見出し画像

【食文化】醤油の話(まとめ)

全6回にわたってお送りしてきた「醤油」の話。
予想以上に壮大な話だったので、最後に記事の内容をまとめておきます。


【醤油の歴史】

【前史】


●「醤油」はもともとは、古代から食糧の保存技術として、食糧を腐らせないために「塩漬け」することから始まった。

●肉や魚など、食糧を塩漬けにして発酵させたものはひしおと呼ばれた。

●醤の種類
①魚を使った魚醤うおびしお
②肉を使った肉醤ししびしお
③野菜を使った草醤くさびしお
④米や大豆など、穀物を使った穀醤こくびしお

●今から3000年前(紀元前1000年)、
古代中国の王朝「周」では、120種類もの「醤」が食べられていた。

●今から2600年前(紀元前600年)頃、
古代中国で、鉄製の農具が普及。
大豆が栽培されるようになり、「穀醤」が広く食されるようになる。


●今から3000年前(紀元前1000年)、
日本に稲作が伝わる。
それから700年、2300年前の紀元前300年頃、
弥生時代が始まり、日本でも大豆や小麦が栽培され、鉄器が使われるようになる。

※詳しくはコチラ💁🏻
  ▼
【食文化】醤油の話:歴史編(1)~醬油の起源について

【古墳時代~鎌倉時代】

●日本ではその後、古墳時代を迎え、仏教と同時に「穀醤こくびしお」の製造方法が伝わる。

●飛鳥時代に入り、国家事業として「ひしお」を製造する「醤院しょういん」も登場する。

●平安時代になると宮中料理の調味料として「酢」「塩」「酒」「ひしお」が食される

●鎌倉時代になると、武士が台頭。
中国から禅宗と共に「精進料理」が伝わり、寺院を中心に「味噌」を用いた食文化が展開する。

●鎌倉武士の食事から「一汁三菜」が定着する

●味噌汁の誕生は鎌倉時代

●味噌から派生した副産物が「醤油」となる。
  ↓
中国(宋)で修業した禅僧、覚心が、
紀州の由良にある興国時で「金山寺味噌」の製法を伝える。
この味噌を作る過程で「たまり」と呼ばれる、醤油の原型が誕生。
これが、現在の「溜まり醬油」となる。
  ↓
紀州の湯浅が、醤油発祥の地と言われるようになる

※詳しくはコチラ💁🏻
  ▼
【食文化】醤油の話:歴史編(2)~醬油の起源について

【室町時代~安土桃山時代】


●室町時代には、貴族(公家)と武家の食文化が融合した「本膳料理」が誕生。
武士が客人をもてなす食の礼法も確立し、現在の「和食文化」の基礎となる。

●様々な文献や日記の中に「醤油」という文字が現れる。

●紀州・湯浅の赤桐右馬太郎が製造した「醤油」が
初めて大阪で売られる(1535年)。

●醤油の醸造が盛んになり、関西を中心に広く普及する。

※詳しくはコチラ💁🏻
  ▼
【食文化】醤油の話:歴史編(3)~醤油の誕生

【江戸時代】


●1590年、豊臣秀吉から関東へ国替えを命じられた徳川家康が、江戸へ入府。
1603年、江戸に幕府を開くと、江戸には政治の中心都市として、武士・町人など様々な人々が集まり、一大都市として発展する。

●江戸時代初期には、上方(関西)から樽廻船で運ばれる「下り醤油」が好んで使われる。
一方、江戸の周辺で作られる醤油は「地廻り醤油」と呼ばれ、格下とされていた。

●江戸への流通網が整備され、千葉(下総)の銚子に、紀州湯浅から醤油の製法が伝えられ、関東での醤油造りが盛んになる。
銚子と野田が、醤油の名産地として広く知られるようになる。

●江戸庶民の好みに合わせ、大豆と小麦を使用した「濃口醤油」が誕生。
品質も向上し、あらゆる食材の調味料として広がっていく、

●江戸時代後期には、上方の「下り醤油」ではなく、関東産の「濃口醤油」が好まれるようになる。

●「濃口醤油」に「かつお節」「みりん」が加わり、現在でも人気の「うなぎ、すし、てんぷら、そば」といった江戸の食・四天王が誕生。
江戸の外食文化が開花する。

●一方、上方では「淡口醤油」が誕生。
食材の味を引き立てる淡口醤油は、関西の「出汁文化圏」にとって、欠かせない存在となる。

※詳しくはコチラ💁🏻
  ▼
【食文化】醤油の話:歴史編(4)~関東醤油と醤油文化

【明治以降】


●明治に入ってからも、醤油は日本人に欠かせない調味料として引き続き愛される。

●ソースやケチャップなど西洋風の調味料と共に洋食文化が伝わる。
肉食に馴染まない日本人に、醤油味の料理が作られるようになる。

●明治時代は味噌が中心だった一般家庭でも、大正時代になると醤油が使われるようになり、一気に消費が拡大する。

●その後、第二次世界大戦が勃発。
醤油は味噌と共に統制物資となり、配給規制を受けることになる。
大豆や小麦など、原料不足から「アミノ酸醤油」が開発される。

●終戦後、原料不足から「醸造醤油」は消滅の危機を迎えるが、
新たな製造方法を開発することで、危機を脱する。

●日本の風土と文化に育まれた醤油は、食卓に欠かせない日本の食文化を代表する存在として世界中で愛されるようになり、現在に至る。

※詳しくはコチラ💁🏻
  ▼
【食文化】醤油の話:応用編(1)〜生しょうゆってなんだ⁉︎
【食文化】醤油の話:応用編(2)〜醬油の原料と醸造


【醤油の種類】


現在、醤油の種類は、
日本農林規格(JAS)によって、

①濃口(こいくち)
②淡口(うすくち)
③溜まり(たまり)
④再仕込み
⑤白醬油

の5つに分類されている。

※詳しくはコチラ💁🏻
  ▼
【食文化】醤油の話:歴史編(4)~関東醤油と醤油文化


普段、何気なく食べている醤油ですが、実に奥が深いですね ♪

食事の時の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました😊。

(2023年10月15日投稿)




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?