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イオンの決算内容を3分で解説!

今回はイオンの決算内容について見ていきましょう。
4年ぶりに最高益を更新し、好調な様子のこの会社、子会社の業務提携などでも今何かと話題になっています。


1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。
営業収益は前年比+4.8%の9兆5,535億円と過去最高を更新しました。
営業利益に関しても前年比+19.6%の2,508億円と過去最高を更新、当期純利益も+109%の446億円と大幅増益となりました。
控えめに言っても最高の決算でしょうね。

出所:決算説明資料

全ての事業で売上収益は増収となり、営業利益に関しても主力のGMS事業やSM事業での増益が全体の好調さを牽引しています。

出所:決算説明資料

では各セグメント別に内容を見ていきましょう。

◇GMS事業
まずGMS事業の内容についてですが、総合スーパーを意味していますので、イオンモールがここに含まれます。
では業績に関してですが、営業収益は前年比+3.7%の3兆3,893億円、営業利益は+101.1%の283億円とほぼ倍増となりました。
コロナ禍の影響で、2020-2021年度は赤字が続きましたが、前年から黒字化へ回復し、今回はさらに業績を伸ばして営業利益ベースでは大幅増益となりました。
過去より取り組んできた構造改革や地域再編の効果やトップバリュやデリカ・生鮮で消費の二極化への対応を強化した効果が現れてきました。
また効率化投資で生産性向上、省エネ機器導入やグループ電力調達により経費率が改善したことなどにより、大幅な収益改善となりました。

出所:決算説明資料

GMS事業の中でもイオンリテールに焦点を当てて見てみましょう。
イオンリテールでは収益構造改革に加え、MD改革やDXによる生産性向上に努めてきました。
また商品の二極化戦略や成長領域における差別化対応を進めた結果、売上総利益の増加で人件費や販売促進費などのコストアップを吸収し、増益となりました。

出所:決算説明資料

◇SM事業
SM事業の内容としては”スーパーマーケット事業”となり、フジ、マックスバリューやミニストップなどが含まれます。
営業収益に関しては前年比+5.3%の2兆7,821億円、営業利益は+83.3%の419億円と大幅増益となりました。
価格政策の強化と高値入PB・成長カテゴリーの拡充で営業総利益が改善しました。また2023年11月に連結子会社化したいなげやは13億円の増益へ貢献しました。

出所:決算説明資料

◇ヘルス&ウエルネス事業
ヘルス&ウエルネス事業には今話題のウエルシアホールディングスが含まれています。
営業収益は前年比+7.4%の1兆2,351億円、営業利益は△4.9%の426億円と増収減益となりました。
新型コロナ終息に伴って検査キット・コロナ関連需要の反動減の影響を受け減益となりました。
また業務効率化で販管費の適正化に努めましたが、減益を避けるほどの効果を得ることはできませんでした。

出所:決算説明資料

この事業に関してはすでにニュース等でご存知かと思いますが、ツルハHDとウエルシアHDが経営統合に向けて協議を開始しています。

出所:HPのニュースリリース

業界1位のウエルシアと業界2位のツルハが経営統合されることで、売上高としては2兆円超の企業となります。
統合の形としては、ウエルシアがツルハの傘下に入り、ツルハの株式を香港の投資ファンド・オアシスから追加取得することで子会社化する方針のようです。
今回の経営統合をきっかけに、ドラッグストア業界の再編が始まるかもしれませんね。

◇国際事業
営業収益は前年比+2.3%の5,087億円、営業利益は△18.7%の103億円と増収減益となりました。
アセアン地域全体ではインフレに伴う人件費・設備費の上昇で減益となりましたが、マレーシアでテナント入居率が改善基調となっています。
ベトナムではトップバリュ取扱い品目拡大等で食品売上が大きく伸長し、非食品PBの現地開発・生産を強化しています。
また中国ではエリア差はあるもののゼロコロナ政策の解除もあり収益は改善傾向にあります。

出所:決算説明資料

◇2024年度業績予想
2024年度の業績予想に関しても概要を見ておきましょう。
営業収益は前年比+4.7%の10兆円の大台に到達、営業利益に関しても2023年度の最高益を更に+7.6%更新して2,700億円となる見通しです。
ちなみに経常利益に関しても過去最高を更新する見通しです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+5,993億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+3,631億円増加しましたが、そのうち現預金では△1,441億円減少しました。この点に関しては後のCFの状況で見ていきます。
それ以外では「営業貸付金・銀行業 における貸出金」で+2,577億円の増加がありました。
これは金融事業でのキャッシング残高などの増加が影響しています。

出所:決算説明資料

固定資産に関しては2,361億円増加しましたが、そのうち有形固定資産で+1,135億円の増加が見られました。
これは国内・海外店舗やデジタル・物流関連へで3,962億円の投資を実行している結果となります。

出所:決算説明資料

負債に関しては+4,823億円増加しましたが、そのうち有利子負債で+2,325億円の増加が見られました。
また銀行業を営んでいるので、顧客からの預金の預入金もこの負債に含まれており、その預金が+1,410億円増加しました。

純資産に関しては+1,169億円増加しましたが、増減項目としては通常の動きとなり、剰余金の配当や当期純利益の計上が主な動きとなります。
あとは子会社の業績が好調で、子会社の純資産が増加するとイオン持分以外の増加分は「非支配株主持分」の増加として反映してきます。
今回はその増加分が+554億円ありましたので、全体の純資産の増加分の半分近くを占めています。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては前年末から△1,503億円減少しました。
内訳としては営業CFで+3,684億円、投資CFで△5,088億円、財務CFで△158億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税引前利益と減価償却費で合わせて+5,000億円超を稼いでおり問題ないレベルです。

投資CFに関しては、設備投資は前年と同レベルの投資金額でしたが、銀行業における有価証券の売買の影響で△1,292億円あり、そのマイナス分が大きく影響しています。

出所:決算短信

財務CFに関しては、有利子負債の増加による収入などはありましたが、今回は非支配株主への払出しを含めた子会社株式追加取得で△453億円の支出が全体のマイナスへ影響しています。

出所:決算短信

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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