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2024.5.9

「まるで、自分の世界があるじゃん。まるで?」

まるで自分の世界があるじゃん。

最近ポッドキャストで聴いたその言葉は、妄想の世界を飛び回るだけで満足している今の自分を、端的かつアイロニカルに突き刺した。

その皮肉の槍を自分の脳内世界にある自室に家宝として飾りたい。脳内にずっと横置きしていたい。しばらくその部屋には戻らない。帰らないようにしようと思った。外に出て色々経験することに決めた。実家を脱ぎ捨てトー横という非日常の皮を被る少年少女みたいに。

こんないきさつを経て「まるで自分の世界があるじゃん」とは言われないように、外に出て新しい体験をしなくてはと、最近はそんな風に生きていたのだが!手軽に楽しめる新しい体験なんて世にありふれているもんじゃなくて、また映画。飽きたし2000円の娯楽を繰り返し金が尽きそう。今月の映画はこれで最後にしようと朝9:30下北沢にて「悪は存在しない」を鑑賞。

自然に囲まれた長野県の村で暮らす人々のもとに、突然、都会のビジネスマン(?)が訪れて、村の近くの一帯をグランピング建設に使う計画を提案してくるって話なんだけど、冒頭はとにかく「自然に囲まれて」を押しつけてきて、緩やかで平穏な日々が流れるから寝不足ということもあって、うとうとしながら見ていた。そしたら夢と現実が混同して「悪は存在しない」の画面にニコニコ動画のコメントみたいなのが流れていた。「ホリエモンww」とか流れていた。夢と現実混同問題がもうひとつ。森の木々を下から見上げるシーンでいくつもの葉と葉の間から太陽の光が差し込んで互いに独立している白い粒の集まりが形成されていたんだけど、青のりをまぶしたご飯に見えて「悪は存在しない」の映画中にお腹空いてた。別にあるかそんなの。

しかし!グランピング建設にあたり、担当者が村人たち向けて説明会を行う場面に入ったとたん、一気に目が覚める。担当者の発言に対して村人がノータイムで的確な返答をするから頭の悪い俺は度肝を抜かれてしまったのだった。きっとアップル社と腑抜けたベンチャー企業との会議もあんな感じだ。さらに、担当者がどことなくミルクボーイの駒場さんに似ていて(顔ネタバレごめんね)、その人の徐々にふて腐れていく演技がうまくて感心してしまった。あの映画の中だとグランピング建設の説明会のシーンがいちばんすきだ。配信されたらきっとあそこだけリピートするくらいに好きだ。そのあとなんやかんやありまして。映画を作り込むために膨大な自然環境に関する資料を集めんだろうなとか監督は賢いだろうなとか思ってるうちに終わった。見れてよかった!せっかくなので帰りにカレーを食べようと思ったけど金がないので家に帰ってご飯炊いて青のりかけずに食べました。今回の文章タイトルつけるなら「悪も金も青のりも存在しない」。


銭ズラ