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クーリングタイム

「こう暑いと会社に着くとやれやれだ。せっかく涼しいところにいるのに午後からまた外出。得意先を回ってそのまま帰ろうかな。早出だったから」

元同僚のIさんからメールが来た。暗に、夕方は空いてるか?というお誘いだ。残念だなあ、今日は病院の予約がある。血圧を測りに行って薬を出してもらうだけなのだけれど。病院に行ったあと、出歩いて熱中症になったのじゃ話にもならない。

夏の甲子園が始まった。台風6号は沖縄に豪雨被害をもたらしたあと、東に進路を変え、その後また転向して北向きにすすんでいる。線状降雨が心配されるが、甲子園はそれるような天気図だ。

今年から甲子園に導入された「クーリングタイム」。5回終了後、ベンチ裏の通路にスポットクーラーや送風機を設置し、10分間の休憩で選手の体を冷やし、水分補給などで熱中症の対策という。

初日第2試合の福島聖光学院と東東京の共栄学園、聖光の小室投手が6回1死で降板した。左足のふくらはぎと太もも裏がけいれんしたのだという。ほかにも3人、脚がつった。「クーリングタイムの時に涼しい場所にいすぎたので、それがちょっと良くなかった」と反省の弁だった。

クーラーの前を離れたくないのは十分わかる。涼んだ後また急に灼熱のマウンドに戻って、あまりの温度差に筋肉がびっくりしたのかもしれない。昔と違って試合中の水分補給には気をつけているだろう。それでも熱中症疑いが4チームで6人もいた。甲子園は過酷だ。

涼しいところから出て、暑いコンクリートとアスファルトの外回りには気をつけて、と新聞記事をI さんに送っておいた。

「先週、健康診断に行ったら鰻屋の割引券をくれた。遠まわりになるけど、帰りはそこに寄るつもり。今日はひとりで」

と返事が来た。
アルコールの入った冷たい飲み物は、水分補給にはならないことをお忘れなく。