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ポール・ウェラー、アルバムランキング

ソロ16作のレビューを終えて、自分の尺度でアルバム順位付けしてみた。

ウェラーの30年超のソロの歴史は、関わった主なプロデューサーにより、大枠で3期にわけられる。ブレンダン・リンチ期、サイモン・ダイン期、ジャン・スタン・カイバート期だ。
サイモン・ダイン期に個人的にはウェラーから一時離れたが、UK界隈で最も評価が高いのはこの時期だったりしてよくわからない。
自分のやりたいことと作品の完成度が高いレベルで重なっているのは、アラ60期の作品だと思う。ブレンダン・リンチ期には無いオリジナリティとセンスが感じられてホント良い。
けど、プロダクションが素晴らしく、緊迫感をしっかり伝えるワイルドウッド〜スタンリーロード〜ヘヴィソウルの3作はやっぱり凄えと思います。


16 Sonik Kicks

ウェラー史上最もアグレッシヴな作品。メディアの評価は高いが、個人的にはメロディの質が低く、最もバランスを欠いた完成度の低いアルバムという位置付けだ。この作品で一旦ウェラーから離れた。
プロデューサーはサイモン・ダイン。サイモンと組んだものは投げやり感があってあまり好きではない。完成後、ウェラーも思うところがあったのではないか。この作品がサイモンとのコラボの最終作となった。

15 Wake Up The Nation

サイモン・ダインと組んだ作品で幅広い曲調、アレンジも大胆。一方でこれも繊細さを欠き完成度が低い。

14 True Meanings

年齢相応の落ち着いた作品。メロディ、サウンド双方にキレを欠いていて、レコード会社や周りから言われて方向性を決めたような印象を受ける。ぶっちゃけつまらない。この路線がこの作品だけで終わってよかった。

13 Studio 150

初期のクラシックロック路線に煮詰まっていたタイミングでのカバーアルバム。変化球なアレンジが多く、聴いていてあまり楽しくない。初期のシングル盤のBサイドでは、良い感じの選曲でストレートなカバー(ザ・バンドとか、ビートルズとか)をやっていて、とても良かっただけに、本格的なカバーアルバムと銘打ったこの作品には結構期待していたが、完全に裏切られた。

12 22 Dreams

メディアでの評価が高く、中期ウェラーの代表作によく挙げられるが、個人的には中途半端な印象しかない。そこそこの出来具合の曲だけで、インパクトの強い佳曲が無い。ウェラーと一緒に森を彷徨っているような印象の作品。要は掴み所がない。
なんとなく聴く分には、程よい作品か。それ以上ではない。曲数を絞れば印象が変わるのかも。

11 Paul Weller

ソロデビューアルバム。個人的に、リアルタイムで聴いていない唯一の作品。ということであまり思い入れが無い。他のソロ作品にないジャジーな感触がちょっと苦手。一方で、その後のプロトタイプとなるエッジの効いたロックな曲はかっこいい。

10 Heliocentric

初期のクラシックロック+R&B路線の過渡期に出た作品。ブレンダン・リンチのプロダクションの賞味期限が切れていて、独特の音処理が減りシンプルな曲が増えた。良い曲もあるが、マンネリを恐れてかメロディが変化球な曲が多くソングライティングが不発。

9 Illumination

初期のダッドロック路線から、新たな方向性を見出した。スタカン時代の軽さが復活。サイモン・ダインと組んだ中では一番良い作品。

8 As Is Now

ジャン・スタン・カイバートと組んだわかりやすいロックアルバム。ウェラーのソロの中では一番おすすめし易い作品だと思う。シンプルでポップなロック曲が詰まっている。ゲストも豪華だ。

7 Heavy Soul

大成功したStanley Roadの次でプレッシャーもあったと思う。ライブ感のあるラウドなロックアルバムだ。ハードなギターとメロディアスな曲のハイブリッドで、リアルタイムで聴きまくった。
長らくこの作品が自分作品が自分にとってのポールウェラーだったので、その後、他の路線を受け入れられずにいた。損してた。

6 A Kind Revolution

「As Is Now」をアップデイトしたような作品だが、キレとやる気はこっちの方が上。余裕とセンスを感じる秀作。

5 On Sunset

60代のウェラーの傑作。家内制手工業的なバンドとの良い関係が伝わる。絞り切った音のセンスが抜群。序盤3曲の展開も素晴らしい。スタンリーロードのその先を、60代の爺さんが切り開いた。

4 Saturns Pattern

Sonik Kicksで、個人的にウェラーから離れた後だけに、しっかり聴いたのはごく最近の、ジャン・スタン・カイバートと組んだ復活作。勢いではなくセンスの良さで魅せる。
駄作「True Meanings」を除く以降の秀作連発の礎となった重要作。

3 Fat Pop

現時点(2023年)での最新作で後期ウェラーの集大成ともいえる大傑作。
培った音楽性を、類まれなるセンスで無駄を削ぎ落とし、ポップに仕上げた一枚。やや細くなった声がポップな音にマッチする。

2 Wild Wood

90年代序盤の低迷から見事復活した傑作。
緊張感あるクラシックロックサウンドが最高にかっこいい。ウェラーのソングライティングも絶好調。モッズサウンドの代名詞のような一枚だ。

1 Stanley Road

ポール・ウェラーの最高傑作は、やっぱりこれ。今回改めて凄さを再認識した。主役はもしかしたらブレンダン・リンチのプロダクションかも。ライヴ的なリアルな感じがある一方で実は非常に繊細な音作り(特にギターがやばい)が優勝。


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