裏側から覗く出版スケジュール
出版してみるとこの業界を裏から覗く事になるんですが、例えば一冊出るまでにどんな工程があるか興味ありませんか?
僕は自分が本を出すまで、どうなっているか皆目見当もつかなかったのですが、教えてもらえるなら知りたいな〜くらいには思っていました。
ですので、僕の場合2冊出して経験した分だけの知見をここに書いてみます!
本をうちから出しませんか?→出しましょう!となった後で…
0月:著者が企画案(原文・原案)を提出
ここを起点とします。この企画案で使われているキーワードで編集者さんがマーケティング調査をします。
需要見込みがありそうだと、企画会議までに編集者さんが企画を整えます。
出版社の企画会議は部署内、役員や社長、と段階になっているらしく、無事各段階を通過するとGoサインが著者に来ます。
1〜2ヶ月:企画会議通過後、企画の練り直し
通過すると、編集者さんの指示で著者が原文・原案を補足する資料をかき集めて送り、そこから編集者さんは著者と相談しながら企画を改めます。
そうです!改めます。ケースにもよるのでしょうが、会議を通過した後も企画は本が完成するまでにかなり変わるのです。
しかも何度も。進行具合で修正し続けるので、僕が最初に書いた企画案はほとんど原形を留めなくなります。
しかし、これでよいのだと思います。だって本は製品だし、売れないといけない。僕はそれをするプロではない。
僕だけでそれができるわけではないですから、編集者さんに委ねた方がよいのです。
だから編集者さんって本を編む人、なんですね。
3〜5月:原文とインタビューを用いて再執筆
編集者さんがライターさんとやり取りしながら僕にインタビューをして素材を捻出していきます。
ライターさんが入るのは、僕の文章力では商用品として通用しない、ということがもちろんありますが、これは仕方がない。素人が作ったプロダクツを全国に並べるわけにはいきませんから。
文章にもプロはいて、それはお任せしないととんでもないことになるのです。むしろありがたい。ゴーストライターなんかではなく、本が社会で通用するようにライターさんに加工成形してもらえているのです。
それをZoomを使って1時間半、5〜7回ミーティングをします。
編集者さんは素材を揃えていくように文章をストックしていきます。これをパズルのように組み合わせて構成を決めていきます。
僕はそれらブロック単位の文章が自分の意思に沿っているかどうかチェックします。
6〜8月:初稿から4〜5稿を経て脱稿
構成が定まったら編集者さんから初稿が来ます。初稿段階では文章構成の体裁はできているものの、前後関係にずれがあり、違和感がある所を修正していきます。
編集者さんはこの作業を「くしを通す」と言ってたかと思います。文章をパーツとして素材集めをしてブロックにし、それを並べたので前後関係が一貫していなかったりします。
理念やポリシーが貫かれているかどうかはやはり著者である僕が見る必要があり、2稿、3稿と修正される度にチェックして修正の指示や意見、希望を送ります。
大抵はメールで行いますが、どうしても伝わらないところはZoomミーティングをして、身振り手振りでできるだけ伝わるように努めます。
文章は修正すると全体に影響するところもあるので、それを繰り返し続けるのは結構大変な作業です(この辺りで次第に編集者さんが病んできます…)。
9月:発売日・タイトル・デザインの決定、契約(契約書にサイン)
脱稿(本文の完成)すると、本が製品になるために必要な他の要素を揃えていきます。
そしてここでやっと契約!印税率と権利等が提示されます。
僕の本を出している飛鳥新社さんの場合、最初(つまり口約束)だった印税率を変えませんので契約にフェアな出版社なんだと思います。
他社で出版した知人の話では、発売寸前で口約束の印税率を下げられたり、まとまった冊数の買取を促されたりと結構辛い話を聞きます。
いろいろ事情はあると思いますが、誠実な会社、誠実な編集者さんに当たりたいですよね…。
もちろん、向こうもトンデモナイ著者を引き当ててしまってはいけないわけです。なんせ一冊の製作費は300万くらいと聞いてますから。
10月:発売
ついに!という感じです。発売日辺りの話は前にしましたので遡ってお読みください。
発売日の数日前に印刷をしますが、編集者さんはギリギリまでチェックして修正をしているようです。
いやいや大変。それでも出版されてからミスに気づくから、フマーエ・エラリスム・エスト…人ってどれだけ注意してもミスを見逃してしまうなあ…と実感しています。
ということで、出版はどう見ても半年以上はかかるもので、通常企画提案から1年ぐらいは見ておくといいのかな、というのが僕の見解でした!
出版に関して答えられる範囲で返事しますので、よかったらご質問くださいね!
それでは、また。
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