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新年のご挨拶と私たちの目指すところ

新年あけましておめでとうございます。
柳川藩主立花邸 御花の代表を務めております、立花千月香です。

新年早々に起こった痛ましい出来事。不安な日々が続いておりますが、1日も早く、穏やかな日々が過ごせるようになることを願います。
私たちも、みなさまのことを想い、できることを考えながら、毎日を大切に過ごしていきたいと思います。

激動の時代を乗り越えてきた先人の言葉

約400年の歴史をもつ家に生まれるということは、ご先祖様が辿ってきたあらゆる物語や想いを、多くの史料や家族からの言い伝えから、「歴史を知る機会」が多いということでもあると思います。

「世の中がひっくり返るようなことが起きても、決してへこたれるな」

これは、伯爵令嬢として生まれながらにして御花を料亭旅館にするという、異例のチャレンジをした16代文子がいつも大切にしていた言葉です。

これは彼女の父、15代当主鑑徳からいつも言われていた言葉だそうで、彼女はこの言葉通りに、明るく、へこたれることなく「明治・大正・昭和・平成」までの激動の100年を生き抜きました。ひっくり返るような危機が何度も起こりましたが、その度に文子を支えた考え方が自伝に残っていました。

「どんな困難でも時間が経てば霧が晴れたように見通しが良くなるもの。
ひとつひとつやるしかありません。いつもそう考えて生きてきました。」

周囲に対していつも「なんとかなるわよ」が口癖だった彼女。どんな時でも笑い、強く明るい文子の言葉に、私も励まされてきたからこそ、今、皆様にお伝えしたいと思いました。

畑を耕す文子

さて、少し2023年の御花について振り返りたいと思います。2023年はとっても多くの変化がありましたが、その中でも大きなものが3つあります。

2023年の振り返り 大きな変化3つ

築40年の松濤館の改装が決まった

松濤館はここ数年、配管・空調等、表には見えない部分も老朽化が進んでいる状態でした。もうそろそろ着手しなければ、継続的な営業ができなくなる、と言われていましたが、6年前に100年に1度の「大広間の修復工事」の方でも大きな借入を行っており、文化財の修復で手一杯となっていた私は、なかなか大きな投資に勇気が湧きませんでした。

1984年3月にオープンした松濤館

そんな時に私たちを襲ったコロナ。松濤館の存続ではなく、むしろ御花の存続自体が危ぶまれるような事態に追い込まれました。

コロナを乗り越えることに必死で、改装なんていつかできる日が来るのだろうか、という気持ちでいっぱいでしたが、前に進み続けるうちに、少しずつ光が見え、御花を100年後も存続させるためには松濤館を改装するのは今しかない、という思いが高まりました。

完成当初のロビー

松濤館には20室の客室とダイニングそして350名が収容できる大きなバンケットホールがあります。

今回の改装は、この20室の客室の全面改装になります。御花は柳川の観光名所の一つですが、そもそも、宿泊の売り上げは、全体の10%程度で決して大きなものではありませんでした。御花で宿泊ができることはこれまであまり知られていなかったのです。

当初の客室。今も大きくは変わっておりません。

しかし、コロナになって全ての観光・婚礼・宴会が止まってしまう中、唯一稼働していたのが宿泊でした。コロナの間は、宿泊の売上が全体のほとんどを占めていました。この間、私たちも宿泊の魅力を見直し、自分たちの唯一無二の価値を見出すことができました。

チェックインからチェックアウトまで、ゆっくりと御花を楽しんでいただける宿泊は、「御花や立花家のストーリーや想いを最も伝えられる場」と感じています。こんな大きな変化があったからこそ、改装をする意味があると改めて思っています。

御花の魅力を「言葉にして、チャンスを掴みに行く」

二つ目は、自分たちの唯一無二の価値について各自が深く考えるようになり、その想いをしっかりとお客様にお伝えすることができるようになりました。

新たな取り組みとして日本橋三越の催事に出展したり、台湾やフランスの商談会に出展したりと、もっと多くの方に御花の魅力を知ってもらいたいという思いから、みんなの行動が変わりました。

3年間蒔いてきた種が芽吹き始めた

最後の三つ目は、この3年間に蒔いてきた種が芽を出し始めたことです。
2022年から始めた3ヶ月に一度の社内研修『OHANAISM』で社員全員の方向性を一つにし、成長してきました。その中で出たアイディアなどがどんどん芽を出し始めています。

MVVにも掲げている『Challenge』。文字通り、誰でもチャレンジしやすい環境に変わってきました。

※MVVとは:
企業・組織が果たすべき使命や存在意義のこと。mission(使命)vision(理念)value(行動指針)


改めて振り返ると、御花が御花らしくなるための1年だったと感じます。
それでは、2024年はどんな年になるでしょう。

もちろん、一番大きな取り組みは『松濤館の改装』
見た目だけがアップデートするのではなく、私たちソフトもそこに見合うようにアップデートしていかなくてはいけません。そんな準備をしっかりとする1年になると思います。

そして、私の胸が高鳴っている取り組みがもう一つ。それは・・・

『社員全員10日連休にチャレンジ』です!
かねてから考えていた、『観光・旅行業に携わる人ほど旅にでよう』という目標に向かって、まずは1人10日連休チャレンジします。

23名いる社員各自のお休みカレンダーはほぼ出来上がっています。どこに行って何をするか、そんなことを決める前に、まずはスケジューリングをしました。メンバーがたくさんのことをインプットし、いい顔をして休みから戻ってくることを楽しみにしています。

『可能性にキャップをしない』

今年は、日本橋三越だけでなく、全国いろんな百貨店に催事出展を積極的に行います。また、国内だけでなく、海外の商談会にも積極的に参加します。
これらは、決まったメンバーだけがいくのではなく、まだ一度も参加したことがないメンバーにも手をあげてもらいたいと思っております。

観光・旅行業の常識にとらわれない、御花だからこそできるやり方を模索していきます。

これら全てにおいて、私たちは『ワクワク』して取り組みます。

40年に一度しかない改装に奇跡的に立ち会うことができるメンバーが、きっとこの先100年後の御花を創っていってくれると信じています。

私も、誰よりも一番ワクワクしてこの1年を過ごしたいと思います。

柳川の皆様にも、御花に関わってくださっている皆様にも、御花がこれからどう進化していくか楽しみにしていただけたら嬉しいです。

御花の2024年は辰年にふさわしく、高みを目指していきます。
皆様にとっても、素晴らしい1年になりますように。

毎年朝礼後に撮影しているお正月の御花メンバーと立花家の集合写真で締めくくりたいと思います。

本年もよろしくお願いいたします。


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