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私の人生を変えたマンガ

友人から「人生を変えたマンガは何?」と聞かれたのだけど即答できず、「週明けにレポートを提出するように」と宿題を出されたので真面目にレポートを書いてみました。せっかくなのでこちらでもシェアします、読んであげてください。


人生を変えたマンガ、である。あるマンガが人生を変えるというのは、そのマンガに出会う前と後でその人生に大きな変化をもたらすことを意味する。マンガの影響を軽視するわけではけっしてないが、しかし一方で、人生はスピードを徐々にあげて走る車のようなもので、ある作品に出会ったからといって簡単に急カーブを曲がれるようにはできていない。

とはいえ、人はその人生の中で大なり小なり紆余曲折を経て今に至るわけであり、その中で大きなカーブをもたらしたもの、と考えればいくつか出てこよう。

私にとって人生の中で最初に大きな影響をもたらしたマンガといえば、学研まんがのひみつシリーズであることは間違いない。これが表題で問われる「マンガ」に属するものであるかは意見が分かれるであろうが、タイトルに「まんが」とあるので間違いなくマンガである。

本シリーズが私に与えた影響は本当に大きい。このマンガで得られた知見、教養はいまだに残って役に立っているし、私が理系を目指す大きなきっかけもこのマンガにある。子どもの知的好奇心をこれでもかと刺激し、学ぶ喜びを与えてくれたこのシリーズとそれを買い与えてくれた両親には心から感謝する。特に「びっくり世界一自然のひみつ」はボロボロになるまで読んだ。世界はなんと広く、なんとスペクタクルにあふれているのかと感動したものだ。アメリカ駐在時代にセコイア国立公園に行ってこのマンガに出てくるセコイアの木を生で見たときの感動は忘れられない。(ヘッダーの写真はそのときのもの)

「学研まんが」の素晴らしさを説き始めれば紙幅がいくらあっても足りないのだが、もっとマンガらしいマンガ、一般に人が「マンガ」と言われて連想するであろう、マンガ喫茶にも並んでいるようなマンガで人生を変えたものも答えておいたほうが良いだろう。

人生で読んだ数多あるマンガの中でどれか一つを選べというのは本当に難しく苦しい作業であったが、強いてあげれば「ギャラリーフェイク」であろう。「ギャラリーフェイク」は「表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と様々な美術品を通じて、時に世界を駆け巡り、「美とは何か?」を追い求める(Wikipediaより抜粋)」作品で、現存するアート作品に関する蘊蓄的描写も多く、マンガ的な面白さとアートに対する知的好奇心の両方を満たせるマンガである。

この本を読むまでの私は、美術館に連れて行かれてもただ有名な絵を見て「ふーん、これがねえ。」といったようなもので、正直に言えばまったく楽しいとは思わなかった。それがこのマンガにふれ、作品には作者の意図があり、バックグラウンドがあり、なぜその作品が素晴らしいとされるのか、という「アート作品にふれる楽しさ」を学んだ。そして美術館に行くことに喜びを感じられるようになり、頻繁にとは言わないまでも機会あれば積極的に訪れるようになった。まさしく「人生を変えた作品」と言えよう。

さらに言えば私の美術館巡りが、それにずっと付き合わされてきた娘が二年連続で全日本学生美術展に入賞する才を発揮したことにも何かしら良い影響があったのではないかと思いたい。もしそうなのであれば、私の人生だけでなく、間接的に「娘の人生も変えた作品」と言うこともできるのかもしれない。

私の人生を変えたマンガ、それは「ギャラリーフェイク」である。
あなたの人生を変えたマンガはなんですか?


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