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書籍【東京エリア戦略 ビジネスの勝敗は商圏で決まる】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B08544Y3JP

◎タイトル:東京エリア戦略 ビジネスの勝敗は商圏で決まる
◎著者:榎本篤史
◎出版社:KADOKAWA


東京は実に面白い。山手線の各駅でもそれぞれ特徴があり、文化も異なる。だからこそ出店には戦略が必要だ。
考えてみれば当然のことなのに、出店場所をきちんと考えずにいる場合が多過ぎる。
「良い物件があったから」という理由だけで場所を決めてしまうのは言語道断。
自分がやりたい商売があることは良いことだが、果たしてそれがその土地に合うものなのか。
自分だけで考えるのも限界があるだろうから、著者のようなコンサルタントが必要なのだろう。
私自身は社会人になって以来ずっとサラリーマンだ。
一度は自分で店舗運営してみたいという願望はあるが、当然そんな簡単なことでないことくらいは想像がつく。
勿論実際に行動に起こすまでは至っていないのであるが、頭の中で思考することくらいは自由だろう。
本書を読みながらも「なるほど」と感じつつ、「自分だったらどうするか?」などと考えてしまった。
私が暮らす最寄り駅でも周辺には店舗が多数あるのだが、長続きしているお店は本当に少ない。
歩く度にお店が潰れ、新しい店舗に入れ替わっているのを見ると、ここでの商売は相当に難しいのだろうと感じてしまう。
特にコロナ禍もあったため、リアルの店舗経営は相当に難易度が上がっていると言えるだろう。
本書内でも触れられているが、逆に「UberEats」が飲食業界にもたらした変化は革命に値する。
飲食店を開きたい場合に、出店場所を気にせずにデリバリー専門店として割り切ることも戦略の一つだ。
実際にゴーストキッチンと言われる店内飲食無しのデリバリー専門店が、コロナ禍では活躍した。
何の商売をしたいか。その収益を効率的に稼げるのはどのエリアなのか。
逆に言うと、このエリアに適した商売とは何なのか。
そんな思考を巡らしながら、都内各地を歩いてみるのもいい。
「ここにこんな店が?」という発見だけでも、実際には相当に面白い。
それが老舗だったり、新しい形態のお店だったり。
本書内で「コインランドリー」の事例が紹介されていたが、これも興味深い。
実際に私の暮らす近所でも、住宅街のど真ん中に無人のコインランドリーが突然開店した。
当然住宅地であるから、自宅に洗濯機は持っている訳だし、近隣には至るところにクリーニング店もある。
開店したコインランドリーは人で賑わっている様子もないが、覗くたび店内に1名程度の人影が見えたりする。
「どんな人が使用するのだろう」と想像するが、そのコインランドリーは開店して数年経過しても畳む気配すらないから、経営が順調ということなのだろう。
本書内で「コインランドリーは、地元クリーニング店とは競合せず、新たな客層を開発している」という記述があった。
店舗は綺麗だし、洗濯乾燥機も最新式のものっぽい。
やはり、漫然と考えるのではなく、きちんと立地もビジネスも見極めて戦略を練れということか。
宅配ビザはUberEatsと対抗するために、逆に店舗来店者を増やす施策がポイントになっているらしい。
コーヒーチェーン店の「珈琲館」は、「スターバックス」とはターゲットが全く異なるために、敢えてかち合わないエリアに出店しているらしい。
「結果にコミットする」のRIZAPが、運動初心者に向けた無人ジムの「chocoZAP」を展開し話題になっているという。
やはり商売というのは本当に面白い。
まるで生き物のように進化し、変態して生き残りを図ろうとしていく。
もちろんその戦いに敗れ潰れる店舗も多いと思うが、成功しているビジネスには本当によく練られた戦略がある。
それらを分析することで、自社のビジネスに活かせないだろうかと思う。
そういう癖を日常的につけることが大事なのだろう。
本書内での記載ではないが、1,000円カットで革命を起こした「QBハウス」の誕生物語などは、本当に参考にできる事例だと思う。
イタリアンレストランの「サイゼリヤ」についても、その徹底したビジネスモデルを知った時は、すごいと思った。
今後、日本は人口減少が進んでいく。さらにリアル店舗だけでなく、メタバースなどのバーチャル世界での経済活動も活性化されていく。
間違いないのは、アナログのリアル店舗のみの展開は相当に厳しくなっていくということだ。
SNSで宣伝するからデジタルということでは決してない。
顧客体験の価値をどう作り上げていけばよいのか。
そのためのシステム化DX化は進めるべきであるし、あわよくばリアル世界とバーチャル世界のシームレスな行き来によって、制限されたリアル店舗の足りない部分も補えるかもしれない。
小売りというものが今後どう変化していくのかは楽しみであるが、リアルの価値を提供している東京の町の変化も楽しみである。
もしチャンスがあれば、自分でも小さな商売を始めてみたいと思う。
自分に何ができるか。住むエリアで何ができそうか。
思考を巡らせるだけでも楽しめるものだ。
(2024/4/21日)


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