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ラスト一行の衝撃!悲しき脅迫者。犯行現場で号泣の理由 傍聴小景 #109(脅迫)

法廷で被告人が涙を流すことは決して珍しくはありません。反省、後悔、いろいろな感情が考えられるでしょう。

しかし、犯行現場で被告人が涙を流すケースというのはほぼ聞いたことがありません。なにか泣きたくなるほど辛い出来事があって、その結果何かをしてしまったというのであれば、想像がつかなくもないですが。
果たして今回は何があったのでしょうか。


はじめに ~同じ年だけど見た目はヒゲ仙人~

罪名 :脅迫
被告人:30代の男性
傍聴席:3人(傍聴した1回)

脅迫という罪名はイコール恐い人というわけではないですが、やはりそういう人が多い気がします。
しかし今回の被告人は外見からはそんな様子は見せず、僕のメモには「ヒゲ仙人」と書いてあります。坊主頭に立派なヒゲをたくわえ、なんとも独特な雰囲気をまとった方でした。

そして年齢を聞けば僕と同じ歳。パッと見、年上だと思いました。
老けているというより、なんか疲れているというか放心している感じなんですよね。


事件の概要(起訴状の要約)

被告人はコンビニに入り、強盗を装い、店員に対して「金出せやオラ、俺は爆発物持ってんだぞ」などと、身体にいかなる危害を加えない威勢を持って、人を脅迫した。

今まであまり疑問に思っていなかったんですが、この事件を聞くと強盗未遂とは違うんかななどとも思ってしまいます。強盗と恐喝、脅迫の境とはなんなのでしょうか。

弁護士さんのHPを見ると、このような記載がありました。

強盗と恐喝の違いは、暴行・脅迫の程度です。
分かりやすく言えば、強度の暴行・脅迫の場合に強盗となり、そこまでではない暴行・脅迫の場合が恐喝になります。

横浜ロード法律事務所
https://www.yokohama-roadlaw.com/column/post_246.html

なるほどなるほど。「強盗だ、金を出せ」とナイフを突きつけたら強盗ですよね。刺されたりするかもしれないですもんね。
でも、「爆発物持ってんぞ」ってのもなかなかに恐ろしいワードだとは思うんですよね。

そんな中、同じページの中にこのような記載もありました。

強盗と恐喝の境界線は、少しむずかしい言葉ですが、「相手方の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫」があれば強盗になり、そこまでいかない程度の暴行・脅迫の場合には恐喝になると言われています。
反抗を抑圧するという言葉は聞き慣れないと思いますが、言い方を少し変えると、抵抗できなくするという意味合いです。 

横浜ロード法律事務所
https://www.yokohama-roadlaw.com/column/post_246.html

なるほどですね。
であれば、今回の犯行自体は、その店員さんの反抗を抑圧するほどでなかったということなのでしょうね。
事実関係だけでは掴めないので、もっと詳しい事情が気になるところです。


採用された証拠類 ~〇〇するくらいなら刑務所の方がマシ~

検察官証拠

被害者の供述調書
レジに立っていると、被告人が喧嘩腰で何か言ってきた。
何を言っているのかわからず固まっていたら、その場でしゃがみこんで泣いてしまった。しばらくしたら出ていった。

おい、もっと頑張れよ!いや、頑張っちゃいかんか。
何を言っているかわからないってことで、「反抗を抑圧するほどでない」という評価なのですね。非常によく納得です。
皆さん、強盗と恐喝・脅迫の境目わかったかな?

しかし次に気になるのが、これくらいと言ってはいけないかもですが、わざわざ裁判にするほどかねという気もします。しかし、さらに驚きの情報が出てくるのです。


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