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26歳の夏休み


何歳になっても夏は平等にやってきてくれて嬉しい。

梅雨が明けるとすぐ8月になって、8月になるとすぐお盆が来て、お盆が来るとあっという間に夜風が涼しくなる。夏の足の速さだけは学生の頃からずっと変わらないなと思う。そして幾つになっても夏に置いていかれないように必死だ。

今年は特に、全速力で夏を追いかけることを久々に(世間から)許されているような気がして、私は首都圏が梅雨明けを宣言したころから楽しみな予定をたくさん詰め込んでいた。


手始めに、7月末には都内の花火大会にいった。

個人的には一年振りに恋人がいる夏だということもあり、花火大会デートといういい口実があった。付き合って3か月ほどの私たちにはとても色んな意味でちょうど良いイベントだ。
お互いにアラサーなので、恋人と行く花火大会が初めてではないことは暗黙の了解だ。私は初々しかった19歳の時とは違って、美容室で浴衣を着て髪をセットしてもらったりなどということは考えもせず、また彼からもそのような提案はなかった。
まだまだ太陽が元気な17時ごろ、Tシャツジーパン姿で缶ビールを片手に、彼の家から花火大会の会場がある河原まで2人で歩いて向かった。
途中焼きそばやじゃがバターを買ったりしながら、初々しいカップルが浴衣で歩いているのを横目に『かわいいね』なんて言いながら…なんだか大人になったなあと自分の花火大会の過ごし方を振り返って思うのだった。

写真撮るの、絶対クライマックスからでいいのに最初からいっぱい撮っちゃうのあるあるだと思う。

花火大会に行くのはコロナ禍前の2019年ぶりだった。私のように久々の花火大会を楽しみにしていた人がたくさんいたのだろう。以前とは考えられない程の人だかりだったけれど、皆んなが同じタイミングで同じ空を見上げて『おー!』と感動できる花火大会は日本の古き良きイベントだなとしみじみした。耳の奥まで響く花火の音は、『よーい、ドン』と、夏のスタートダッシュを知らせる音だった。

そんなこんなで8月に入ると、すっかり毎日夏日和。猛暑、猛暑、猛暑。平日の昼間はオフィスに篭っていても隙をみつければ窓から青々とした空と入道雲ばかり眺めて夏季休暇のことを考えていたら、前述の通り夏は速いのですぐ会社の夏季休暇を迎えたのだった。

今年の夏季休暇は10日間。
前半は予定通り、母の実家がある秩父へ行った。

行きの電車で窓から見えた景色

都内から特急電車に乗って、徐々に緑が多くなるとスマホのカメラを構えずにはいられなかった。
これこれ。この景色が見えるともう少しだ、と私が小学生の時から胸を躍らせていた風景だ。『夏休み』といえば、秩父のおじいちゃんおばあちゃんで過ごす時間という感覚は社会人になってからもずっと変わらない。
ただ昨今のコロナ禍では高齢のおばあちゃんの感染の不安もあり秩父に行けない夏が続き、花火大会と同じく4年振りの秩父だった。

何も変わらない景色

4年振りということもあり、街の変化にドキドキワクワクしながら電車を降りたが、駅も、駅のまわりもなーんにも変わっていなかった。ちょっと残念に思った反面、それがちょっと嬉しかったり。

お寝坊したり、お墓参りをしたり、叔母さん夫婦とごはんを食べたりするとあっという間に夜が来てまた朝になった。秩父にいるときは時間の流れがゆっくりで、何もやらず何も考えない時間が膨大にあるような気がしていたのに、二泊三日はあっという間すぎた。

名物のホルモン屋にも連れて行ってもらった!新鮮すぎるレバー🥹


名残惜しいながらも秩父から帰った私は、もう一つの夏休みビッグイベントのことで頭がいっぱいであった。


付き合いたての彼氏との初めての旅行!!!!


彼はお盆休みがない会社のため、一泊二日で首都圏から無理なく行ける名古屋に行く予定をたてた。

私は名古屋に行くのは初めてだ。正式に予約してからずっと、かわいい喫茶店を調べたり2人の大好物であるひつまぶしを予約したりとせっせと準備を進めていた。たくさん写真も撮るだろうから、と7月末のセールで新しいお洋服も買った。

『2人でいく旅行はどんな感じだろうね』『でも絶対楽しいよね』と初めての2人での旅行にテンションアゲアゲな私たち。普段私が多忙なせいで付き合ってからあまりお出かけができていなかったこともあり、2人の名古屋旅行にかける気持ちは大きかった。
モーニングをする喫茶店も、観光する場所も決めて準備は万端だった。はずだった。




そう、前日に彼がコロナになるまでは…


(夏休み引きこもり編へ続きます)

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