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「レズビアンvsトランス」 LGBT分断の危機!?

※お詫び
2019年の記事を今になってRTしてくださった方々がおられるので、せっかくなので無料記事にしてみました。
アップ当時、購入して読んでくださった皆さんには申し訳ありませんが、ご容赦くださいませ。

過去に何度か同じ事を言った記憶があるが、このnoteは特定の個人を貶めたいとか、攻撃したいとか、読者を煽って迷惑かけてやろうとか、そういう魂胆で書いている訳ではない。
よって、時事ネタ的な物を書いたとしても、ソースや個人名を示さない場合もある。

その方法論では絶対に藁人形論法的になってしまうのだが、無駄に火の手が広まって意味なく焼け野原になるよりはマシだと思っている。

そんな前置きをしつつ、今回はLGBTが分裂するかもしれないというお話をさせていただく。

LGBTってなあに?

今さら聞けない話かもしれないので、あえてここから話を始めよう。
LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字を並べたもの。いわゆる 「セクシャルマイノリティ」と呼ばれるヤツだ。

で、トランスの中には「MtF」や「FtM」という分け方もある。
これはmale(生物学上の男)とfemale(生物学上の女)から来ており、MtFだったら「Male(男) to(から) Female(女になった)」という意味だ。

余談になるかもしれないが「なぜmanやwomanではないのか」というと、それらは ”個人” に重きが置かれる場合に使う呼び方である。例えば「毎朝電車で見かける彼」といった場合はmanを使う。womanも同様だ。

ところが、male/femaleの場合はもっと無機質というか、事務的というか、役所などに届け出を出す場合の性別の記入欄など、個としての存在があまり重視されない場合に用いられる。

この英語の「man/woman」と「male/female」の間に微妙な意味の違いがある事が、様々なこじれを生む要因になっているような気もするのだが、それから語り出すとややこしくなるのでここでは割愛する。

で、何が起きたの?

事の発端は、新宿二丁目のバーで起きたイザコザだ。

このバーは元々はレズビアンバーとして経営していたが、時代の流れに合わせてLGBTQにこだわらず、あらゆる人々が交流できるようにと、経営方針を変更している。

しかしそれではそもそもの客であったレズビアンが来づらくなるという懸念もあり、定期的に "身体女性限定イベント" を開いている。

ところが、ある時このイベントに入ろうとしたMtFのトランス女性が入店を断られ、その事がWEB上でニュース記事となり、それと同時にトランス界隈の著名人らが店を非難したのである。

どうもお店側は入店を断る際に「シス女性(※)のみの日だ」という説明をしたそうで、これがトランスにカテゴライズされる人達の怒りを買ったようだ。

※ シス女性
生まれ持った身体と性認識が一致している女性。いわゆる普通の女性。
トランスジェンダーに対してシスジェンダーと呼ぶ。

すでにお店は謝罪済みで、公開されたWEB記事でも謝罪の言葉とどうしてそうなったのかという説明がなされているのだが、トランス側は攻撃の手を緩めず、未だにああだこうだとTwitterなどで店への非難を続けている。

さらには、セクシャルマイノリティの存在を世間に知ってもらうために、定期的に行われている音楽イベントやパレードがあるのだが、それも巻き添えになってしまった。

そこでの扱いを巡って「今回問題を起こした〇〇がパレードの前に並ぶなんて許せない!」といった超くだらない、内輪のマウント合戦というか、権力闘争というか、そんな話になってしまっているのだ。

こうしたトランス側の攻撃により、長年に渡ってLGBT問題に心を砕いて相互理解を深めようと活動してきたバーの経営者は、一方的な難癖によって『TERF(ターフ)=trans-exclusionary radical feminist』であるとされ、トランス排除を目論むラディフェミであるかのように「海外にまで喧伝されてしまった」のだ。

書き方はだいぶマイルドだが、このnoteに当時の事情がとても詳しく書かれている。

セクシャルマイノリティ的に、店批判は正しかったのか?

この騒動において、初撃はWEBニュースなどを絡めて一気呵成に攻めたトランス側が圧勝した形だったが、日が経って何が起きたのかが広まるにつれて、レズビアンの側からのトランスに対する非難の声も聞こえてくるようになった。

彼女らが言うには、問題となった店は普段はトランス女性も入店でき、今回は限られたイベントの日だった。そこをシス女性のみの限定イベントとする事に何の問題があるのかという主張だ。

それに対してトランス側は「シス女性はトランス女性を女性と見ていない、差別だ!」という反撃をしているのだが、これについては少々思うところがある。

以下、何が問題なのかを極力分かりやすい言葉で説明する。

そもそも、新宿二丁目のレズビアンバーという時点で、そこはセクシャルマイノリティのために用意された 「逃げ場所」 である。よって他に居場所がない人間が集まるものと考えねばならない。

セクシャルマイノリティといっても様々だから、LGBT(Tの場合はMtFかFtMか)それぞれに専用の場所が用意されている事が望ましい。

同性愛者同士、シスジェンダー同士、トランスジェンダー同士だから出来る話もあるし、普段生きている環境が近い者同士の方が居心地がいいという場合もあるだろう。

そういう空間を作りたいと思ったら、お店の側が「ウチはシスジェンダー限定です」「ウチはMtF限定です」といった具合に、入店を許す客を選別するしかないし、それは別に非難されるような事ではない。

今回問題となったお店がやろうとしたのが、まさにこれなのである。

それを差別と言って、メディアまで使って攻撃を仕掛けるというのは、いささか焦り過ぎだし、圧力的だし、卑劣なのではないだろうか。

しかも店を批判している人間で特に目立つ2名が、共にトランスだという点も話をややこしくしている。見事なまでに【レズvsトランス】 という図式になってしまっているのだ。

ただでさえ「マイノリティ」なのに、LGBTを分断してどうしようというのだろうか。

アンダーグラウンドに間違った平等論を持ち込むな

私の前職はAV監督である。それも、所属していた会社はドインディの弱小メーカーで、扱う作品はババア・デブ・スカトロ・盗撮・ニューハーフとキワモノ縛り。絵的に最も美しいのがニューハーフという中々のラインナップだった。

そんなメーカーで堂々とブルセラ系のシリーズ作品を撮り始め、ちゃんと各2千本くらい売ってみせたオレは実は凄いんじゃないかと今になって思う。

それはともかく、そんな職歴があり、最近では長くフェチフェスのネット中継スタッフなどもやっていたため、人よりもアンダーグラウンドな業界には詳しく、知人も多いのだが、そうした世界にはひとつお約束がある。

それは「決して平等論を持ち込んではならない」という事だ。

どういう事かというと、そうしたアンダーグラウンドにしか居場所がない人間は、何かしらこじらせてしまっていて、普通の世界では生き難い場合が殆どである。それが性の問題ともなれば、人によっては生き死にに関わる重要事項だ。

だからこそ、上で述べたようにより細かく対象を絞って 「逃げ場所」 を用意してあげないとマズイ。商売の都合もあるだろうが、理想を言えば可能な限りホモならホモだけで、レズならレズだけで集まれるようにと、細かく細かく「許す属性を選り好みするべき」なのだ。

それによって、セクシャルマイノリティの ”心と身体の安全” が保たれる場合だってあるのだから。

そこに妙なポリコレ主義というか、見当違いな平等主義を持ち込んで、「トランス女性を女性の枠から排除するのか!」なんてやってしまっては、「シスジェンダーのレズビアンだけで集まりたい人達」の居場所が失われてしまう。

それが果たして 「セクシャルマイノリティ的に正しいやり方なのか?」 という事である。

ネットウヨク界隈などを観察していると、明らかな差別なのに「これは区別だ」とうそぶいて誤魔化そうとする卑劣な人間がいるけれども、こうした場合には 「本当に必要な区別」だと考えねばならない。

繰り返すが、問題となった店は普段はトランス女性の入店も認められているのだ。たまたま今回が限られたシスジェンダーのレズビアン限定のイベントデーだったというだけの話なのだ。

それを「トランス差別だ」と潰しにかかるというならば、ではシス女性にはシス女性だけで集まる権利がないのか。シス女性はトランス女性に一切歯向かってはならない、下位に位置する存在だとでも言いたいのか。

なぜトランス女性の横暴な要求だけをどこまでも呑まねばならないのか。

仮にこんなやり方がOKとされるならば、私だって「MtFの女性です」と言い張って、レズビアンパーティに潜入したい。入り口で止められたら「差別すんのか!」と、トランス系の著名人の名前でも騙って暴れればいいんだろ?

わ~い、かんた~ん。

獲物を探すエセゲイ・エセフェミ

嫌味はさておき、世の中には本当にセクマイのふりをして「喰う」目的で近付いてくる男が山ほどいる。

一昔前に「ビジネスゲイ」なんて言葉が流行ったのを覚えてないだろうか。
その手の偽物の中にはタチの悪いヤツもいて、ゲイのふりをして女性達のいる場所に近付いて行き、あの手この手で女を喰い散らかすのである。

それ以外でも、連続強姦魔と思われる人間が出所後にシレっとフェミニストとしてTwitterを始めて、女性を含むフェミ界隈の人間とオフ会やってたなんて話がありましたな。

フェミ&表現規制推進派に ”ダブスタ・ブーメラン芸人” が絶えない理由
#1 https://note.mu/oharan/n/nb7bfed254ed9
#2 https://note.mu/oharan/n/na2ac416f31ec
#3 https://note.mu/oharan/n/n36bf905a02c0

そういう危険が実際に目の前にあるのだから、客を守るために「今日はシス女性のみの日です」という区分けがあったって何も問題ないだろう。

何でもかんでも因縁をつけて差別だなんだと騒げばいいというものではない。平等論や差別論を振りかざしていい場所がどうかをわきまえるべきではなかろうか。

マイノリティをさらに割ろうとする愚

少なくとも、今回の一件で、レズビアンとトランスの間には深い溝が出来てしまったように思う。ただでさえLGBTを一括りにしても「マイノリティ」とされるのに、それを更に割ってしまってどうするのか。

なぜマイノリティ同士で、ちょっとずつ我慢し合って、居場所を守るという考えが持てなかったのだろうか。

なぜ引っ込みがつかなくなるような「WEBニュースで攻撃」なんて圧力的な手段を選んでしまったのだろうか。

なぜ同じセクシャルマイノリティの仲間に対して、そこまで攻撃的になれるのだろうか。

アンタら社会に居場所がないから戦ってるんだろ?

それが同じセクシャルマイノリティ仲間から「限られたシス女性の日」なんて居場所を奪ってどうすんだよ。それくらい見逃してやれよ。

トランス女性のワガママ・身勝手を最優先して、それ以外の属性を片っ端から差別・弾圧して回るなんて悪手を選ぶな。そんな真似を当たり前と考えたら、数の論理からしていずれトランス女性の権利が「民意で剥奪される」ぞ。


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荒井禎雄(フリーライター兼主夫)
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