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幸運の鍵 第1108話

《令和6年4月29日(月)︰昭和の日》

今日4月29日は「昭和の日」ですが、私のような昭和生まれの人間にとっては「天皇誕生日」の方が馴染のある日です。今日は、昭和天皇の話された言葉をご紹介したいと思います。

昭和40年か41年の9月のこと、昭和天皇は那須御用邸で静養されていました。留守の吹上御所の庭の草が茂りすぎたので、那須からのお帰りまでに手を入れたいと、宮内庁庭園課が侍従職に申し入れたそうです。侍従になったばかりの田中直侍従は、建物から10㍍くらいの雑草は全部刈り、庭園としてすっきりさせようと考え、実行してもらいました。9月中旬に那須から帰った天皇は田中を呼んだそうです。庭をきれいにしたお褒めの言葉と思いきや、予想外のお叱りだったといいます。「どうして庭を刈ったのかね」と尋ねられる昭和天皇に対し、田中侍従は「雑草が生い茂ってまいりましたので、一部お刈りいたしました」と答えました。その時に昭和天皇は次のように言われて戒められたと言います。

「雑草という草はない」

そして、「どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方でこれを雑草として決めつけてしまうのはいけない。注意するように」と注意されたそうです。このエピソードは、入江相政侍従が、侍従たちのエッセーをまとめた「宮中侍従物語」(昭和55年)に出てきます。毎日新聞社特別顧問だった岩見隆夫氏の「陛下の御質問」(平成4年)にも、三木武夫内閣の安倍晋太郎農林相に対して、昭和天皇が「雑草という草はない」と述べた話が紹介されています。政界でも有名なエピソードでした。

私達も他人を見る際に、どうしても自分の価値観で判断しがちです。しかし、人それぞれが様々な環境の中で育ち、様々な思考を持って生活していることも理解しなければいけませんね。そして、その人の持つ良さを見つけて評価できる、心の広い人間になりたいものです。

今日も読んでくれてありがとう!今日も皆さんに、たくさんの幸運が訪れますように!


数多の若き英霊が海の藻屑となりました。感謝と鎮魂の誠を捧げます!合掌!