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コンテンツ制作と性差

アニメやゲーム、楽曲などエンタメコンテンツの音仕事に関わって20年以上になるが、経験則としての性差と言うものについて考えてみたい。

学術的な性差


ジャンル問わずエンタメ全般を語ろうと思うがわかりやすく総合的な意味合いで動画や映画を想定する。

視覚では男女で明確に差がある。
男性に比べて女性の方が認識できる色の数が多いことは学術的に説明されている。
方や男性は女性よりも動くものに視線誘導されやすいと言う特性がある。

上記のことから女性は好き嫌いは見た目の美醜に直結しやすい。男性の方はどちらかと言うと好みの女性などは表情や仕草であることが多い。

この段階で映像コンテンツの好みは男女でかなり異なる。
女性は色合いを含めたイラスト的な美しさを好み、男性は動きの好き嫌いでコンテンツを選ぶ。

これは制作でも当然現れてくる
典型的な少女漫画と少年漫画ではコマ割りから表現している動きなど、求められるものが全然違うので、比較的に想像しやすいはず。イラスト的な面と映画のコンテ的な動きの表現などは少年漫画と少女漫画では違う。

漫画的なことで言うと、突出した特別なものを好む男と横並びの中の特別を好む女性でも違う。女性は共感の生き物という言葉は有名だろう。

「日常もの」と呼ばれるジャンル。狭い枠で考えてもかなり違う
男性作者が男性向けに日常ものを作る時、それは日常と言う舞台装置を使ったギャグやコメディにしかならない。「わかるー!」と共感できるコンテンツは女性向けコンテンツにしかない。

男女問わずに言われる「男ウケ、女ウケ」に剥離があるのは当然と言える。

方や聴覚情報に関しては性差よりも個人差が大きい。
さらにいうと、過去の経験値を元にした環境差はもっと大きい。
つまり、制作物だけで男女どちら向けとはなりにくい意味では平等

未来の世界で五感全てに訴えかけるものが出てきた場合は、女性の方がハマるかもしれない。嗅覚に関しては男性よりも圧倒的に女性の方が敏感にできているからだ。

ここから本題


これらを踏まえて、コンテンツ制作側でふと思うことがある。

今時だとサンプルの音声や楽曲を受け取る時、オーディションではない限りは用意されたファイルは動画であることが増えてきた

ここまで書いたことで気がつくかもしれないが、受け取る人の性別に基づいた好みはサンプルを映像にすることで「付与される」事になる。

職業プロとして映像の持つ力は認識してるので、個人的には影響を受けないようにしているが、万人がそうではない。

仕事で映像に関わるならその辺りは決める人や指示を出す人間がいるから気にしなくて良い。しかし、採用して!と提出する側なら割と無視できない

モデル事務所や芸能事務所はキャスティングの際にタレントさんの写真沢山用意してくれるのも、その辺りの視覚情報も武器にする必要があるほど厳しい世界だからだろう。スリーサイズ記載とか何個も頂いたし、今こんな練習してますの動画をいただくこともある。

他人と殴り合って仕事を奪うと言うのは、総合力でしかない。上記以外にも関係性も出てくる。サンプルの能力だけで勝負できるのは、野良の天才ぐらいで例外に近い。

本当にそれやりたい?


これは現場の話だけど、男性の勘違いと女性の間違いにも性差が見て取れる。

女性の場合は「君が本当にやりたいのはその専門職ではないんじゃない?」と見える人が多い。どう見ても映像作りたいなのに音楽やってるような人は女性に多い。「コンテンツとして関わる事で満足してるのかもしれないけど、本当にやりたいことは違うんじゃない?」とは何度か言ったことあるが、対象は全て女性だった。

男性は基本的に「勝てるかもしれない、ライバルがいないかもしれない」を好む。その結果「意図的な異端」をやろうとする。
それは90%以上の高い確率で失敗する。
「気持ちはわかるけど、ちゃんと置きにいこう」と言わされるのは、若い男性相手の時だけだ。
何度も「型破りってのはちゃんと型をマスターしてるからできる事で、型がないのはただのかたなしだ」なんて昔からの格言を言ってきたが数えるのも面倒くさい。

職業としての立ち位置もやはりみていると男女で傾向があるようだ。

理想の違いもある

ただ立場上見えている「違い」をツラツラと書いてみたものの、特に訴えかけたいことがあるわけではない。ただ、違いがあるな、と。その上で参考になる人もいれば、自分もそうかもしれない、となる人がいるかもしれないと言うだけのこと。

そもそも社会的動物としてみた場合はギャンブルを好む事から安定を望まないケースが多い男性と、横並びの中の特別感を求める女性は根本的に異なる。

結局のところ、個人差はあります、レベルの事でしかないのだから。

教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。