オガワヒカリ

コトバをつむぐひと。 https://ogawahikari.crayonsite.c…

オガワヒカリ

コトバをつむぐひと。 https://ogawahikari.crayonsite.com/ ・財団法人モラロジー研究所「心のきずなエッセイ」入選 ・山口きらら博「サイバーシンガーズ」J-POP部門賞 ・月刊monogatary.com vol.3 収録

マガジン

  • 恋愛小説、書けません。

    note創作大賞2024/恋愛小説部門/恋愛小説、書けません。置き場

  • バンビィガール

    note創作大賞2024/お仕事小説部門/バンビィガール置き場

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    オガワの日記。

  • オガワヒカリのひとりごと。

    エッセイだったりナイショ話だったり。小説の裏話もあるかも。

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    オガワの小説をまとめています。

最近の記事

恋愛小説、書けません。/Lesson6:「悩める男の夜」

 やってしまった、と肩を落としながら耀介は文華社を出た。自ら恋愛未経験をカミングアウトしてしまった事に対しての恥ずかしさも然ることながら、その後の木下の爆笑ぶりにもだ。 「初恋、まだ……って?」  妙な空気が流れた後、木下がうわ言のように呟く。そしてその後に 「冗談きついよ、菅原くん!!」と腹を抱えて笑い出したのだ。木下の声は良く通る為、女性社員が「編集長?」と応接室にまで現れる事態となってしまった。その辺りは上手い具合に木下が女性社員を追い払う。耀介は耳が熱くなっていくの

    • 小説:バンビィガール<5-4>夏のイベントはマシマシで #note創作大賞2024

       8月最終週。天気は晴れ。この土日の降水確率は0パーセント。  絶好のバサラ祭り日和だ。  振り返ってみると、衣装を貰ってから皆の気合いが一段と増した気がする。練習に出られない人は自主練を頑張っていると聞いた。私たちセンター三人衆もやれるだけのことはやってきた。その成果を発揮する日。  昔は審査があってバサラ大賞なるものが存在していたらしい。賞レースの恐ろしさは自分が身をもって経験しているだけに、今年は審査がないと聞き心からほっとした。  我々月刊バンビィチームは「バンビ

      • 恋愛小説、書けません。/Lesson5:「初恋、まだです」

         気が付けば、和室には西日が射し込んでいた。もうそんな時間なのか、と耀介は手早く座卓の上に広げていた「作業道具一式」、絢乃からの「ファイル」をきちんと鞄に仕舞う。そして茅乃が洗濯しアイロンもかけてくれていたワイシャツに袖を通す。 「おばさん、俺そろそろ帰ります。長居してすみませんでした」 「いいのよ。またいつでもいらっしゃい」  丁寧に茅乃にお礼を述べて、耀介はそのまま隣にある実家へ足を運ぶ。  父親は和を好んでいたので、平屋の日本邸宅だ。相変わらず庭師が小まめに手入れを施

        • 恋愛小説、書けません。/Lesson4:「恋愛のノウハウは女性誌にある?」

           耀介が目覚めた時、枕元にあったスマートフォンには「AM7:00」の表示。見渡せば、そこは篠塚家の和室だった。耀介は慌てて飛び起きる。寝癖も気にせず襖を開けて、リビングへ走る。 「おばさん、すみません! 俺っ……」 「あら、よーすけちゃんおはよう」 「おはよう、酒に弱い男!」  既に朝食の支度を済ませている茅乃と、出勤前の「いかにもOLです」と言ったオフホワイトのニットにグレーの膝丈プリーツスカートを着て、ナチュラルメイクを施した絢乃がダイニングテーブルの椅子に座っていた。

        恋愛小説、書けません。/Lesson6:「悩める男の夜」

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          2本

        記事

          小説:バンビィガール<5-3>夏のイベントはマシマシで #note創作大賞2024

           日曜日。 「よし」  私は飾り帯紐をしっかりと締める。  濃紺に朝顔がプリントされている浴衣に、紫の帯。飾り帯紐はオレンジで。  髪の毛はおだんごスタイル。カラン、コロンと下駄が鳴る。 「風流やねえ」と知らないおばさんに言われて、思わず照れ笑い。 今日は全国金魚すくい選手権、奈良県予選大会だ。 事前にインターネットでポイの選び方や金魚のすくい方や攻略法を調べて勉強した。とはいえ金魚素人なので、予選通過できるなんて思ってはいない。 電車に乗って、近鉄郡山駅まで向かう。 浴衣を

          小説:バンビィガール<5-3>夏のイベントはマシマシで #note創作大賞2024

          【おしらせ】 本日の更新は飼い犬が体調不良によりおやすみします。 読んでいただいている方には申し訳ございませんm(_ _)m

          【おしらせ】 本日の更新は飼い犬が体調不良によりおやすみします。 読んでいただいている方には申し訳ございませんm(_ _)m

          恋愛小説、書けません。/Lesson3:「文学青年の過去」

           耀介たちの母親は耀介が生まれた直後に他界している。  そんな菅原家兄弟の世話をしてくれたのは、絢乃の母親、茅乃だ。男手一つで育てた父親も尊敬しているが、茅乃にも尊敬の念を抱いている。しかし本当の母親ではない。父親がどういう風に母と愛し合っていたのか、耀介は全く知らない。そのせいか余計に「男女の関係」には人一倍疎い部分もある。  耀介の上には兄が一人いる。この兄は耀介とは違い「研究者」として父親の製薬会社の研究所で日々研究中だ。こちらも耀介以上に女っ気がない。研究所で女性がい

          恋愛小説、書けません。/Lesson3:「文学青年の過去」

          恋愛小説、書けません。/Lesson2:「レセプション後の酔いは突如醒める」

           時は数時間前に遡る。   都内でも高級と謳われるホテルの最上階のスイートルームで耀介は一人眠っていた。外から射し込む光に照らされて、ようやく彼は目を覚ます。 「水、飲みてえ……」  独り言を呟くと耀介は気だるそうに起き上がり、はだけたガウンを整えて冷蔵庫を開ける。ミネラルウォーターを取り出して、キャップは――ああ、そうだ最近このボトルキャップのプラスチックはワクチン寄付になるんだっけとキャップだけ残し、そのまま一気飲みする。 「五臓六腑に染み渡るな……流石にハメを外し

          恋愛小説、書けません。/Lesson2:「レセプション後の酔いは突如醒める」

          小説:バンビィガール<5-2>夏のイベントはマシマシで #note創作大賞2024

           朝から何となく、身体に違和感を覚えていた。  食欲もない。何故だろう、と理由を考えても思い当たらない。  今日はバンビィの編集部に呼び出しがかかっている。何をするかは聞いていないけれど、きっと楽しいことなんじゃないだろうか、と食欲がないことはすぐに忘れてしまった。  電車に乗り、大和西大寺駅に降り立つ。  アスファルトからの陽炎が容赦なく揺らめき、照り返しもきつい。 「早く編集部に行こう」  独り言を呟いて、目指すは月刊バンビィ編集部。 「こんにちは」  今日も美しい生

          小説:バンビィガール<5-2>夏のイベントはマシマシで #note創作大賞2024

          【おしらせ】 現在2作品を絶賛連載中ですが、ここに来てなんと! パソコン故障疑惑\_へ(´ω` ) しかも古いパソコンだから新品買った方がいいかもよとサポートセンターに言われてしまい…。 連載投稿が止まったら、オガワ今パソコン買ってるんだろうな、と思っていただければ幸いです泣

          【おしらせ】 現在2作品を絶賛連載中ですが、ここに来てなんと! パソコン故障疑惑\_へ(´ω` ) しかも古いパソコンだから新品買った方がいいかもよとサポートセンターに言われてしまい…。 連載投稿が止まったら、オガワ今パソコン買ってるんだろうな、と思っていただければ幸いです泣

          恋愛小説、書けません。/Lesson1:「恋愛って何だ!?」

          「絢乃ー!!」  男は実家、ではなく隣の家に駆け込むなり女性の名を叫ぶ。 「な、何!? 耀介!?」  絢乃、と呼ばれた女性が、半ば怒りながら玄関先の男――耀介に近付く。相当走ったのだろうか、耀介のセットされていたであろう髪の毛は見るも無惨な乱れぶりだった。 「悪い、日曜日しかお前を捕まえられないと思って慌てて……」  耀介が玄関先で言うか言わないかを迷い、キッと絢乃を見つめて覚悟を決める。 「頼みがある!」 「いきなり過ぎて分からないわよ! あ、そう言えば青木賞受賞おめで」

          恋愛小説、書けません。/Lesson1:「恋愛って何だ!?」

          小説:バンビィガール<5-1>夏のイベントはマシマシで #note創作大賞2024

           奈良うまうま市から4日経った。  矢田さんからの無茶振りにどうにか応えて、3日でイラスト原稿を仕上げ、家でスキャンしてデータを編集部に送るとすぐ矢田さんから電話がかかってきて 「ありがとー! これええわー! 最高」  というお褒めのお言葉を貰った翌日。  三橋さんから「バサラ祭りの練習が夕方からあるから、来てみないか」という連絡が入り、大和西大寺駅から平城宮跡へ向かった。駅から15分ほど東に向かって歩いていくと広がる草原。  ここに来ると学生時代の私と出逢えそうな気がしてな

          小説:バンビィガール<5-1>夏のイベントはマシマシで #note創作大賞2024

          小説:バンビィガール<4-3>生放送とイベントとアクシデントと #note創作大賞2024

           さて、どこにいこう。  朝ごはんをたべていないけれど、お昼ごはんの時間も近い。  ちょっとガッツリしたものが食べたいなあ、とパンフレットを見ながらウロウロしてみる。すると目の前に「角煮亭」の文字。  え、角煮。おいしそう……。メニューを見ると、豚角煮丼が一番人気らしい。  よし、まずここで第一弾と決める。 「すみませーん、豚角煮丼ひとつ」 「はーい、あ! バンビィガール!」  私の姿を見た店主らしき人のテンションが上がっている気がする。 「えへへ、お邪魔します」 「記念撮

          小説:バンビィガール<4-3>生放送とイベントとアクシデントと #note創作大賞2024

          小説:バンビィガール<4-2>生放送とイベントとアクシデントと #note創作大賞2024

          【20XX/06/02  おはようございます、紺野あおいです!  今日は「奈良うまうま市」です!  イベントステージにもお邪魔しますが、私を見つけるといいことあるかも?  現地でお待ちしております♪  #紺野あおい  #バンビィガール  #月刊バンビィ  #奈良うまうま市  #奈良】    本日は晴天なり。  今日のコーディネイトはつばが短めの麦わら帽子。  インナーはパープルのTシャツ、カーキのショートパンツにブラックの透かし編みロングニットジレを合わせて。  足元は流行の

          小説:バンビィガール<4-2>生放送とイベントとアクシデントと #note創作大賞2024

          小説:バンビィガール<4-1>生放送とイベントとアクシデントと #note創作大賞2024

          【20XX/05/27  こんにちは、紺野あおいです!  今日は告知です!  明日5月28日はNRチャンネルの「NRワンダフル」略してNワンの生放送にゲストとして出演いたします!(観れない地域の皆様、本当に申し訳ございません……) そしてその5日後の6月2日には月刊バンビィ主催「奈良・うまうま市」のイベントステージに登場しちゃいます!(うまうま市は雨天順延です、詳細は画像参照)  皆様とお会いできるのを楽しみにしております!!  #紺野あおい  #バンビィガール  #NRチャ

          小説:バンビィガール<4-1>生放送とイベントとアクシデントと #note創作大賞2024

          小説:バンビィガール<3-6>どうも、バンビィガールです #note創作大賞2024

           撮影前に三橋さんからメールで受信した、このあとの決まっている予定をノートパソコンで確認する。 5月18日 7月号表紙撮影 5月25日 月刊バンビィ6月号発売日 5月28日 Nワン生出演 6月2日 バンビィ主催「奈良・うまうま市」ステージ出演  その他突発的にイベントなどがあるかもしれないとのこと。派遣バイトは最低限にして、主軸はバンビィ関連に置くことにする。  気を付けたいのは、メディアに出るということは日常生活も「モデル」として意識しないといけないことだ。私がうっかり

          小説:バンビィガール<3-6>どうも、バンビィガールです #note創作大賞2024