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クーポンの呪い

コンビニでコーヒーを買ったらレシートにクーポンが付いてきた。次回コーヒーを買うときに使うと30円引きになるという。

もらったとき、嬉しい気持ちよりも面倒だな、という気持ちの方が大きかった。なぜなら、この手のクーポンを期限内に使えた試しがないからだ。ほとんどの場合財布の中に入れておいてそのまま存在を忘れ、気づいたときにはただの紙切れになっている。僕の財布には、かつてクーポンだったゴミが常に数枚入っているのだ。

使う機会がないわけではない。特にコンビニコーヒーはよく買うので、チャンスは何度もあるはずだ。だが、そのときにこのクーポンの存在を思い出せる自信がないのである。確実に思い出すためにはメモを残すなどの対策が必要だが、紙切れを忘れないための紙切れを用意するのも馬鹿らしいし、30円のためにそこまでするのも億劫だ。結果特に対策はせず、順調に記憶は薄れていくのである。

それならいっそ捨ててしまうか、とも思うのだが、それはそれで抵抗がある。少なくとも期限内は30円の価値がある紙なので、感覚としてはお金を捨てるのと変わらないのだ。それは損得以前に人として良くない行いのようにも思われ、結局折り畳んだクーポン付きのレシートを財布に入れておくことになる。「どうせ使わないんだろうな」と思いながら。

クーポンをもらうと、こういった一連がうっすらとしたストレスとなって心に堆積していくのだ。クーポンさえもらわなければこんなことにはならなかったのに、もはや呪いである。たとえ30円分得したとしても割に合わない。

クーポンもらってストレス溜まる。なんかそんな感じのことわざが存在していたような気がするが、具体的に思い浮かばないので多分ないのだろう。

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