますが、午後はそんな長くないのでもう少しお付き合いくださいね。
証人の方は、途中声を震わせることもありましたが、最後までしっかり証言をしていただいたと思います。曖昧な部分はそのように表現していたし、必要以上に被告人を落とさない意思も感じられ、あったことを証人視点で語ってくれたのかなと思いました。
検察側申請 証人尋問・オペレーションセンター運行管理者(以下UC)(検察官より)
午後は遮蔽措置が取られ、30~40代の若い男性が入ってきました。前回の整形外科の先生は被告人の方にだけ遮蔽措置がありましたが、今回はそれもありません。
ここから、事件当日、証人と機長がやり取りしたメッセージをもとに質問が行われます。応対内容が紙にまとめられているらしいのですが、こちらは分からないので不明な点が多いです。
実際の現場のやり取り、雰囲気が全くわからないので、この辺りは特に難しかったです。
情けないですが、やや曖昧な内容ということでご理解いただけたら幸いです。
検察側申請 証人尋問・オペレーションセンター運行管理者(以下UC)(弁護人より)
前回、弁護人は機長がネイティブかどうか気にしていたので、その辺りのコミュ能力をつつくのかなと予想。やっぱ連続してみると、意図がわかるというか、弁護人などが全体を見越してどう伏線を張ってるかがわかっていいですね。
弁護側としては、具体的な内容を正しく把握していないのに緊急着陸ってどうなのっていう主張なんだと思います。素人目にはその指摘に頷ける部分もあるんですけど、結局その把握をどこまでしていないといけないのかという証明(言質を取るなど)をしてくれないと、一般論で終わってしまう気がするんです。「だって、普通はそう思いませんか?」止まりというか。
とはいえ、弁護側の主張したいことは十分に感じ取ることができたとは思います。
最後にお一人の証人尋問で終了となります。
より端的なので、皆さんも僕ももうひと踏ん張りですよ!
検察側申請 証人尋問・オペレーション統括本部長(検察官より)
最後に50代くらいの体がかっちりした男性が出廷。航空会社勤務と聞くだけで、なんかピシッとした気がするのは本人のオーラなのか、僕のただ職としての憧れなのか。
単純に金額だけ見たら、これくらい?思わなくもないです。でも、その緊急対応にかかった間接的な費用、乗客のケアなどを考えたら、どれほどのものになるのかは想像もできません。
日本の交通インフラはホント優秀だと思います。でも、それらをただ「優秀」で片づけるのでなく、この安全についての意識を第一に持っていらっしゃる方々によって支えられているというのを強く認識しなければいけないのだと思います。
今回の件だけとリンクするつもりはないですが、便利なのは当たり前、でもサービスはしっかりしろ、ミスがあったらすぐ叩くというサイクルにいつから日本はなってしまったのでしょうか。奉仕だけして、感謝もされず、ミスだけしないよう委縮する社会で、若い人が世に出たがらないのもそうかなと思います。
これだけ「思いやり」だ、「個性の尊重」だ言われてますけど、サービス業への風当たりが強くないですか。こういった方々へ、普段から思いやりを持って、お互いにとっていいサービスとなるよう切磋琢磨するものじゃないんですかね。
私見が増えちゃいました。すみません。
最後に弁護人からです。
検察側申請 証人尋問・オペレーション統括本部長(弁護人より)
ときに企業として毅然とした態度をとることは大事だなと僕は思います。安全という大義がある中なので、証人の言う通り、陸上のインフラとはまた違うのでしょうね。
その一方で、命令書の交付で被告人を刺激をしたからだとチクリと言いたい、弁護人もまた職務をまっとうしているなぁと感心します。ただ、法に携わってる方々も、法に則ってるのことを背景に、関係者を刺激しちゃってることもあると思うので、そういった方々が省みるきっかけになればいいなと思ったり。
最後に裁判長が一つだけ質問をします。
冒頭の注意書きの通り、裁判以外で発せられたこと以外のことは含めたくないので、彼が普段どんなツイートしているかなどは考慮しません。
でも、もしかしたら今後の公判ではツイッターの話題になるかもしれませんね。そうしたら、私も取り上げざるを得なくなりますね。あーあ、被告人やっちゃったって感じです。
次回は弁護側による主張と、被告人質問が一部行われるようです。
多くの証人尋問を踏まえ、弁護人、検察官とどうロジックを組み立てていくのかこれからも楽しみです。
最後に、前回同様のお願いです。
もし今回の記事を読んで、なにか参考になった、面白かった、今後も頑張ってと仰っていただける場合、「レッドブル」を僕に奢ってください。これで、今後の取材の活力とさせていただきます。
もちろん、この有料は全く強制するつもりも、そもそも強制する作りではありません。
もしよければ、是非ともお願い申し上げます。
というわけで、二回連続で超長文のご閲覧ありがとうございました。
当たり前のことですが、この記事の全責任は私に帰属します。
大人の人生交差点クラブ 普通