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博士課程(社会人)雑記 2023/4~

社会人博士の経験について書く。
半年おきくらいで更新しながら書ききりたい。

まえがき

毎年、3月になると博士課程をとった方々の note が多く公開される。
それらの投稿はとても参考になるものばかりで、今回入学するにあたっても大変お世話になった。

しかしながら、自分が同じことをやろうとしたときに、先人たちのように整理された文章(ときには整理されていないが故に読み応えのある怪文書)を書けるとは到底思えない。
入学してから数年にわたって大変な思いをし尽くして、最後に卒業して振り返った思いを数日で一つの記事にまとめるなんて、後でやろうと思ったことを最短で数週間放置する自分にはできない芸当だ。

そこで、この記事ではそういう note を「先に作る」ことを試みる。
入学したとき、環境の変化があったとき、心境の変化があったときなど、書くべき事柄が起きたときに書く。
そうすることで、長い期間を振り返るのが苦手な自分でも書き逃す事項をできるだけ減らし、執筆のハードルを最小限に抑えられるだろう。
また、後から一気に振り返るとどうしても記憶の改ざんが生じて当時の考え・思いを正確に記述するのが難しくなるものだ。
リアルタイムに書くことで記憶の改ざんを防いで経験の正確な記述とリアルな心境の描写が達成されることを期待する。
一方で体裁としては先人と同じように一つの記事にしたいので、最初に大枠だけ作り、あとからその記事を編集して埋めていくようにする。
上記の趣旨から、既に書いた文章を決して後から編集しないことをルールにする。


この note は未完成です。
もし職場の環境が大きく変わって今の研究が続けられなくなったり、
進捗が芳しくなくて心が折れてしまったら、
未完成のまま更新できなくなるかもしれません。
仮にそんなことになったとしてもその結末まで書ききれるよう、
ぜひ応援してください。


社会人博士の概要

2023/4 入学 (早稲田大学 基幹理工学研究科)
入学時点では企業の研究所勤務 5年目
研究テーマは会社での研究テーマと同じ

入学

動機

研究者たるもの博士を持っておくのが良いという価値観に基づく。
この価値観は憧れが半分とキャリア形成の目標が半分で、いつのまにか形成されていた気がする。
絶対にとらねばならぬというほど強い内的な動機があるわけでもなく、良いタイミングがあればと考えていた。

研究分野

もともと研究分野へのこだわりはない。
会社の業務でやっている研究と同じ研究内容で博士がとれればとても都合が良いのでそうすることにした。

研究室

所属する部署で既に共同研究をしていたので、ほとんど他を検討することなく共同研究先の研究室を選んだ。

タイミング

ここしかないというタイミングだった。

  • 入学する前の年度に自身が共同研究の窓口になり、コネクションができた

  • 会社の業務で2年ほど当該分野の技術に触れ、技術的な小ネタが既にいくつかあったので、それを使って論文を2~3本書ける見込みを立てていた

1年かけてのんびり入学準備した。

入学式

出なかった。
年齢が10も離れた人たちが集まる場に行くものでもないだろうと思ったが、出ても良かったのかもしれない。

履修

新入生になるのも10年ぶりで忘れていたが、履修登録の期間は知らないうちに訪れ、終わる。
初めて研究室に現地に挨拶したときには既に2次登録期間が終わろうというところだった。
助けてくれた研究室の他の学生さま、ありがとう。

学費

学費については入学早々一波乱あった。
無条件で受けられる想定だった学内給付型奨学金の要件がちょうど変更となり、給付対象ではなくなってしまったのだ。
先生が親身に相談に乗ってくださり、他の給付型奨学金に応募することになった。

幸い、応募した奨学金に通り、
また会社の方でも同じタイミングで社内制度の大幅な改善があったため、
最終的にはほとんど出費なく社会人課程を過ごせる予定となった。
本当にツイていた。
半年早く入学していれば上記の波乱はそもそもなかったのだが、その場合は逆にこれらの恩恵にも与れなかったので、タイミングとは不思議なものだ。

注: 後述する転職により上記社内制度は自分にとっては結局無効となった。

研究室ゼミ

ゼミは「定期ゼミ」と「班ゼミ」の二種類があり、以下のようになっていた。

  • 定期ゼミ: 修士&博士の学生が持ち回りで毎週発表する。発表機会は半年に二回、発表時間は15分。パワポの発表資料と別にTex原稿を用意する。

  • 班ゼミ: 前提として、同じ研究室内でも3つの異なる研究分野が存在する。自身の分野のゼミが毎月一度開催されるので、当日発表したい人が数人研究進捗などを発表する。

先生からは「社会人博士の人はTex原稿は作らなくても良いよ」と言われたが、やらない理由もないので毎回作成している(2023年8月現在)。
こういうものはきちんと負荷をかけたほうが研究がずっと進みやすい。

↑ではこう書いたが、その後論文の執筆に追われて結局Tex原稿を作れない回も発生した。

論文

卒業の要件としてはジャーナルに2本通しておく必要がある。

一本目

1年目の7月に英文誌に一本目の論文を投稿した。
内容のベースは入学直前の3月に国内研究会で発表したもの。
4-6月にかけて数値実験を増やして内容を3倍くらいに充実させた。
ゼミ用の原稿があったので論文化はかなり楽だった。
また、会社の業務の方も昨年度より負担が減って自由に研究しやすい状況だったのも幸いした。

12月、二本目の論文を投稿した直後にメジャーリビジョンとの査読結果が来た。
自分でも手入れが必要と思っていた点の指摘が多かったので、適宜修正と実験の追加をして再投稿した。

二本目

1年目の12月に英文誌に二本目の論文を投稿した。
一本目の論文をもとにしたネタを用意していたが、その方向で進めるための前提の検証として既存研究の再現をしていたらちょっと面白い結果が出たので、それ自体を論文にしておくことにした。

7月から12月まで一気に進めていいペースで書き上げることができたが、いざ一本目と同じ論文誌に投稿したら2ヶ月ほどでスコープ外という理由のリジェクト通知が。
しょうがないので他の論文誌にスタイルを修正して再投稿した。

翌年の3月に査読結果が来たが、あまり評価は良くなく大幅な書き直しが必要となるものだった。

単位

卒業要件として、必修である研究倫理の科目と合わせて5単位を取る必要がある。

研究倫理では、よくある「論文で剽窃するな」というような法令遵守的な倫理ではなく、公害や原発をどう考えるべきかとかこれからの科学がどうあるべきかといった方向の倫理を扱っていた。

社会人博士の学生としては、土曜に開講される集中講義や録画されていてリモートで視聴できる講義などがあるとありがたい。
そういう科目は数は多くないので、逆に履修科目選択で悩む余地があまりない。

転職

なんと入学してから1年のタイミングで転職することになった。
自分で「なんと」というのもおかしいが、少なくとも入学時には一年後に自分が別の職場にいることなど全く想定していなかった。

転職の経緯は本筋ではないのでとりあえずここでは書かない。
採用担当の方からは、研究よりもビジネス寄りの業務となるが業務外で大学に通うことは構わないということで説明を受けた。

学割

それなりに有効活用できていると思う。

  • YouTube プレミアム

    • 広告がなくなったおかげで、初めて積極的にチャンネル登録をしてYouTuberを追っかけるようになった。

  • Adobe Creative Cloud

  • 買い物

    • 転職のタイミングでDELLのモニターを10%割引で買うことができたのはありがたかった。

博論審査


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