メコン川で「川が足りんな」と言いたい
河原に立つ。
水切りを極めた阿呆は、滔々と流れる川を眼前に、思わずこう独りごちたくなるものだ――川が足りんな。
水キラー(水切りをする者)は地元の川をホームグラウンドとし、水切り技術の向上に邁進しながら、様々な障壁や葛藤に腐心するものだ。そんな鍛錬のなかでも、最も気が高まる瞬間といえば、言わずもがな、自ら放った石が対岸に達し、カンッと小気味良い音を響かせるアノ瞬間である。
「言わずもがな」と、なんとも断定的な物言いをしたが、対岸到達者(専門用語で対岸の石=意思の声を聞くとい