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【クロップの元でプレーし、岡崎選手からヒントを得た!?】 ドイツでクラブ運営をしている背景は想像以上に壮絶だった!

━━━━━━ 140字じゃ語れないことがある

ドイツにてクラブ運営をされている山下喬(やましたたかし)さんをお招きしています!

第2章となる今回、山下さんに「そもそもなぜドイツにいるのか!?」というシンプルな質問をぶつけてみました!

サッカー界で生きていきたいと志すすべての人にとって、気づきある記事となりました。

ぜひ、お楽しみください!

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◎インタビュー:シー(OFF THE PITCH Staff)

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【大学サッカーを選ばずにドイツにいったら、クロップのもとでプレーしていた…!?】


◎シー:
前回は、ドイツサッカー協会が進めるライセンス制度の改革についてお話をしていただきました。

▼第1章の記事↓↓

続いては、山下さんご自身のキャリアについてお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?
・・・というか、そもそもなんで山下さんドイツにいるんですか!?笑


◉山下さん:
「なんでドイツに」、、ですか!?


◎シー:
なんか、シンプルに気になっちゃいました。笑
ドイツに行くまでのこと、さらには今の活動に至るまで、ぜひ聞かせてください!


◉山下さん:
まずは、ドイツに来るところからいきますね!

高校時代は滝川第二高校のサッカー部に所属していて、3年の時には選手権にも出ました。
ただ、僕はメンバーには入っていたんですけど基本サブで。
プロを目指していたんですけど、まあ高校サッカーでサブの選手にプロからのオファーが来るはずもなくて…

その当時は基本みんなサッカーで大学に行っていたんですけど、先輩に大学サッカーについていろいろ聞く中で、当時の僕は大学サッカーに全く魅力を感じなかったんですよね。


◎シー:
そうだったんですね。


◉山下さん:
自分がやりたいと思っている「サッカーに打ち込める環境」は日本にはないかなと考えていました。

そんな時、高校1年の時にドイツ遠征に行っていたことを思い出して、ドイツという国について監督に相談してみたところ、現地にいる方に繋いでいただいて。
結果的に、高校卒業のタイミングで渡独が決まりました。

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◎シー:
なるほど、そんな背景があったんですね!


◉山下さん:
ドイツに渡ってからは、まずはドイツ5部のチームで2年半プレーし、そこからマインツのU23(セカンドチーム)に入れさせてもらったんですよね。
そこでセカンドチームの監督からすごく評価をされていて、トップのトレーニングや練習試合に出るようになったんですよ。

…実は、その当時トップチームは、あのクロップが率いていました!


◎シー:
えええぇぇすごすぎる!!そして羨ましい…

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◉山下さん:
今思えば、本当にすごい経験でした笑

ただ、当時の僕はまだ20歳くらいで、今思い返せば完全に勘違いをしていたんですよね。
「あ、もう目標達成できたなこれ。」みたいな。

そこからどんどん調子が悪くなっていってセカンドでも試合に出れなくなっていき、戦力外通告を受けてしまい、結局23歳くらいでプロを目指すことをやめてしまいました。


◎シー:
早くの引退だったんですね。


◉山下さん:
そこからは普通の会社に入りました。
1年目なんかは、全く知らない世界のことで新鮮でしたし、覚えなくちゃいけないこと、やらなくちゃいけないことに追われてすぐに時が過ぎ去りました。

ただ、入社して一年半くらい経ったある日、いつものように出社してコーヒー淹れて、PCを立ち上げた瞬間にふと思ったんですよね、

「あ、俺このまま40年、50年同じ働き方するの想像出来ないな…」

って・・・笑


◎シー:
(なんだか映画みたいだ!笑)


◉山下さん:
そこから、もう一度「自分がやりたいことってなんだろうか?」って本気で考えました。

思えば僕は、高校卒業してすぐの無名だったものの、2年ちょっとでマインツのセカンドに入ることができて、トップでも試合に出ることができました。
このことから、「もっとちゃんとしたサポートがあれば、より多くの日本人選手がプロになれるんじゃないか?」って思ったんですよね。


◎シー:
なるほど。


◉山下さん:
それで、当時お世話になっていた代理人の人に連絡をして、その人と同じ会社で働かせてもらうようになりました。
留学事業から始めたんですけど、日本で選手を募集して、必要なことを教えて、会社がもってるコネクションを使ってチームと契約できるように手助けをするということをしていましたね。



【岡崎選手との会話から生まれた、新しい留学のカタチとは??】


◉山下さん:
留学事業をする中で、実際に4部のクラブと契約できるような選手は出てきたんですけど、、現実は甘くはなくて。

2部や3部に入れるような選手が留学生からは生まれてこなくて、そもそもの「留学」という形にも限界を感じてきたんですよね。

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◎シー:
どのような点で限界を感じられたんでしょうか??


◉山下さん:
時代的にも段々と留学というものが当たり前になってきてから、正直選手たちが「お客さん」感覚でドイツに来るようになってきていた印象がありました。
留学に関して、とても密に徹底してサポートしていたんですが、僕としては「そこまでサポートしちゃうの!?」という状況になっていたんですよね…

これはなんか良くないなぁと思っていた時に、同じ滝川第二高校でドイツでの関係もあった岡崎慎司と話をする中で課題感も一致し、そこから「いっそ、自分たちでチームをつくるのはどうだろうか!?」となったんです。


◎シー:
岡崎選手と・・・!?
そうだったんですね。


◉山下さん:
「自分が思う指導スタイルでチームを指導して、留学生をどこのカテゴリまで引き上げられるか」みたいなコンセプトを描いていて、それにワクワクして。

そこから、留学事業とは全く別で「FC バサラ マインツ」というサッカーチームを立ち上げ、そのチームで選手の成長やプロへの道のりをサポートするっていうことを、今はやっています。


◎シー:
すごい取り組みですね。
この取り組みでは、通常の留学と比較して選手の成長具合は違いがあるんですか?

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◉山下さん:
僕の中で、「留学サポート」というものの解釈が少し一般的な留学会社とは違くて。
ウチのチームに来る選手は、ドイツにきてからとりあえず全てを自分でやらせるんですよ。


◎シー:
なるほど…!


◉山下さん:
たとえば、一般的な留学会社だと、
「空港まで迎えに行って→写真撮って→無事つきました(^^)」
・・・みたいな感じで。(笑)


◎シー:
笑笑


◉山下さん:
でも、ウチのチームだとフランクフルト空港に着いてからマインツまで自力で来てもらうんですね。
自分で電車のチケットを調べて、買って、来てもらうんです。

そこでは、僕は間違ってしまってもいいと思うんですよ。
「全然違う場所に行っちゃいました…!」ってことでも全然問題なくて。

自分で経験したミスだからこそ経験として成長の糧になって本人の中に根付くと思うんです。


◎シー:
なるほど。
ヘタに過保護にならず、選手の自立を促すという意味でも、めちゃくちゃいい取り組みなのかなと思いました。


◉山下さん:
僕は、留学会社に手取り足取りやってもらってる選手は、自立する可能性を奪われてしまうと思っています。
なので、僕らがやっている「自分で学ぶ」というスタイルによって海外で暮らしていける選手、クラブが用意したドイツ語のプログラムを自分で進めて覚えていけるような選手がピッチ上でも活躍していると思います。


◎シー:
そうなんですね!
ちなみに、FCバサラマインツでの日本人の割合はどのくらいなんですか?

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◉山下さん:
僕らの一番の狙いは「日本人の選手がこっちにきてプロになる」ということです。
そのため、日本人ばかりだと意味がありません。

理想はチームの3分の2がドイツ人で、残り3分の1が日本人と設定しています。
その中で、ドイツ語を学ばなければいけなかったり、ドイツのサッカーを学ばなければいけない、そんな状況を作っています。

日本人の方が少ない、「数的不利」な状況の中でサッカーだけでなく全ての事柄について学んでもらっています。


◎シー:
日本人選手が、本質的に成長できる環境が整っているんですね!

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<ゲスト紹介>

◉ 山下 喬(やましたたかし) 氏
FSVマインツ05の育成年代を指導したのち、2014年にドイツでサッカークラブ「FCバサラマインツ」を設立。11部から5シーズン連続リーグ昇格に導く。
|FCバサラマインツ:https://basara-mainz.com
|Twitter:https://twitter.com/taka_jp_de?s=20

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<運営紹介>

◎ 一般社団法人FiC
「WORK WITH PRIDE 〜誇りと共に働く〜」をコンセプトに、日本サッカー界で起きている様々な問題を解決するべく、サッカー指導者が総合的に学べるコミュニティ事業を展開。10代〜40代まで幅広い年代の、サッカーや指導に想いを持つメンバーが所属する。
現在は、関東圏のみならず関西、そして全国に200名以上の会員を抱え、サッカー指導者が学べる機会や情報のほか、会員一人一人のキャリア支援や、講演会をはじめとしたイベントの企画/運営も実施している。
2021年7月に大阪支部がスタートし、2021年秋には第6期生を募集開始。

▼お問い合わせはこちら↓↓

<作成>
◎取材:シー
◎文/編集:八田 凌雅

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