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Vol.6 フードテックで近未来の世界をつくるワクワク感

今年6月新たに社外取締役に就任した小脇美里さんは、ライフスタイリスト、ファッションエディター、ブランディングディレクターとしても活躍しています。働く女性やママたちから絶大な支持を集める小脇さんが、オイシックス・ラ・大地でそれぞれの輝きかたを見つけて働く女性のリアルな声をインタビューしていくこの企画。

第6回目は、食に関する新たな分野や商品を開拓や、食関連のベンチャー企業などに投資を検討する「Future Food Fund」担当のジェニファー・ペレスさん。アメリカの大学を卒業したあとに、中国・上海でも働いていたジェニーさんが、来日したのは25歳の時。ベジタリアンで食品にこだわってきた彼女が、近未来の食の世界を描きながら働いている思いを聞きました。

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オイシックス ・ラ・大地 社外取締役
小脇美里さん
ファッションエディター/ブランディングディレクター。令和初のベストマザー賞・経済部門受賞。鯖江市顧問SDGs女性活躍推進アドバイザー。ママだからこそ実現できる取り組みを発信する新スタイルライフスタイルメディア「MOTHERS編集部」を立ち上げ、編集長を務める。2歳娘と6歳息子の二児の母。

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オイシックス ・ラ・大地 経営企画本部、Future Food Fund&グループ支援室
ジェニファー・ペレスさん
アメリカ・テキサス出身。早稲田大学大学院卒業後、2018年新卒入社。語学力や海外の食文化のリサーチ力を活かし、新規分野や商品の発掘や、スタートアップ企業への投資先選定、投資実行などを担当。スタートアップの商品を取り扱う専門の売り場Oisix Craft Marketにも携わる。

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NYで日本の文化と恋に落ちた

小脇さん:
 ジェニーさんはアメリカで育ち、大学もアメリカですよね。今は日本語で仕事もこなしていますが、そもそもどうして日本に来たいと思ったのでしょうか?

ジェニーさん:
 実は、日本との初めての出会いは、ニューヨークで大学に通っているとき。アメリカのジャパンソサエティーでインターンを始めてすぐ、日本の文化と恋に落ちたのです。マンガなども有名ですが、日本の商品や文化、すべてがとても大好きになりました。私は大学でアートを学んでいて、インターンでもパフォーミングアーツ(舞台芸術)を担当し、いずれは日本のアートもやりたいと思いました。
 日本の文化に興味がありつつも、その時の人生の流れで中国に行って働くことになり、大学を卒業して上海へ。ジュエリー会社でバックオフィス的な仕事をしていました。面白かったのですが、もっと自分の強みを活かせて、楽しめることをしたいと思い始めました。まず上海でお金を貯めつつ、今後の人生のプランを考え直したのです。
 そして、上海で3年働いた後、日本に移り、早稲田大学大学院の国際コミュニケーションズ学部に入学しました。日本におけるエコマーケティング商品についてや、消費者理解についてのマーケティングを研究しました。

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小脇さん:
 日本の前に上海でも働いた経験があるのですね。でも、そこまで様々な経験がありながら、そのまま日本で就職をしようと思った理由は何でしょうか?

ジェニーさん:
 母国のアメリカのほうが働きやすい点はあるかもしれませんが、私はチャレンジが好きなので、日本でチャレンジをしようと思いました。私はベジタリアンで、ずっと食品にこだわってきたのですが、日本の食品文化やスーパーマーケットなどが、欧米と全く違うことにすごく興味をもったのです。
 ただ、日本に来た時にどのスーパーや商品がいいのかとてもわかりにくくて、ネットで良いものがないか探した経験があります。その時に出会ったのが、Oisix。ユーザーとしてまず知り、この会社は素晴らしいと思って、応募しました。

小脇さん:
 日本でベジタリアンとして生活していくのに困ったことはありますか?

ジェニーさん:
 私は普段から全部自分で料理をするので、ベジタリアンとして生活することは大変ではないです。しかし、学生時代に住んでいたエリアは学生街で、大きなスーパーマーケットがあまりなく、野菜はほうれん草ときゅうりくらいしか手に入りませんでした。だからこそネットスーパーが本当に便利で、大活躍でしたね。今では「Purple Carrot」のヴィ―ガンミールキットを愛用しているので、さらに助かっています。

コオロギも食材に!近未来を覗く面白さ

小脇さん:
 私もまさにリアルなOisixユーザーだったので、ユーザーならではの視点でビジネスを見させていただけることはすごく面白く感じています。入社後はどのような仕事を担当されたのですか?

ジェニーさん:
 入社して最初は、オイシックス・ラ・大地が立ち上げた投資活動を行う Food Tech Fund で、海外とのビジネスアライアンス案件を担当しました。2019年に「Future Food Fund」として会社設立となり、現在はオイシックス・ラ・大地と両方の社員として在籍しています。

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小脇さん:
 では今の日々の仕事は、新しい投資先を見つけたるところから担当していらっしゃるのですか?

ジェニーさん:
 仕事の内容はとても幅広いです。私達のチームは7人程度ですから、みんなですべてを担当していかなくてはいけません。案件を探したり、投資の実行をしたり、Oisixブランド内の販売などでシナジーを生み出す部分も担っています。

小脇さん:フードテックは注目を浴びていますよね。私もOisixのCraft Marketを見て、コオロギを食べられると知って驚きました! 昆虫食もいま話題になっていますよね。その他にも普段の生活ではなかなか出会えないような食材があったりして、SDGsともつながることが学べるので、よく覗くコーナーです。

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ジェニーさん:
 「DON BUGITO コオロギスナック」ですね。食用養殖コオロギを、アマランサスの種とチョコレートで混ぜて固めたもので、お菓子感覚で食べられます。
 食品植物や穀物の価格沸騰や食料調達の地域間格差などで、世界的に問題になっていますが、昆虫は栄養価も高いため新たな食材として世界でも注目を浴びています。コオロギなどを加工して食べられるように、各国でも試行錯誤が続いていて、そんな製品の一部をOisixでも提案できるのは嬉しいですね。万人に受け入れられるものではないかもしれませんが、その背景にある問題などを多くの人に知ってもらうことが大事だと思います。
 毎日コオロギやバイオなど、アニメの世界のような近未来のことと出会っていて、それを企業さんと実現に向けて取り組んでいけることは、本当に面白く、毎日がとても楽しいです。

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環境に優しい、今後のフードテックに期待

小脇さん:
 フードテックで今後注目している分野はありますか?

ジェニーさん:
 プラントベースの代替肉は、ますます増えていくでしょうね。2050年に代替肉と細胞バイオ肉は、普通の肉と半々の割合になるのではないかと言われています。日本国内ではこれから いろいろな規制や法律が未だに整備されていなので 、そもそものルール作りからしなくてはいけません。どう変わっていくのかワクワクしています。
 また、ロボテックも面白くなりそう。衛生管理の観点で 、食の分野でも人との接点を減らしたり、ウイルス汚染を防止したりするのに、ロボットを使って自動化が広がるのではないかと期待しています。

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▲プラントベース代替肉「オムニミート」の他、Future Food Fundで投資をするメーカーの商品たち

小脇さん:
 コロナ禍を経て、SDGs的な考え方が一般の人にももっと広がる気がしています。食べ物のこともサステナブルであることの必要性が、今までよりも自然に子どもたちに伝わっていく社会になっていく気がしていますし、そうあるべきだなと感じています。

ジェニーさん:
 アメリカでは、アップサイクル(本来では廃棄されるようなものに、アイデアやスキルを加えて新たな付加価値を持たせ、新しい商品にアップグレードすること)やフードロスの意識を持つことは、もうニッチなことではなくなっています。でも、日本ではまだ意識の高い人だけにしか目に止まっていないですよね。それが浸透するまでにどのくらいかかるんだろうなと思っています。

小脇さん:
 それは私もオイシックス・ラ・大地の役割の1つかなと思っています。どうしてもヴィーガンとか、アップサイクルって今の日本だと一部の人しか理解できないことかもしれないけれど、Oisixのフィルターを通すことでそのことを身近に感じてもらえたらいいなと。例えば、Purple Carrotのような商品 を活用して時々ヴィーガンにすることで、子供に食卓を通して伝えていくこともできますよね。33万人の会員(2021年6月末時点)がいるOisixだからこそできることはあるのではないかなと思っています。

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ジェニーさん:
 そうですね。私達が投資先を選定する時も、第一の前提はおいしいかどうか。楽しさとかおいしさがあれば、それはとてもいい入り口だと感じています。
 その上で、オイシックス・ラ・大地の安心安全の考え方に合致しているかは重要です 。企業理念も大事ですし、女性が働きやすい環境を大事にしているのか、などもチェックしています。スタートアップ企業ならば、女性も加わっているのかなども見ます。
 コロナ前は、毎月のように海外へリサーチに行っていました。現地で大きなエキシビジョンや現地のベンチャーキャピタルファンドと面談し、注目企業を紹介してもらったり、現地のお店を回ったり。日本の食品は世界でも認められるトップレベル。味は繊細ですし、辛すぎたり、すっぱすぎたりするものもなく、旨味もあります。
 今は海外にはいけませんが、引き続き普段から私も国内外のフードテックについて調べ、できるだけオンラインでイベントにも参加しています。Future Food Fundの活動が最近増えてきて、知名度も上がってきました。今後の可能性にいつもワクワクしています。

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変化する会社を楽しみに柔軟に働く

小脇さん:
 ニューヨークの大学にも通っていらっしゃいましたが、アメリカは女性のエンパワーメントが進んでいるイメージがあります。ジェニーさんが実際に日本で働きはじめてみて、女性の働き方などどう見えますか?

ジェニーさん:
 働く女性はアメリカも日本も多いですが、アメリカでは起業家になっているママは多いですね。自分の会社をつくり、家事 や用事をし ながら働いていく生活サイクルはアメリカでは一般的ですが、日本ではまだまだ少ないですよね。そういう柔軟な働き方が増えたらいいのにと思っています。
 でも、オイシックス・ラ・大地は、女性はとても働きやすいと思っています。やろうと思えばきっと経営者にだってなれる。男女の力関係の壁は全然感じないですね。
 私はいま30代に入り、去年結婚もしました。次のライフステージを考えるタイミングだとは思っていますが、全然焦りはありません。他の企業だと「いつ子どもを産むか」といった質問をされることもあるかと思いますが、ここではない。もし介護などがあったとしても、ここならばスムーズに働き続けられる気がしています。

小脇さん:
 まさにそうですね。私もこうして社員の皆さんと話す機会をいただき、ここまでちゃんと女性活躍推進ということが自然と実践されている会社ってなかなかないと思います。素晴らしいですよね。ジェニーさんが今までいろいろな会社を調べ、成長を見届けるようなお仕事をしていると思いますが、今後はどんな仕事がしたいですか?
 
ジェニーさん:
 私はあまり大きな目標があると言うよりも、目の前のことを1つ1つやっていくタイプ。会社が、「こういう方針のためにこういう人材がほしい」と言うのなら、私は自分が合わせてもいいと思っています。この会社は常に改善し続けている会社。変化が多く、いつも新しいテクノロジーやチャレンジがあるので、中期や長期的な目標を持つべきかとも思うのですが、柔軟でいることも大事にしていきたいですね。

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