キンメフクロウであるのかもしれない

ほるぷ出版の「日本の詩」シリーズの1冊『大手拓次』(1975)は、『藍色の蟇』(1936)の詩を、すべて読むことができる(1~291ページ)。この「1」ページは、この本の最初のページ、ではなくて、このページの前に「目次」(i~xivページ)がある。『藍色の蟇』の次の292ページは白い紙で、次の293ページから374ページが『蛇の花嫁』(1940)の、すべてではないけれど、詩。その1~374ページの、途中、いくつかの絵(田村文雄の版画)は、たしかに大手拓次の詩を読んで描いたものであると思うことができるが、私は、別の絵を描きたいと思う(詩と絵を組み合わせることで、読者が〈これは違うだろう〉と思ってしまうことがある。それでも、このような組み合わせは、おもしろいものでありうるから、時々、あるべきだ)。大手拓次を撮影した写真があり、そして375~415ページが、野口武久が書いている文章「人と作品」。402ページに「拓次の動物園にはなんと多くの種類の生きものが棲息〔ルビ せいそく〕していたのだろう。」「これらの動物達は「夜会」という詩で舞踏会をくりひろげている。」そして野口武久は、大手拓次の詩「夜会」を途中まで引用している(402~403ページ)。そこにある1行「半月の影をさびしくあびて、ひとりつぶやいてゐる金の眼のふくろふ、」鳥の図鑑で時々、写真を見ることができる、キンメフクロウ(金目梟)であるのかもしれない。私は、鳥の絵を描きたいと思っていた。この「日本の詩」の『大手拓次』で、詩「夜会」を最初から最後まで、72~74ページで読むことができる。

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