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The Beatles「Let It Be」を観た
1970年の公開後、なかなか陽の目を見る機会が無かった後期ビートルズの映画。「Get Back」のピーター・ジャクソンにより復元され、ディズニープラスで公開された。
ずっと観たかった映画だった。
永らく、「ビートルズ解散前の争いや口論を生々しく収めた暗い映画」という評判だった。
映画がポールの弾く物哀しいピアノで始まるのと、ポールの独善的なお説教に時間を割いているのと、ポールとジョージの言い争い
稀代のモッズバンド、スモール・フェイセスのアルバムレビュー、おすすめ紹介
彗星の如く駆け抜けた若きモッズバンドスモール・フェイセスは、子役で歌手経験もあったスティーヴ・マリオットと、マリオットが楽器屋でバイトをしているときに知り合ったロニー・レインを中心に、1965年ロンドンで結成された。マリオットは1947年生まれなので、生きていれば77歳(2024年時点)。60年代ミュージシャンとして一括りにされることが多いが、ジョン・レノンが1940年生まれなので、小学校が被ら
年齢別アルバム ポール・ウェラーのキャリアと変化
みうらじゅん氏は「ディランのアルバムは自分の年齢と同じ作品を聴け、味わい深いから」と「ディランがロック」の中で語っていた。当時のディランの考えや迷いが理解しやすくなると。
長いキャリアを誇るポール・ウェラーにも同じやり方が有効だと思い、まとめてみた。
ソロデビューが33歳。スタンリーロード期でも37歳だ。この時期「モッドファーザ」とか「兄貴」とか言われて大ベテランの佇まいだったが、会社だとまだ課
ポール・ウェラー、アルバムランキング
ソロ16作のレビューを終えて、自分の尺度でアルバム順位付けしてみた。
ウェラーの30年超のソロの歴史は、関わった主なプロデューサーにより、大枠で3期にわけられる。ブレンダン・リンチ期、サイモン・ダイン期、ジャン・スタン・カイバート期だ。
サイモン・ダイン期に個人的にはウェラーから一時離れたが、UK界隈で最も評価が高いのはこの時期だったりしてよくわからない。
自分のやりたいことと作品の完成度が高い
Paul Weller – Fat Pop
2021年発表。コロナ禍に作成された。2作連続の全英1位。
長いキャリアの中でも最も丁寧に作られた作品のひとつじゃないか。メロディと、アップデイトされたウェラーサウンドの水準がむちゃくちゃ高い。血潮滾るロックであり、職人的な「ポップ」である。両面において最高峰の作品だ。
プロデュースはウェラーとの相性が非常に良いJan "Stan" Kybert。スタンリーロード期のライブ感あるワイルドなサウン
Paul Weller – On Sunset
2020年、コロナ騒動の最中にリリースされたソロ15枚目の作品。
「As Is Now」「Saturns Pattern」など、バランスが取れた傑作で組んだJan Stan Kybertがプロデュースを担当。
達観した爺を演じた前作「True Meanings」と比べ、ウェラーらしいメロディや幅広い音楽性が復活し、ウェラーの歌声も年齢相応の渋さと演歌にならないポップさの二面性を兼ね備えた、キャリア
Paul Weller – True Meanings
18年発表。前作から約1年、短いインターバルでリリースされた。
アンプラグドっぽいアレンジで、内省的な曲が多く、ウェラーとしては異色作だ。曲によってはストリングスが絡んだり、ジャジーなナンバーもある。60代となったポール・ウェラー、年齢相応の落ち着きと、渋さを纏った作品だ。UK2位。
「Bowie」はタイトルそのまま、デヴィッド・ボウイに捧げた曲。シンプルな歌詞でボウイに感謝する。なかなかグッと
Paul Weller – A Kind Revolution
2017年発表。ソロ13枚目。英国5位。
前作のセッションで残った2曲「Woo Sé Mama」「One Tear」はジャン・スタン・カイバートの共作で、他のクレジットはウェラーのみ。更に久しぶりにセルフプロデュース。マルチプレイヤーのアンディ・クラフツ(the moons)、ドラムのベン・ゴルドリエらお馴染みのウェラーチームが中心になってプロダクト。
セルフプロデュースの場合、質が落ちるアー
Paul Weller – Saturns Pattern
15年発表のソロ通算12枚目。
ベストアルバムを挟んだこの作品。変化があった。00年代に入ってから出番が多かったサイモン・ダインではなく、「As Is Now」で組んだJan "Stan" KybertとAmorphous Androgynousがウェラーと共にプロデュース。作曲のパートナーも、サイモン・ダインからJan "Stan" Kybertに替わった。
ポール・ウェラーはコラボレイター
Paul Weller – Sonik Kicks
2012年発表。全英1位。日本ではメディアに取り上げられることが少なくなったウェラーだが、実はUKチャート上ではアルバムが連続で1位を獲得し90年代以上に成功している。
このアルバムにはブラーのグレアム・コクソン、ノエル・ギャラガー、元ストーンローゼズのアジズ、ショーン・オヘイガンらが参加。プロデュースはウェラーとこの頃の片腕サイモン・ダインで、このコンビのピークといえる作品だ。
2010年か
Paul Weller – Wake Up The Nation
2010年発表、10枚目のソロアルバム。全英2位。
前作でまたひとつキャリアの頂点を越えたウェラー。成功したスタイルをあっさり捨て去り、長いキャリアの中でも抜群にアグレッシヴなアルバムを完成させた。
元ジャムのベーシスト、ブルース・フォクストンとの共演も話題となった。ELOのベブ、ケビン・シールズらが参加。前作から出番が少なくなったスティーヴ・ホワイトはついに参加していない。これまでのウェラー
Paul Weller – 22 Dreams
08年発表のソロ9枚目。
ウェラー初の2枚組(LP)。ノエル・ギャラガー、ジェム・アーチャー、グレアム・コクソン、リトル・バリー等幅広いゲストも話題になった。
プロデュースはポール・ウェラーとサイモン・ダイン、スティーヴ・クラドックら。ソングライティング、歌声、プロダクション、全てにおいて肩の力が抜け、自然体のポール・ウェラーを堪能できる00年代の傑作で、UK1位。評論家のウケも良かった。