見出し画像

CREの決算内容を3分で解説!

今回はCREの決算内容について見ていきましょう。
物流不動産事業を手掛けるこの会社、物流サービス全ての基盤となる仕組み「物流インフラプラットフォーム」を展開しています。
その決算内容はどうでしょうか?


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比△16.9%の521億円と減収となりました。
営業利益は前年比△29.8%の71億円、当期純利益は△24%の43億円と大幅な減益となりました。
前期との比較で見るとなかなか厳しい結果となりました。

出所:決算説明資料

では内容の詳細を見ていきましょう。
まずセグメントとしては3つ「不動産管理事業」「物流投資事業」「アセットマネジメント事業」があります。

出所:決算短信

またビジネスモデルの観点で見ると2種類に分けることができます。
それは「ストックビジネス」と「フロービジネス」となり、不動産管理事業とアセットマネジメント事業がストックビジネスに分類されます。

出所:決算説明資料

ここではビジネスモデルの観点からそれぞれの内容を見ることにします。

◇ストックビジネス
まずはストックビジネスの中の「不動産管理事業」についてですが、3つのセグメントの中で一番売上高が大きく、2020年以降は20億円以上で推移しています。
事業としては、中小型倉庫のマスターリース事業の強化を継続的に進めていて、オーナー及びテナントとの連携強化のためウェブサイトの構築・運用、物流セミナーの開催、メールマガジン等の配信、ソーシャルメディアの活用を強化し、マスターリース事業の面積の拡大を図っています。

またプロパティマネジメントの管理面積推移を見てみると、毎年着実に増加を続けています。
これによる今後3年間の受託収入も+27%程度を見込んでいます。

出所:決算説明資料

アセットマネジメント事業に関しては、連結子会社であるCREリートアドバイザーズ株式会社が資産運用するCREロジスティクスファンド投資法人において、投資法人設立以来、初めての物件売却を行い、投資主価値の向上に努めています。
また、私募ファンドを運営する連結子会社のストラテジック・パートナーズ株式会社におい ては、運用中のセルフストレージ特化型ファンドに対し、不動産管理事業セグメントが保有するセルフストレージの当該ファンドへの組み入れを行います。
現在進行中の第2次中期経営計画ではフロービジネスである物流投資事業を成長ドライバーに、ストックビジネスである不動産管理事業の管理面積及びアセットマネジメント事業の受託資産残高を増やすことで、ストックビジネスの成長に繋げていく考えです。

また具体的な数値としては重要指標のAUM推移でその成長がわかります。
ここ4年間の推移では1.8倍までその運用資産が増加しています。

出所:決算説明資料

◇フロービジネス
物流投資事業セグメントでは、静岡県で初となる開発事業に着手しました。また、埼玉県朝霞市においては、初めて土地区画整理事業に業務代行者として事業参画しました。立地環境を活かした良好な産業用地の創出や農地及び公園の整備を行うほか、河川改修計画等も踏まえ、周辺環境や自然環境と調和したまちづくりを計画しています。

このような活動の結果、2023年7月期はロジスクエア枚方・ロジスクエア白井の2物件を売却しました。
また公表済パイプライン残高が、第2次中期経営計画のコミットメントを超える2,100億円超に拡大しました。
次期中計以降のパイプラインの取得も堅調に推移し、1,000億円にまで積み上げています。

出所:決算説明資料

では2024年7月期の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
売上高は前年比+30.2%の679億円、営業利益は+4.9%の75億円と増収増益の見込みです。特に売上高に関しては+30%超の大幅増収となります。

出所:決算説明資料

物流投資事業が前年比+59.7%と大幅に増加する見込みとなっており、これが大幅増収の主要因となっています。
ロジスクエア伊丹の12月に売却予定(契約済)など、契約済みの案件も含まれているので、業績予想の実現可能性としては低くないと考えられます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+205億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+173億円増加しましたが、そのうち現預金で△85億円の減少がありました。この点に関しては、後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では、販売用不動産で+136億円、仕掛販売用不動産で+146億円の増加がありました。
この販売用不動産が増加していることは現預金の減少を意味します。
販売用不動産が売れなければ現預金が増加しないからです。
また仕掛販売用不動産が販売用不動産に振り替わらないと、その後の現預金に繋がらないので、仕掛販売用不動産の増加は現預金の減少を意味します。
次年度にこの2点がどれだけ現預金に振り変わるかは注意点となります。

固定資産に関しては+31億円増加しており、そのうち投資その他の資産で+30億円増加しています。

負債に関しては+182億円増加しましたが、そのうち短期借入金・社債の返済が進んだことで△173億円の減少となりました。
一方で長期借入金の追加借入があったため+31億円増加しました。

純資産に関しては+23億円増加しましたが、当期純利益+43億円の増加があった一方で、剰余金の配当で△7億円・自己株式の取得で△12億円の減少項目もありました。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△85億円減少しました。
内訳としては営業CFで△227億円、投資CFで△36億円、財務CFで+178億円という内容です。

営業CFに関しては、税引前利益で+65億円としっかり稼げていますが、BSの状況で触れた販売用不動産と仕掛販売用不動産の棚卸資産が+282億円増加したことで、CFへはマイナスの影響となっています。

出所:決算短信

通常の商品などの棚卸資産と異なり、同じ棚卸資産でも不動産の場合は流動性が低くなるため、今回のように在庫残高が多額になるケースがあります。
ビジネスの性質上仕方ない面もありますが、在庫として滞留期間が長くなるとCFに支障をきたす可能性が出てきます。

投資CFに関しては特段目立つ動きはなく、定常の有形・無形固定資産の取得に加えて投資有価証券の取得に対する支出がありました。

財務CFに関しては、長期借入金の返済で△169億円の支出がありましたが、新規借入で+372億円の収入がありました。

出所:決算短信

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算をみようかな?

マサキタカオ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?