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Google独占禁止法の裁判パート⑦:繰り返される議論、潰されないように頑張るGoogle

Googleの独占禁止法の裁判が続く中、Off Topicでは出来るだけ頻繁に裁判の状況についてアップデートします。今回の記事は裁判の26日目〜29日目までの話となります。

第7周目に入ったためなのか、今週の序盤は正直そこまで新しい情報が出てこなかった。主にアメリカの複数の州がGoogleに対してアメリカ政府と同じような指摘を行った。今日で州側の証言者の発言が終わり、Googleの防衛が再開された。来週は遂にGoogle CEOのSundar Pichaiも発言する。


州側の証言は今週で終了

州側のエキスパート証言者としてデューク大学のWilfred Almadoss教授がデジタルマーケティング領域について話した。彼はジェネラルな検索広告は購入の可能性を高める役割を果たすため、ユニークなポジションにあることを話したのと、Googleが特定領域の広告主の検索エンジン結果ページのランキングを下げたため、その領域の広告主は仕方がなくより検索広告に投資しなければいけなくなったと発言。これは先週や先々週の話と似ていて、Vrboが2015年から2019年にかけてGoogle広告予算を$21Mから$290Mへと増やしたがGoogle経由のトラフィックは変わらなかったと証言している。

さらに今週は何回かGoogleが何故自社の広告システム「SA360」のリアルタイムオークション機能など一部の機能を他社広告プラットフォームに対応するのが遅れたのかと質問された。Google側としてはMicrosoft Adsに対応する需要が少なかったのと、それを開発するためにかなりのリソースと時間がかかると発言したが、それに対してSA360の10分の1の規模である競合のSkaiが似たような機能をMicrosoft Adsのために開発しているとアメリカ政府側がカウンターした。

州側の最後の証言者は経済学者のJonathan Bakerだったが、彼もそこまで新しい情報を出さなかった。Googleはジェネラルな検索サービス市場、ジェネラルなテキスト広告市場、ジェネラルな検索広告市場を独占していて、デフォルト検索エンジンになる独占契約とSA360の対応によってそれぞれの市場で他社が競争しにくくしたと主張。証言中に市場のシェアの具体的な数字を公開するべきではないとGoogle側が主張したが、裁判長は公開するべきと発言してSA360のシェアの変動が公開された。2016年では40%のシェアを抱えていたのが2020年では76%まで増加、他の競合は全てシェアが落ちていたとのこと。証言の終わりの方ではGoogleが独占契約などを止めてもフェアな競争の場は当分の期間は作られないと話した。

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