恋愛小説、書けません。/Lesson6:「悩める男の夜」
やってしまった、と肩を落としながら耀介は文華社を出た。自ら恋愛未経験をカミングアウトしてしまった事に対しての恥ずかしさも然ることながら、その後の木下の爆笑ぶりにもだ。
「初恋、まだ……って?」
妙な空気が流れた後、木下がうわ言のように呟く。そしてその後に
「冗談きついよ、菅原くん!!」と腹を抱えて笑い出したのだ。木下の声は良く通る為、女性社員が「編集長?」と応接室にまで現れる事態となってしまった。その辺りは上手い具合に木下が女性社員を追い払う。耀介は耳が熱くなっていくの