「その笛のねのやうな はかない思ひでは消えることなく」(295ページ)

高校の図書室に、新潮社の「日本詩人全集」が、全部(全34巻なのだろう)だったのかどうか、本棚に並んでいた(と思っている)。そのときは、あまり読まなくて、大学に入ってから、いくつかの本を、読んだ。高校のころ、「日本詩人全集」の1冊で、大手拓次の顔の写真を、見た(と思っている)。それは本の最初の、白黒写真の、口絵だった。高校のときに見たのではなかったのであれば、大学のときに、見たのだろう。はっきりしない写真であったのだが、しかし、はっきりしないので大手拓次である、と思うことが、できた。長い時間、その写真を見ていたのではなくて、少しだけ、見たことで、はっきりしないので大手拓次だった。そして、かなり後になって、古本で「日本詩人全集」の第19巻『堀口大學 西條八十 大手拓次』(1968)、ここにある。大手拓次の、はっきりしない写真が、口絵にある(そのような写真があったという記憶は、正しかった)。付録の冊子には、いくつかの、他の、大手拓次の写真があって、少し(だけであるが)、はっきりしていた。暗くない写真であると思った。この本は、ここに、なくても、あっても、あまり、はっきりしていない

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