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人が自分の意志で判断できるのは0.1秒!?ーー「無意識の偏見」とは?

「あなたの判断は、あなたが下したわけではない」ーーこう言われて、どう感じるでしょうか?

人は一見、自身で判断しているようで、殆どの場合、無意識的な反応によって物事を処理していると言われます。

結果、起こるのが「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」です。


「無意識の偏見」が起こるメカニズムは、脳の情報処理にある


無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)とは、自分自身が気付いていないモノの見方や捉え方のゆがみ・偏りのことを言います。たとえば、「男性は一家の大黒柱として働くのが当然」「女性は家事をして当たり前」などです。

人は、日常生活の中でさまざまな判断や決断を迫られます。しかし、その多くは、意識的に考えるよりも、無意識的に行われていることがわかっています。このことは、生物学者、ベンジャミン・リベット氏の著書『マインド・タイム』をはじめとした研究で明らかになっています。

数多くの研究結果が示しているのは、脳が信号を受け取って反応するまでに0.5秒の遅れがあり、最後の0.1秒にしか自由意志が介在しないことです。つまり、この0.1秒の間に判断を行えなければ、それ以外は無意識的な反応によって物事が処理されてしまうということなのです。

こうした無意識的に行われる判断や決断は、決して悪いことではありません。むしろ、無意識的に行われる情報処理は、人間が原始の時代から生き残るために身に付けた術なのです。


なぜ、「無意識の偏見」が注目されたのか?


しかし、この無意識的な判断や決断の積み重ねが、知らないうちに偏見と呼ばれる誤った判断を引き起こす可能性もあります。

なぜ、こうした「無意識の偏見」がビジネスの文脈で注目されるようになったのか、見てみましょう。

さまざまな理由の中でも、大きなきっかけになったのはダイバーシティ&インクルージョンの推進です。米国シリコンバレーのIT企業がダイバーシティ&インクルージョンを進める中で、女性の管理職割合が40%を超えてもシニアリーダー層が頭打ちになるなどの課題が浮き彫りになりました。

この状況に対して調査を進めたところ、無意識の偏見が人々の価値観や人間関係に影響を及ぼし、本人の職業選択や能力評価にネガティブな影響を与えていることが明らかになりました。これに対応するため、米国のIT企業が研修を導入するなどの取り組みが行われ、注目を浴びるようになったのです。

無意識の偏見は誰にでも存在するものであり、完全になくすことはできません。しかし、無意識の偏見に気づき、その影響を減らすことはできます。まずは自身の偏見に気付くことから始めてみるのが良いでしょう。

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