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喉の変なとこ

唾が喉の変なとこに入ってテレビでコメントする際むせてしまった。畜生、なんでこんなタイミングで。取り立てて鋭いコメントを思いついていたわけではなかったが、それにしたって何も今変なとこに入ることはないではないか。間が悪いというかなんというか。つくづくツイてない。

そもそも「喉の変なとこ」ってどこだ。喉の構造を理解していないので、自分の中で全くイメージが浮かばない。喉の変じゃないとこと変なとこの境目がどこなのかとか全然わからないのだ。僕が思う喉の変なとこはなんとなくの概念としての「変なとこ」なのである。J-POPに出てくる「約束の場所」とか「あの場所」とかと同じだ。探せば「喉の変なとこ」も歌詞になっているかもしれない。

Ah もし君が悲しんでいるなら
Ah 僕は迷わず駆けつけるから
Ah 君と最初に出会ったあの場所
Ah 喉の変なとこへと yeah

そのくらい掴みどころのない「喉の変なとこ」だが、実際に感覚として「変なことに入った」と感じることはあるわけで、確かに喉には変なとこが存在しているのだろう。それは間違いない。だからこそ僕は今日コメント前にむせたのだ。それは確固たる事実だ。

きっとどこかにあるはずなのに決して辿り着くことのできない「喉の変なとこ」。それはまるで人が思い描く夢や理想にも似ている。時々ふいに唾が入ったりしないと、我々はすぐその存在を忘れてしまうのだ。何をしたくてどうなりたいのか。漫然と過ぎる日々の中で薄れかけていくその景色を、唾にむせながら僕は思い出していた……

なんてことはない。

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