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本をパラパラと読み返してたら、以前読んだ面白い話を思い出した。

昔々、サルバドール・ダリという絵描がいました。
ある日彼はお友達夫婦に誘われてお食事に出かけます。
そこはカタルーニャの田舎町。
緑の木陰にセッティングされた美味しそうなお酒と食事、テーブルの周りには色とりどりのお花が咲き乱れています。

そこでダリは、少年の頃にみた幻の少女と同じ名前の女性に出逢います。
その女性の名は、ガラ。
一目で恋に落ちだダリは、彼女に素敵な求愛をしようと思いつきます。

真珠の耳飾りをつけ、髪にはゼラニウムの花を飾り、シャツをズタズタに引き裂き、カミソリで血だらけにした全身に、山羊のフンを塗りつけます。
そうして彼女の前でヒステリックな笑いの発作にかられながら、地面をのたうちまわったのです。

そんなダリを見て「たっぷり、1日は続くぜ。」と周りの男達は顔を顰めました。
なのにガラだけは霊媒に似た直感で、この独特な求愛を理解してくれたのです。

100カラットのダイヤモンドのついた指輪を、膝をつきながら差し出されるのとどっちが魅力的な求愛だろう。

真珠のイヤリングもゼラニウムの花も、まあ、シャツをズタズタにするってとこまでは、勘違いしたロックバンドのボーカルとかがやりそうではあるけれど、カミソリで全身を血だらけにして、そこに山羊さんのフンを塗りつけるっていうところは、ちょっとやそっとじゃ考えつきそうにない。凡人の私には感染症さえ気にかかる。
なのに、なのにだ。
この有様を見て、ダリから自分への個性的な求愛だと受け止めて、結婚できるガラもすごい。
結ばれるために存在した2人だったのねと思わずにはいられない。

以前、この本を読んだときはそのエピソードの凄さに気をとられて、特別考えなかったんだけど、動物園で見る山羊のうんちってコロコロしててちょっと硬そうにも見える。
触った事ないから定かではないけれど。
だとするとダリが全身に塗りつけたっていうくだりが気になる。

どれどれ、山羊のうんちについて見てみるか。
へえ、山羊って自然界にいる個体は、ライオンとか狼に襲われちゃうから歩きながらうんちするんだって。
だから、コロコロしたそれじゃないと不便(違う、駄洒落じゃない)なんだって。
立ち止まって人間みたいに「うーーん」ってする暇はないらしい。ほう。
じゃあやっぱり水分は少なめよね。

まあ、ダリは画家であるからして、絵の具を水、もしくはオイルで溶くっていう技も持ってるわけだから、ここはひとつそのお話を信じるとするか。

あっ!カミソリで血だらけにした全身っていうところ!ぎょえーーーーっ。
そういうこと?
山羊のうんちを柔らかくしたのは、それ?
もういい、やめとこう。
あんまり深く追求してもあれだし。

いろんな歴史上の人物とかの話って、この岩がこんなにパキッときれいに切れてるように見えるのは、〇〇がこの岩を刀で一刀両断にしたからだとか、おまけにそれを見てた人もちゃんといるんだとか、ちょっとなってのあるし。

いやあ、ダリとガラのエピソードを初めて読んだときは、あれだけお互いに影響を与え合って、サルバドール・ダリという作品を作り上げた2人にとっての、若干ぶっ飛んだ話ではあるが、どんな形であれ何だか素敵なエピソードねと思ったのに、今、読み返してみると、山羊さんのフンの方に興味が引かれるとは、大人になったのか、子供帰り(子供ってある時期、うんちとかお尻とか言うと、ギャハギャハ笑う時ってない?別に面白くも何ともないのに)してるのか、どっちなんだろう。

スペインの「ダリ芸術美術館」は建物全体もダリで見応えもバッチリだけど、日本にもダリの作品を多数収蔵した美術館があるみたいです。
私はまだこっちの美術館には行ったことないけれど、機会があったら行ってみようかな。








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