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四月六日 晴れ つき

四月六日 晴れ
 高校生活が始まった今日、昔の友人と再会しました。


「つきちゃん?」
 振り替えるとそこには、見覚えのある顔をした人がいました。その人は、校舎の前に立っていた私の顔をまじまじと見つめた後、手を握ってきます。
 人の手が温かいという感覚を、久々に感じました。手を繋ぐって、小さいころは当たり前でしたが、大きくなるにつれてその機会が減っていることに気付きました。
 彼女の髪はあごくらいで揃えられています。昔とは違って前髪を上げている彼女は、小学校のときに引っ越して行った、はなちゃんでした。髪型は違いましたが、やわらかい笑顔が、記憶の中のはなちゃんと同じでした。いつも付けていた黄色いお花の髪飾りも相まって、すぐに彼女がはなちゃんだと気づきました。

「つきちゃんだよね? 私のこと覚えてる?」
 必死な形相で私の手を握り続ける様は、はなちゃんが昔と変わっていないことを思わせます。はなちゃんは、いつも真っ直ぐにぶつかって来てくれます。

「はなちゃん」
 突然の再会に、私はうまく言葉が出ませんでした。それでも、はなちゃんのことを覚えていることは伝えました。
 はなちゃんは私の言葉を聞いて、嬉しそうな笑みをこぼします。

「そう、はなだよ。つきちゃん髪伸びたね」
「はなちゃんは変わってないね」
「えへへ、私は長いのめんどうだから」
 なおも手を握り続けるはなちゃんは、頭を左右に揺らしながら笑います。照れくさそうにして、目を細めていました。

 私は状況が掴めずにいました。はなちゃんは昔引っ越して以来、連絡が取れずにいた友だちです。私たちは、離れた距離でのやり取りができませんでした。お互いに何も聞かないまま、別れてしまったからです。なので、小学生のときにお別れをして以来、会うことはおろか、文字のやり取りさえできませんでした。
 どうしてここにいるのだろうとか、そんな理由は冷静になればいくらでも想像はつくことなのですが、覚えてくれていたこととか、話しかけてくれたことが嬉しくて、少し涙が出てしまいました。
 ちなみに、はなちゃんも笑顔を崩さないまま、ほんのりと涙を浮かべていました。

 この間、ずっと手は握られたままでした。

 つき